第2章 第53話 システムのバージョンアップ

 ~~システムのアップデートが完了しました。キャラクターに反映……完了。以下の項目が変更されました。~~


 ・ステータスの上限向上

 ・生産系スキルでの作成アイテム増加

 ・魔法第9グループ解除

 ・各種スキルの再調整


 それに伴いリミッターを1段階解除しました。


 メニュー画面を見ながら俺は動きを止める。

 どういう……事だ。

 システムのアップデート? おいおい、まんまゲームじゃないか。


 しかしステータス向上? 数値を確認すると

 STR力強さ:150

 DEX素早さ:110

 INT賢さ:80

 となっている。

 古いゲームだからこれだけだ。

 それぞれ30増えているな、それにHPもMPも増えてる。


 作成アイテムや魔法の新グループの確認をしている暇はないが、ステータスの向上だけでも十分な戦力アップになるはずだ。

 なら……早速試さないとな!!


 バトルアックスは傷が深いため処刑執行人エクスキューショナーアックスに持ち替え、1歩踏み出し、ゆっくりと加速していく。

 っ速い! 数値では30だけど、4割近い速度アップは自分でも一瞬目が追いつかなかった。

 そして放った1撃はブラスティーの黒い刀を浮かせ、胸に浅く傷をつける事に成功した。

 

 ブラスティーの表情が険しくなった。

 今まで防がれていた攻撃がやっと通じるようになったんだ、これまで通りにはさせないさ!

 

 力強さが上がり素早さも上がった。

 だからだろう、正面からブラスティーと打ちあえるようになった。

 しかしまだ少しずつ、ブラスティーの方が上だ。

 まだ追いつけないのかよ!


 やっぱりみんなで攻撃をしないと無理だ。

 そういえばさっきから俺一人だけど、みんなは何してるんだ?

 ふと見ると、みんなが動こうにも動けないでいるのが見える……ああ……速すぎるのか俺達の動きは。


 そうなると何かキッカケが必要だ。

 ディータで仕掛けた罠はまだあるが、この状態だと罠までの誘導は無理。

 なんとかブラスティーの態勢を崩したいが……あった!


 黒いアンチマジックの刀の亀裂、それが徐々に広がり始めている。

 このまま打ちあえば破壊できるかもしれない!

 ならスピードアップだ!!


 なかばやけくそに近い勢いで処刑執行人エクスキューショナーアックスを打ち付ける。

 亀裂がさらに広がる。

 ブラスティーも気が付いたようだ。

 気付いてもどうしようもない! 俺の目的は刀を破壊する事、お前を倒す前準備だ!


 歯ぎしりしながら必死に斧を受け流そうとする。

 しかし今の俺の攻撃は受け流す事すら困難で、亀裂はみるみる広がり刀全体に達した。


「これでどうだー!」


 バットを振るように力いっぱい斧を振り回し、ブラスティーは剣先を下にして斧を受けた。

 と同時に刀は粉砕し斧はブラスティーの左肩に命中した。


 だが手ごたえが違う。

 よろけたブラスティーを見ると残った柄とわずかな刃でギリギリ受け止めた様だ。

 人間離れしてるったら!


 ブラスティーの足首に矢が刺さる。

 痛みをこらえているが数歩よろけた先には毒の沼地ポイズンフィールドがあり、足を踏み入れて後ろに倒れ込んだ。


「「「「「うおおおぁあああああ!」」」」


 前衛部隊が同時に攻撃をし、ブラスティーはとっさに刀を捨てて大剣に持ち替えて防御する。

 防がれたか!? ……いや、受け止められはした、したが……あれだけの人数の攻撃を1度に受け、大剣は原型を留めていない。

 大剣も破壊され、足を奪われたブラスティーに俺の斧をかわす力は無い。


「吹き飛べ!!」


 渾身の力を込めて斧を振り、ブラスティーの体はへしゃげて壁に激突! 

 とどめだ!!


 キャラクターチェンジ

  ユグドラ

 ⇒ルリ子

  しずか

  番長

  ディータ

  メイア

 ◆ ユグドラ ⇒ ルリ子 ◆


「行くよお前たち!!」


「「「「「至極の炎熱柱フレイム・ストライク!!」」」」」


 5人の魔法使いの声が同時に発した言葉は同じものだった。

 至極の炎熱柱フレイム・ストライクはブラスティーの足元からきあがり、最初は赤く、黄色くなり白色に、青い炎になった時、螺旋を描いて天井を突き抜けて巨大な火柱となった。


 これでどうだい? お前の魔法抵抗の大部分はアンチマジックの刀だろう? それが無くなり、意識を失いそうな苦痛の中で魔法抵抗をこころみることも出来ず、アタシ達の最大攻撃を食らったら……どうなる。


炎が消えると天井には大きな穴が開いており、真っ赤な溶岩がしたたり落ち、その真下で微かに動く影がある。

 片膝をつき全身が黒く焼け、皮膚がただれているねぇ。


「どうだい、まだやるか?」


 アタシを曲がらない右手で指差し、消えそうな声でつぶやく。


「みと……めん……き、さまが……か、つな……ど……」


 そのまま動かなくなり、右手がさがり、頭から地面に倒れ込んだ。

 終わった……な。


「「いやったーーーーーー!!」」


 後ろから大声で騒ぎだす。

 ああそうだね、やったよ、ブラスティーに勝ったんだよ。

 全員が駆け寄ってアタシに触りまくる。

 リアは泣いてるし、アズベルとベネットはアタシの頭を叩いてる。痛いよ。

 

「あー、疲れたね。さっさと帰って風呂にでも……ん?」


 フレイム・ストライクであけた大穴が崩れ始め、天井自体が崩壊を始めた。

 やり過ぎちまったかねぇ。

 仕方がないね、急いで地上に出よう……1つしかない階段が塞がれてる。


「出口が塞がっちまってるぞおい! どうすんだこれ!」


「掘れ! 掘りまくれ!」


「まじかよー!」


 とか騒いでるね。

 そんなモン掘ってどうにかなる量じゃないだろうに。


「ゲート、出ておいでチャコ」


 青い楕円形の光る門を出し、全高30メートルを超す土色の龍が姿を現す。


「オイ!! さらに崩壊を進めてどーすんだ!!」


「五月蠅いねぇ黙って見てな」


 確かに天井は一気に崩壊した。

 だがチャコが大きな翼を傘代わりに広げ、さらに崩れる天井や吹き飛んだ天井も時間が止まった様に動かなくなる。


「あれ? どうして落ちてこないんですか?」


「チャコの魔法だよ。この子は大地の魔法が得意でね、崩壊を止める事くらい簡単なのさ」


 瓦礫がゆっくりと動き地下室に集まり、ゆっくり積み重なって階段が出来上がっていく。


「いい子だ。よくやったねチャ」


 体丸ごと食われた。

 食われたというかくわえられたというか、とにかくアタシは今チャコの口の中にいる。

 よだれでベタベタになって解放されたが、ああ、怒ってるねコレは。


「そうおこりでないよ、雑用ばかりさせてすまないと思って……違う? もっと早く呼べ? バカかお前は! ブラスティーと戦うつもりかい! ……当たり前? 当たり前じゃないよ! お前たちはお前たちしかいないんだ、蘇生も出来ないんだからねぇ!」


 テイムした生き物はペット、物という扱いになっている。

 だから蘇生は出来ない、死んだらそれでお終いだ。


「……アタシが死んでもお終い? だからアタシは何とかなるんだから!」





 ケンカがひと段落し、チャコの背中に乗って地上に出てきた。

 階段を作ったのにねぇ。


「あー、風呂」


「そうですね、お風呂に入って眠りたいですね」


 リアが言ったそばから男連中は寝ている。

 なんて図太い神経してるんだろうね。


「それよりもどうするのかしら。この人」


「死刑」


「まぁーまぁーエバンス落ち着いてぇ~」


「ケンタウリは落ち着きすぎよ?」


「そういうクリスティも落ち着いてるじゃないかい。お前たちも一皮むけたか?」


「「まーねー」」


 寝ている男連中と気を失っているブラスティーを背に乗せたまま、チャコに乗って宿へと向かった。



 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


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