第84話 Kiss of the dragon
……。
あれ? なんともない?
「ふむ」
く、紅さん?
「次から次へと」
なんだ? 今度は空飛ぶ船の横っ腹が開いて……。
あれは……おおお、なんか今度はミサイルみたいなのがこっちに。
「街でも城でもなく我が主を狙うか」
『ヤバイヤバイヤバイ』
ジラーテさん?
『王さま、これはヤバイ』
「一体どうしたんですか?」
『紅さまが完全にぶちギレてる』
へ?
『と、とにかく、絶対オレから離れないでくれよ王さま』
「わかりました」
『王さまがいなくなったら、オレの命が危ない』
は? そっち?
………なんだ?
紅さんの後に文字の書かれた円がいくつも……これは魔方陣ってやつか。
『く、くる!』
な!?
それぞれの魔方陣から炎の竜が!
「やれ」
?
炎の竜から赤い光が………は!? ミサイルみたいのが全部吹き飛んだ?
ってあああああ、空飛ぶ船の艦橋も吹き飛んだあああああ。
まずい、本当にぶちギレていらっしゃる。このままじゃ船を回収する前に、バラバラのスクラップだ。
「く、紅さん。ちょ、まって、止まってください」
今度は船の先端が消し飛んだ。
「紅さん!」
「……」
ひいい、き、聞こえてないぃぃぃ。
ああああっ、空飛ぶ船が切り刻まれていくうう。
最後は炎の竜のブレスで消し炭にいいい!
……あれは流石に回収不可能だな。
まあいいや。と、とにかく紅さんを止めないと。この辺一体が大変なことになりそうだ。
でも俺の声は聞こえてないみたいだし……そうだ! こうなったら誰かに助けを。
「鳳仙さん」
『……』
「ロカさん」
『……』
「ソフィアさん」
『……』
反応なし!
みんな一体どうしたんだ?
こうなったら最後の切り札。
交渉中に申し訳ありません。
「セリスさん!」
『……』
最後の切り札発動せず!
「ソフィア達もおらぬようだし遠慮は要らぬか」
へ?
「阿呆共が! まとめて消し炭となるがよい」
炎の竜達が集まって………。
のああああっ、そ、空から炎が降ってきた!?
『ひいいいい、お、王さま、絶対オレから離れないでくれ』
海上に残っていた船が全て消し炭に……。
って、全然炎の勢いが衰えないんですけど!
ここ、水上。というか海なんですけど!
『紅さまの炎は海水程度じゃ消えない。まずい、まずいぞ王さま。このままじゃこの辺一体が火の海になっちまう』
なっ!?
「く、紅さん、もう終わりました。止まってください!」
『駄目だ、全然聞こえてない。回りが目に入ってないぞ!』
やべぇ、このままじゃパヤバヤ一体が火の海に。
「ジラーテさん! どうすれば紅さんは止まりますか?」
『わかんねえ。オレたち竜族が暴走した時は討伐されるでもない限り、周囲を破壊しつくすまで止まらないのが普通だ』
そんな物騒な普通いらねえ、どっかに放り投げてくれよ。
『紅さまを討伐なんてオレには無理だ!』
「私も無理です! 他に何か、何か方法はないんですか?」
『あとは………そうだ! 何か強い衝撃を与えれば!』
「強い衝撃?」
『そう、おもいっきりぶん殴られるみたいな強烈なヤツだ!』
…………。
「紅さんにですか?」
『そうだ!』
…………。
「私の力では難しそうですが」
『オレも無理だ!』
万策尽きたな。
『市長!』
セリスさん!?
よかった、切り札がやっと発動してくれた!
『市長、周囲の海が地獄絵図のようになっているのですがこれは一体……』
「紅さんが暴走してしまったようで……」
『なるほど竜族の暴走ですか。厄介ですね』
「はい。私の力では止めることもできず」
『市長、諦めてはいけません!』
!?
『古来からヒロインの目を覚ます有名な方法があるではありませんか!』
「な、そんな便利な方法が? ってまさかあれですか!?」
いやいや、でもあれって眠ってるお姫様とかにするやつでしょ?
破壊の限りを尽くす美女相手ってのは聞いたことないんどけど。
『迷っている暇はありません! 早くしないと被害は広がる一方。このままでは街も島もただの焼け野はらになってしまいます!』
くそ、マジか?
マジでやるのか?
『市長、迷っている時間はありません!』
……。
『市長!』
ええい!紅さん申し訳ありません!
後で煮るなり焼くなり好きにしてください!
…………。
「なかなか情熱的だな、我が主よ」
「紅さん!」
「しかし、これは……うむ、セリスに感謝せぬとな」
?
「何でもない、こちらの話だ」
なんだかよくわからんが、とにかく火を消してもらわないと。
「紅さん」
「うむ、任せておけ」
おお!
炎の海の地獄絵図が一瞬で。
《攻撃側の大将が討伐されました。只今を持ってレハパパ攻城戦を終了します》
お、攻城戦も終わったか。
《なお救援要請によって参戦された皆様は1分後に、元の場所へと送還されます》
ふう、なんか特になにもしてないのにえらい疲れた。
《15秒》
「ふむ、此度の戦なかなか楽しめた」
な、近っ!?
んっ!?
「ふふふ。また次の機会も楽しみにしているぞ、我が主よ」
《送還開始します》
ちょ、え、は???
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます