第4章 第7話 また神獣と戦うの? そんなご無体な!

「じゃあ次いく~? それとも休む~?」


「こら宝石ジュエル、口に物を入れたまま喋るんじゃない」


 夕食が始まってしばらくし、ジュエルが明日からの行動をたずねてきた。

 ちなみに昼は全員が動けなかったため、メイアで昼食を用意し、夜は何とかみんな復活した。


「んぐっ。次の神獣は少し遠いからね~、早めにいかないと帰ってこれないかもしれないよ?」


「そうなのか? でもな、次の神獣に行くつもりは無かったから、メンティシュリンプでスキル値MAXになったんだよ」


「あ、そうなの? ん~、でも一応行っときな? 色々と戦い方の勉強にもなるし、良い事あるかもよ?」


「そうかな、そうかもしれないな。次のはどんな奴なんだ?」


「次は鳥だね。シャコ神獣と違って魔法も使うし物理も強いし、何もしなくても災害を起こすっていう最悪の神獣」


「……なんだそれ。何もしなくても災害を起こす? どんな奴だよ」


「凄いっしょ! シャコと狼が可愛く見えるくらいに迷惑な奴だよ!」


 お前が自慢する事じゃ無いけどな。

 そうツッコミたい気持ちを押さえて、俺は冷静に考える。

 確かに戦闘経験を積むことは、プラスになってもマイナスにはならない。

 ただ相手は神獣。

 油断をしたら命を落とす危険がある。


「ん~……どうしよう」


「あーんもう! 男なら悩まずに行け! 逝っちまいなよ!」


「今のいっちまいな、はニュアンスが違ってないか?」


「せっかくジュエルが教えてあげてんのに!」


 いや~、だって相手は神獣だぜ? お使いに行くみたいに“行ってきま~っす”じゃ済まないんだし。

 

「まぁお前の情報には助けられてるしな。きっと今回も良い事があるんだろう」


「そーそー、素直にお姉ちゃんのいう事は聞いとくもんだよ?」


「それで場所はどこなんだ?」


 お姉ちゃんという所は華麗にスルーして、神獣の場所を確認する。


「んっとね」


 その場所は国を3つまたいだ先にあり、ドラゴンでも1日では着かないだろうという場所だった。

 流石に遠いな。まぁ行ってしまえば帰りは楽だけど、それにしても……砂漠か。

 教えてもらった場所をみんなに聞くと、どうやら昔は森だったらしいが、神獣が住み着いてからは徐々に木が減っていき、今では砂漠になったんだとか。


 え~……それマジ怖いんですけど。


「魔法を使って物理も強く、存在するだけで災害を起こす神獣か……どうしろってーの?」


「俺達に聞くな。そもそも俺達は神獣とやり合うなんて考え、持ったことが無いからな」


「あ、あの、ユーさん? 危なくなったら直ぐに帰って来てね?」


「安心しなさいユグドラ。危なくなったら私達が応援に向かうわ」


「捕まえてこい。私にも戦わせろ!」


「いや~、でも流石に今回のはユグドラでも無理かもしれないネ!」


 そうだよね~無理だよね~ハッハッハ~……え?

 

「アニタさん? フキツナコトは言わないでよね?」


「でもフェニックスだらかネ~。常に燃え盛り、死ぬ事のない不死鳥! 倒せる?」


 ……

 …………

 ………………

 ……………………え?


「ふしちょー?」


「ああ、あれが噂に聞くフェニックスか! てっきりただのウワサだと思ってたゼ」


 ……え?


「今回ばっかりはユーさんもピンチだから、すぐに帰って来てね?」


 ……えっと。


「武勇伝を聞きたいけれど、あなたならやり遂げると信じているわ!」


 ……あの。


「ルリ子でテイムして連れてこい!」


 ……ですから。


「ま、骨くらいは拾いに行ってあげるから、ネ!」


「ちょっと待てーい! 聞いてないぞそんな事! フェニックス? 不死鳥? 言ってて分かってるか? 死なないから不死鳥って言われてんだぞ! どうやって戦えっていうんだよ!!」


 俺、どのゲームでも不死鳥って出てきたことないんですけど!?!?

 むかーし昔、シミュレーションゲームでなら居たかもしれないけど、あれはあくまでもユニットとして召喚したのであって、本物のフェニックスじゃないし!

 いや、あの、チョット、勘弁してつかーさい!


「こ、今回は見送り! キャンセル! 無かった事にして!」


「「「「ええ~?」」」」


「だ、大丈夫だからね? 私はユーさんが無茶しないって信じてるから!」


 やっぱり嫁は最高や~、俺を助けてくれるのはリアだけや~。

 思わず抱きしめようと手を伸ばす。


「だから、気を付けて行ってきてね?」


 うん気を付けて行ってく……うそん。


 こうして俺は満場一致により、フェニックス……不死鳥退治へと向かう事になった。

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