第2章 第54話 ほほぅ?成長しているね
ドラゴンから降ろしても起きない男連中を男湯の湯船に放り込み、アタシ達は女湯でのんびりお湯につかっている。
あ~……この宿には露天風呂があって良かったよ。
やっぱり星空を眺めながら入る風呂ってのは良いもんだねぇ。
「ルリ子さん、あの人、ブラスティー……さんをどうするんですか?」
「どうするって、何をだい?」
「敵だった人だけど、人数は多いとはいえ勝ちましたし、このまま大人しくなってくれるのかなって」
そうだねぇ、ブラスティーが大人しくしてくれればアタシとしても楽なんだが、アイツの性格がイマイチ分からない。
戦いの最中も、初手こそ不意打ちだったが正面からの打ち合いしかしていない。
むしろ色々な手段を講じたのはこっちだ。
元々の性格は真面目なのか? 何かキッカケがあって、ああなっちまったのかも知れないねぇ。
「アイツのこたー分からないよ。明日、話しをしてから決めても遅くはないだろうさ」
「そう……ですね。襲ってきた理由もオモチャになるかどうかって言ってましたけど、話しを聞かないと分かりませんよね」
どうやらリアは不安なようだ。
それもそうか、ブラスティーの元部下の4つ首ドラゴンを操っていた長髪の騎士、アイツは暴走しただけのようだが、リアは命を狙われていた。
また狙われるのか、もしくはアタシやユグドラが狙われるのか、心配なんだろうね。
今は何も分からないし、何も考えたくない。
ふむ、それにしても、だ。
「リア、お前はまた胸がデカくなったね?」
「ふぉへ!? な、なんですかいきなり!」
慌てて腕で胸を隠したが、全然隠しきれていない。
「前はアタシよりも小さかったのに、いまじゃ同じか少し大きいんじゃないかい? 毎日揉まれてるからかねぇ」
「もっ、揉まれてなんてません!」
「ユグドラに揉まれてるじゃないか」
「んー! んーっ! んー!!」
肩をポカポカ叩かれてる。全然痛くないがね。
少しは話しを逸らせたかねぇ、今考えても栓無い事だ。
「胸を揉まれたら……大きくなる?」
エバンスが微々たる膨らみを両手で揉みながらリアの胸を見ている。
気にしてるのかい?
「エバンスはもう成長しないんじゃな~い? それに男に揉まれないと効果無いよぉ」
「ケンタウリ、大きくない。説得力無し!」
短剣2本持ちのケンタウリは多分Cか? 大きくないが普通だ。
それに追い打ちをかける奴が現れた。
「エバンスの歳の頃には、私は今の大きさだったわよ?」
ベネットだ。
実はこの中では1番大きい。アタシとクリスティはE、リアはF、ベネットはGは有りそうだ。
こいつは隠れ爆乳だ。サラシをキツク巻いて鎧の中に入れているが、鎧の胸をもっと大きくした方がいいと思うんだがねぇ。
周囲を見回して味方不在を理解したエバンス。
何を考えたかアタシの前までやってきた。
「じゃあルリ子揉んで!」
「あたしゃ女だよ」
「男まさりなのに!?」
「性格と性別は関係ないだろ」
「クッ……無念」
話しには参加していないが、魔法ギルドマスターのハリスは湯船でウトウトしている。
こいつもCだな。
エバンスはAAAで間違いない。
翌朝、それぞれの部屋に戻るのが
起きたのが昼過ぎ、朝飯を食べ損なっちまったねぇ。
「おはよう、ございます、ルリ子さん」
「ああおはよう」
みんなゆっくりと目を覚まし始めたが、流石に疲れているようだね。
さて、ブラスティーを叩き起こして話しを聞こうじゃないか。
立ち上がってブラスティーの側にいくと、すっかり火傷が治っている。
そういえばウィズダム・オンラインは宿屋で一晩休むと完治するんだったねぇ……便利だな。
「オラ起きろ」
足で小突くとすぐに目を覚ました。
すっかり疲労が抜けているようだねぇ、便利な奴だよ。
「さ、説明してもらおうか。どうしてアタシ達を狙ったんだい?」
周りを見回し、現状を理解したブラスティーが口を開く。
「俺の屋敷に来い。向こうの方が環境が良い」
「環境なんてどうでもいいんだよ。さっさと話しな」
「……上手い朝食が用意できるぞ?」
「……仕方がないねぇ、今回だけだぞ」
ブラスティーの邸宅もデカかった。
なんとか元伯爵の家よりデカいんじゃないかい?
騎士ってのは下級貴族だと思っていたが、違うのかねぇ。
それと付いて来ると思ってた元アズベルパーティーのメンバー5人と、ジジー2人、店長、エロ占い師は帰って行った。
用事があるそうだが……逃げたねアレは。
御大層な数のメイドや執事が並ぶ廊下を抜け、きらびやかな部屋に案内された。
ブラスティーは着替えを済ませて部屋に入り、長いテーブルの上座に座る。
「それで、何を聞きたいんだ」
「まずはそうだねぇ、どうしてアタシ達をねらった」
アタシはブラスティーの対面に座り、他は空いている席に着席する。
それと同時に執事とメイドにお茶を提供された。
「ねらった理由は昨日も言ったはずだ。オモチャになるかどうかだ」
「だから、そもそもオモチャが必要な理由はなんだ。お前なら他にもオモチャは沢山ありそうだがねぇ」
「ああ、それか」
ティーカップを手に取り、一口すすって口を開く。
「俺は表舞台には出ない様にしている。だから俺の命令を忠実に聞く駒が必要だった」
「あん? あのロン毛の代わりが必要だったってことかい?」
「ロン毛? ああ、クルーゼルの事か。あいつは手駒にはならん。対神獣用のドラゴンを使ってあのざまだ、頑張っても使い捨ての駒だ」
「そうかい。で、どうして転生したのに表に出たくないんだい? ウィズダム・オンラインの力があれば、世界を手にする事も出来そうだがねぇ」
「世界はすでに手にした。いや手にしていた、だな。魔王を倒して世界を救ったり、魔王となって世界を支配したり、すべてを破壊しつくしたり、何もしなかったり。今回は裏で操ろうと思ったからだ」
今回は、だって?
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