第1.5話 別室1

「見つかったか?」


 薄暗い部屋の中で椅子に座り、白い無表情な仮面をかぶった者が声を発した。


「1人怪しい者を捕らえました。しかし当たりかどうかは調べてみませんと」


 その背後で、髪の長い軽装なちの者が片膝をつき、こうべを垂れている。


「他国ではそれらしい者がすでに現れている。こちらにも表れる可能性が高い。他の街でも調査を強化しているが、今のところ当たりは無い様だ」


「それでは、この者がそうである可能性が高いと?」


「それはわからぬ。だが急がないと世界のバランスが崩れてしまう。早く見つけて計画を実行するのだ」


「は!」


□ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ 


「あの男がそうか?」


「はい、今どきピエロみたいな恰好かっこうでいる奴なんて、頭がおかしいか無知な奴しかいません」


 薄暗い牢屋の通路、その片隅から捕らえられている男を見つめている。

 髪の長い男は品定めするように全身を見ているが、牢屋の中で座っている男の実力はわからない。

 この男なのだろうか、こんなさえない男が? と思案していると、全身黒ずくめの者が背後に現れる。


「なに? 他の街にも怪しい奴が現れただと?」

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