第2章 第52話 鳳龍烈波刃
度重なるみんなの攻撃でブラスティーの鎧はやぶれ、上半身は裸になっている。
しかし変わらず魔法は通用しないしこっちの攻撃もあまり当たらない。
間接的に魔法の効果だけを当てる手段はあるが、やはり威力が劣るため効果が薄い。
「ほっほっほユグドラさんや、一応教えておくと、この地下室の上にはなんにもありませんぞ。騎士団の訓練場があるだけですわい」
背の高い白髪のお爺さんが教えてくれたが、今それを言う理由はなんだ? 少々のことをしても被害は最小限って事か?
うん、確かに有益な情報だった。
いざとなれば天井をぶち破っても構わないんだな。
よし、なら試したい事がいくつかある。
アルファやフレディたち元アズベルパーティーは問題ないけど、他の4人は付いてこれるかな……多分だけど問題は無い! 少なくともブラスティーに手傷を負わせる手段を持っている人たちだ!
ブラスティーに向けて猛ダッシュし、武器をバトルアックスに持ち替えて力いっぱい振り下ろす。
もちろん軽くかわされてしまうが、俺の左背後から剣が突きだされてブラスティーの右肩をかすめ血が流れる。
続けて斧を振り回し、左から右へ振り抜くとスウェーでかわすが俺の右背後から細身の剣が突きだされ、腰に命中、一瞬ひるむがすぐさま体制を立て直そうとする。
しかしそれだけでは終わらず背後から矢が襲い掛かり、ブラスティーの背中は爆炎に包まれる。
「ごがぁ!」
悲鳴と共に前のめりになり、俺は斧の横面でブラスティーの顔面目がけてうちわのように大振りをする。
もちろん当てる気はない。
大きなバトルアックスで視界を一瞬奪い、リアとエバンスが接近・
血を吐きながらも一瞬で後退され、回復を許してしまう。
「セルフヒール!」
あれは戦士系の回復スキルだ。
確か再使用には時間がかかり、回復量もそう多くないはず。
しかしあと1歩か……そう思った瞬間、太く短い棘の付いた鉄球が顔の横を通り過ぎ、ブラスティーに命中する。
刀で防がれてしまうが、回復しきれていない体では完全に止める事は出来ず後ろによろけてくれた。
「なに!?」
そう、あと1歩下がってくれればディータで仕掛けた罠が発動してくれる!
罠は単純、石の床の強度を下げてあり、人が乗ると壊れるようにしてあったのだ。
左足を取られ横に手をつくブラスティー、俺達は合図する事もなく全員が襲い掛かり、全員の武器がブラスティーの上から降り注いだ!
しかし黒い刀で受け止められてしまう……が、わずかだが刀に亀裂が入る。
ブラスティーは気付いていない。
「どかぬか無礼者めが!!」
刀を振られて全員弾き飛ばされ、辛くも倒れず体制を保つが……いまのでもダメか。
不意にブラスティーは腰を低く落とし、刀を鞘にしまう。
「
言葉と同時に俺の目の前に現れ、続けて技を繰り出す。
「
胴体を切り裂くべく居合抜きを放つが間一髪で斧で防ぐことが出来た。
はえぇ!
そう思った時にはすでにブラスティーの姿が無い。
!? どこだ!
「
後ろにいた店長の盾が粉々になっている。
あの盾はしずかが作った盾だ、それを粉々にするだって!?
「
背の低い長いあご髭を持つ老人の鎖付き鉄球が消滅した。
……!!
徐々に威力が増している!?
ゾクッと背筋に悪寒が走る。そうだ、この技はまだ終わりじゃないはずだ!
ヤバイ!!
「
禍々しいオーラと共に放たれた技は静かに扇状に広がり、1テンポ遅れて爆発するように衝撃波が走った。
砂埃と狭い空間での衝撃波で耳が痛い。
何も見えない……が、間に合ったようだ。
ブラスティーの正面で斧を盾代わりに構え、俺の前方には四つの
そう、魔法障壁は今の一撃で破壊され、俺の斧にも深い傷がついている。
だが完全には防ぎぎれず、後ろにいる皆にも怪我を負わせてしまった。
これだけの防御をしても防ぎぎれないのかよ!
怪我は大したことないとはいえ回復魔法が効かない怪我だ、出血が酷ければ治療して回らないといけない。
ホントに厄介ったらない!
ん? ブラスティーが動かない……硬直!? 攻撃スキル後の硬直中か!
恐らくは1秒ほどの硬直、されど硬直! この機を逃す手は無い!!
これに反応できたのは俺とリアとアズベル。
俺の斧とアズベルの細身の剣がブラスティーに届く、そして……刀が動き、攻撃を防がれてしまった。
クソッ! 絶好のチャンスだったのに!
悔やんでも悔やみきれないチャンスだった。それを無駄にして……ブラスティーの体が炎に包まれた。
「え?」
恐らく全員が、ブラスティー自身も理解できていなかっただろう。
リアが反射的に放った
無効化……されていない。
だが炎は一瞬で消され、何事も無かったように刀を構える。
まだ足りない……なにか1つでもいい、手段が欲しい!
その時メニュー画面に赤い文字が現れた。
~~システムのアップデートが完了しました。キャラクターに反映……完了。以下の項目が変更されました。~~
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