第2章 第11話 専用の馬車
翌日から本格的に魔法の訓練が始まった。
しかし初日はたいして実技が出来ない。
なぜならマジックポイント切れで、立つことすらままならない状態になるからだ。
「気持ち悪い……ウッ」
バールドの街の近くの森で第1グループの魔法を使ったが、3回魔法を使って魔力切れした。
でも驚いた事にリアは倒れなかった。
普通なら吐き気と頭痛・
さらに魔法を使おうとしたから
「今日はここまでだよ、リア。
「わ、わかった」
口を押えながら長椅子に座り、空いた手を額に当てている。
MAXマジックポイントは魔法を使わないと上がらない。かといって無理をさせると恐怖心が植え付けられて、魔法を使う事に抵抗が出てしまう。
さじ加減が難しいな。
リアの気分もある程度良くなったからギルドに戻った。
バールドに滞在中はギルド3階の部屋を使っていいと言われたから、遠慮なく使わせてもらってる。
リアをベッドに寝かせ、布団を上からかける。
「今日の実戦は終わり。魔法の書を置いておくから、気分が楽になったら読んで」
「うん、ありがとう」
魔法の書と一緒に、ルーン文字の読み方や意味を書いた本も置いておく。
これは昨晩ディータで作ったものだ。
最初の頃は暗記で良いから、空いた時間はコレを読んでもらおう。
「じゃあ俺はしずかで鍛冶屋に行ってるから、用があったら鍛冶屋に来てね」
「いってらっしゃい」
キャラクターチェンジ
ユグドラ
ルリ子
⇒しずか
番長
ディータ
メイア
◆ ユグドラ ⇒ しずか ◆
体が薄く光り、自分の姿がゆっくりと変わっていく。
「それでは出かけてきます。魔法の事は私も分かりますので、質問があれば来てください」
「はーい」
ギルドを出て鍛冶屋へ向かいます。
私がユグドラと同一人物である事は冒険者や兵士の間では知れ渡り、街の中でもある程度の人は知っています。
もっと奇異な目を向けられると思っていましたが、やはり街を救ったというのが大きいのか、手を振ってくる人の方が多いですね。
鍛冶屋前に着きました。
この街では一般的な鍛冶屋ですが金床が3つあり、1つは空いているお店です。
「おはようございます親方さん。
顔の堀が深い色黒のおじ様が、作業の手を止めてこちらを向きました。
薄手の長そでシャツを着て、大きな厚いエプロンを付けています。
「また来たのかお前。来ちまったもんはしょうがねぇ、勝手に使いな」
すぐに作業に戻りましたが、近くにいたお弟子さんは笑顔で挨拶をしてくれました。
さて、時間制限はありませんが、のんびりし過ぎるのは嫌なので手早く進めましょう。
今回しずかになった目的は、一気に大所帯になったパーティーメンバーをまとめて運べる馬車を作る事です。
荷物の分も考えると、マイクロバス程度の大きさは必要になってくるでしょう。
強度計算をしっかりしないといけませんね。
しかし思うようにはかどりません。
理由は1つ、なぜか修理依頼が私の方に舞い込んでくるのです。
おかしいですね、この街で仕事をしたことは無いはずですが、なぜに私に頼むのでしょう。
ユグドラやルリ子が強いからと言って、私の鍛冶屋の腕とは比例しませんし。
「いや~流石100人勝負を成し遂げた人だ~、良い腕してるね」
ああなるほど。鍛冶・100人勝負の話しが、この街にも伝わってきているのですね。
それなら納得いきました。
まぁ急ぎではありませんし、この街の冒険者や兵士も大変な目にあいましたから、せめて私の手入れで満足してもらえればうれしい限りです。
馬車が完成したのは10日後でした。
金属パイプを基礎フレームとして、床と壁は木で作り屋根は革、車輪と車軸も金属ですがボールベアリングで固定して、更に板バネを装備。
4つの車輪にはゴムの代わりに硬い皮を巻きました。
各種ギミックも搭載し、乗り心地はバツグン! 移動や就寝なんでもござれ! な仕様です。
はい! 設計図を引き始めると止まらなくなりました!
ぱっと見はただの大きな馬車ですが、中身は素晴らしいです。
あ、馬を4頭用意しないといけませんね。
馬車が完成した事で、この街ともお別れです。
リアの魔法も第2グループまで使えるようになり、とても順調に進んでいますね。
キャラクターチェンジ
⇒ユグドラ
◆ しずか ⇒ ユグドラ ◆
体が薄く光り、自分の姿がゆっくりと変わっていく。
「それではヘスティアさん、これから王都へ向かいます。色々お世話になりました」
「ユグドラ様、皆様、旅のご無事を祈っております」
出発の日の朝、ギルド前でヘスティアさんに挨拶をしている。
のだが、ヘスティアさんだけじゃなく、鍛冶屋の親方や冒険者・兵士、街の人々など、沢山の人が見送りに来てくれた。
沢山の人に手を振られ、馬車の大きさに驚かれ、なぜか涙を流す人が沢山現れ……ちょっとしたカオスの中で、俺達は馬車を走らせた。
「うお!? なんだこのソファー!すげーフカフカだ!」
「何この馬車! 全然ガタガタ言わないわよ!?」
「あっはっはぁ~、これは昼寝のしがいがある馬車だねぇ~」
馬車の中もカオスだった。
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