第28.5話 別室6

「ええいまだ見つからないのか!」


「申し訳ありません、手は尽くしているのですが、依然いぜん手掛かりは……」


「一体お前たちは何をやっていたんだ! あれほど目を離すなと言っておいただろう!」


 薄暗い部屋の中で、髪の長い男が怒鳴り散らしている。

 黒ずくめの者はひたすら頭を下げるだけだ。


「今までこんな事は無かった。軍師以外にもこんな力を持っているなど想像もしなかった」


 椅子に座りうな垂れる男。

 そして怯えるように顔を上げる。

 ――まさかバレていたのか? 俺達が尾行していた事を――


 そんな事は無いと首を振るも、まだ不安はぬぐいされない。


「あんな少女に一体どれだけの能力が備わっているというのだ」


 両手で顔をおおい隠し、これからの事を想像する。


 ――1番困るのはアイツと合流する事だが、幸いアイツは今日にも死ぬはずだ。だが独自勢力を持たれては国内でのバランスが崩れてしまう!――


「どんな手段を使っても構わん! あの小娘を探し出せ!」

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