第4章 第8話 イチャイチャ……イチャイチャさせろー!

 フェニックスとの戦いは明日1日を準備に当てて、明後日出発する事にした。

 へこんだ鎧の修理と武器の修理もあるし、そもそも改良しないと破壊されるかもしれない。

 ついでに皆の装備も修理・改良をしておきたいな。


 一晩かけてしずかで修理をし、神獣メンティシュリンプとの戦いでの反省を踏まえ、さらなる改良を施した。

 皆の装備も見たけど、なぜだかすごく傷んでた。

 いや手入れはされてたけど、それでも追いつかないほどの傷み具合だ。

 どうしたんだろう。


 翌日からはひたすらポーションや治療キットを作り、対炎用の装備を作りまくった。

 マントやローブ、麦わら帽子はもちろん、ブレスレットや小物にも耐火装備を揃え、フェニックス対策をひたすら進めていく。

 森を砂漠にするほどの熱を持つ神獣だ、耐火だけでなく、冷却する装備もあった方が良いか。


 とにかく熱と冷却に特化した装備を作り、最悪の場合を考えて、詠唱無しで移動魔法を発動できる再呼び出しリコールブックのチャージを満タンにした。

 記録マークした場所にワンタッチで移動できる物で、腕さえ動けば発動可能だ。


「みんなの装備も手を加えておいたよ。なんだかすごく傷んでたから、物としては俺が使ってるのと同等品かな」


 順番に装備を渡す。

 剣も鎧も、杖も弓も、この世界での最高級品だ。

 装備だけならブラスティーに渡した物より上だろう。

 

「ありがとうユーさん! あれ? 形も変わってるね」


「うん、杖の素材も変えたんだ。アダマンタイトで杖を作ったら重いから、中心にアダマンタイトの細い棒を使って、周囲を木で囲ったんだ。魔法の威力もかなり上がるはずだよ」


「ありがとう!」


「おお、俺達のも随分と変わったな」


「アズベルのは柔らかさを維持したまま切れ味が上がって、まず折れる事は無いよ」


「私のは、大きな違いがない様だけれど?」


「ベネットはシンプルな剣だからね。その代わり使えばすぐに違いが分かると思う」


「私のも、アダマンタイトの芯?」


「そう。リアのと近いけど、エバンスは広範囲魔法が好きだからね、威力よりも範囲に重点を置いた」


「私のは、随分と大きくなってるネ?」


「その弓はボウガンっていって、連射は出来ないけど、威力が凄くて精密射撃が出来るんだ」


 それぞれの武具を気に入ってくれたみたいだ。よかった。

 やり残しは……ないな。


「よっしゃー! 今日は1日リアとイチャイチャするんやー!」


 リアを抱き上げて部屋へと駆け込む! ……肩を掴まれた。


「な、なんだよ~、愛の営みを邪魔するなよ~」


 アズベル達が満面の笑みで、親指で外を差す。

 

「ユグドラ? 分かってるよな?」


 ……クスン。


 結局今日1日、ひたすらみんなと手合わせしていた。

 流石に夜はイチャイチャした。誰が何といおうとするさ!!!!

 



 夜が明けて、リアが寝ているうちにベッドを出る。

 やっと太陽が昇った時間だ、みんなが起きるのはもっと後。

 荷物を持って居間へ行き、装備の確認をしながら装着する。

 よし、問題ない。


 キャラクターチェンジ

  ユグドラ

 ⇒ルリ子

  しずか

  番長

  ディータ

  メイア

 ◆ ユグドラ ⇒ ルリ子 ◆


 体が薄く光り、自分の姿がゆっくりと変わっていく。

 さて、行くとするかね。


「ゲート」


 外に出て飛龍を呼び出し、アタシはフェニックスと戦いに向かった。

 家を離れて直ぐ、家の窓が順番に開いた事には、気づかなかったがね。




 途中の知らない国の知らない街で休憩をして、次の日の朝には砂漠に到着した。

 ああ、ここかい。確かに見渡す限りの砂漠だねぇ。半径50キロは砂漠だが、手前までは確かの森があった。

 この広範囲を燃やし尽くしたのかい? まったく、フェニックスってのは考え無しに燃やすのかねぇ。


 ここに来るまでそれっぽいのは居なかったし、さらに奥に居るのか?

 まずは探すとしようか。


 何も無いだだっ広い砂漠の空を、飛龍に乗ってひたすら探している。

 いないねぇ、不死鳥なんてわかり易い鳥、近くに来れば直ぐに見つけられると思ったが、なかなかどうして出て来ないじゃないか。

 もう少し捜査範囲を広げるとしよう。


 ん? あれは何だい? 砂漠の真ん中に赤い部分が広がっている。

 近くにいくと、どうやら地面が溶けている……マグマのようだ。

 しかしおかしいねぇ、フェニックスが溶かしたにしては、マグマが下から吹き出しているのはどうしてだい?

 あの中にフェニックスがいる? ありえなくはないねぇ。


 アタシは地面に降りて、飛龍をゲートで帰した。


 キャラクターチェンジ

 ⇒ユグドラ

  ルリ子

  しずか

  番長

  ディータ

  メイア

 ◆ ルリ子 ⇒ ユグドラ ◆


 体が薄く光り、自分の姿がゆっくりと変わっていく。


 初めての敵は、やっぱり俺じゃないとね。

 これはゲーム時代もそうだったけど、やっぱりユグドラが1番戦いやすい。

 相手によって得手不得手はあれど、それを判断するのも斧戦士である俺の役目だった。


 さて、マグマに近づいてみよう。


 マグマは下からコポコポと湧き出していて、広さ10~20メートルの池を作っている。

 しかしマグマは硬くならず、粘り気のある液体程度の柔らかさを維持しているから、熱源はこの下にあるとみていい。

 じゃあやっぱりフェニックスが?


 池を覗き込むと、池の中心部が盛り上がる。

 なんだ!? 爆発か!?


 急いで離れて様子を見ると、盛り上がりは無くなり、元通りになった。

 何だったんだろう。


 もう1度マグマに近づこうとしたら、地面が揺れた。

 今度は地震? マグマからは離れているし、収まるのをまとう。

 しかし地震は中々収まらず、なぜか段々と気温が上がっているように感じる。

 汗が止まらなくなってきた。


 耐熱・冷却装備を持っててもこれか、フェニックスが出る前からこれかよ。

 先が思いやられる……顔から垂れた汗が地面に落ち、一瞬で蒸発する。

 !? いやそれはおかしいだろ!

 俺の足元の砂が真っ赤になり、地面からマグマが吹き出した。

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