第99話 漂流者
スパルタ教育って言葉は死語かと思っていたんだぐおっ!?
「人が話をしているときに気を散らすなんて、余裕があるわねMy Load」
いつつ、危うく首から上がなくなるところだった。
まだここにきて一月くらいだろ? 短期間でどんだけ強くなるんだよ。あの剣に殺られないようにこっちも鍛錬を欠かせなくなって一日がどんどんハードになっていくんだぐおっつ。
「人の注意はきちんと聞くものよMy Load」
「できれば注意は言葉でお願いしたいところですが」
注意が額を打ち抜くほどの突きとか、首から上を叩き落さんばかりの首への一撃とかとりあえず全部殺りに来るからな。ものすごい緊張感と集中力を強制される授業だぜ。
「意見はわかったわ。前向きに善処することを考えるのもやぶさかではないわ」
「さすがは為政者ですね」
「ほめても何もでないでわよ」
皮肉でがっ。
あ、頭が頭が割れる!?
「大将、邪魔するよ。っと相変わらず苦労してるねえ」
「何時ものことですよ」
「何時ものことって……大将、あんたも大概だね」
大概だねって……まるで俺が何かしているような言われようだ。特に何もしていないはずなんだが。
っと理不尽に抗ったところで意味も無しだな、
「なにか問題でもありましたかラクィーサさん」
「問題って程の事でもないんだが。あたしと爺の配下が妙なもんを見つけたから報告にと思ってね」
妙な物?
むしろ妙な物と妙な人だらけですゴフっ。
「口は災いの元。My Lord、覚えておくといいわ」
く、口に出していないのですが……。
「思うことも災いを呼ぶのよMy Lord」
な、なんか無駄に……深いっぽ……い……
…………。
……。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
「おかえりなさいませ、市長」
ボディーに一撃入れて跪かせて首をはねるか……ひどい目にあった!
それにしても、首飛ばされてもちょとだけは意識があるもんなんだね。新たな発見?だ。
「おかえりなさいMy Lord」
……うれしそうだね、ジャーメレナさん。
しかし、とうとう本気でガードしたのに死に戻りさせられてしまった。ジャーメレナさん、成長速度早過ぎ。
「やっぱりここにきてよかったわ。今までにないほど自分の成長を実感できるんだもの」
でも、できれば俺の首をリアルに飛ばして自分の成長を実感するのはやめてほしいかなぁ。
「配下が順調に成長しているのよ、何か問題でも?」
成長の印を示すために上司の首をリアルに飛ばす部下とか斬新だね!
「あんたも本当に大概だねぇ、大将」
ですから俺が悪いわけでは……。
「っとそんなことより、報告だよ。さっきも言ったけどあたしと爺の手下がこの大陸の端っこの方で妙なもんをみつけたんだよ」
「妙なものですか」
「ああ、それほど害のあるものじゃないと思うんだが、一応報告にと思ってね」
「ありがとうございます。それでその妙な物とは一体?」
「大将よりも弱っちい奴が島の端っこ流れ着いたみたいなんだよ」
弱っちいって……そりゃ否定はしないけどさ。それでも最初の頃よりは結構まともになってない?
「市長、事実に対して無駄に落ち込んでる場合ではありません」
く、セリスさん、なんか色々心が痛いよ!
「ラクィーサ様、わざわざ報告に来るということはその漂流者は普通ではないということでしょうか?」
「ああ、確かに弱っちいんだが。そいつ魔獣に狩られてもしばらくするとその場で生き返るらしいんだよ」
その場で生き返る?
「擬態ではなく?」
「どうだろうね、手下の言う分にはどうにもそういう感じじゃないみたいだね」
となると……もしかすると俺と同じプレイヤーか?
「市長、何か心当たりでも?」
「心当たりというほどでもありませんが」
「場合によっては直感や思い付きも大切よMy Lord。あの賠償金の使い道の時みたいに」
あれは金に困ってるプレイヤーに適度に金の入る仕事があれば喜びそうって言っただけで、そこから実質プレイヤーを安くこき使うように仕組んだのはジャーメレナさんとレンドンドさんじゃ……。
「たとえ全てでなくとも、なにかのきっかけを作るということは大切よMy Lord」
プレイヤーを安くこき使うきっかけを作るとバレたら俺に集まるヘイトが最悪じゃないですか。
「為政者は綺麗ごとだけじゃすまないのよMy Lord、特に王ともなれば」
汚くしたのは俺じゃないような……。
「市長、その策で働いている皆さんから特にご不満が出ているわけではありませんし問題ありません」
「うまい仕組みで誰からも不満が出ず搾取できてるんだから気に病む必要はないわ。レハパパの火鱗族も人出が増えるのは助かるって喜んでいたでしょ」
それもそうだよな。自分たちで壊したものを修復してもらってると思えば特に問題ないか。
「それで、大将あんたの勘はあの弱っちい奴をなんだって言ってるんだい」
「私の予想ですが、その方は私と
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