第83話 海上大決戦
お任せしますっていわれてもな。
まあ、とりあえず……
「ジラーテさん、お手柔らかに飛んでくださいね。私一人だと簡単に落下する可能性がありますので」
しがみつく相手が降りちゃったからな。
『わかった、気を付ける』
「お願いします」
それにしても、見渡す限り船フネふね。船が8割、海が2割ってとこか。
今度は一体何処の方々なんだろうな?
!?
いきなり撃ってきやがった!
「皆さん、街をっおおおおおお!?」
ほ、炎が街を……覆ってる!?
「次から次へと、此度の戦は中々楽しませてくれる。だがこの程度の火力ではな」
……。
海の8割を埋める船からの一斉艦砲射撃がこの程度かぁ。
「御屋形さま!」
「親分、派手に暴れるんだぞ!」
「いつでもいけるわよ、ご主人さま」
えーと……。
「安心しろ我が主よ、何があっても妾が守ってやる」
いや、俺が心配しているのはそこではなくですね。
「ソフィアさん、ロカさん、鳳仙さん、よろしくお願いします。ただし、なるべく街には被害を出さないようにお願いします」
「承認したでござる! 参る!」
おおう。
船が数隻まとめて吹き飛んだ……
ソフィアミサイルの前じゃ人も軍艦も関係ないんだなぁ。
「ボクも続くんだぞ」
真っ二つ……船って斬れるんだねぇ。
竜巻を使わず、風の刃なのは一応海が荒れないようにってことかな?
「あらあら、二人とも派手ねぇ。それじゃあご主人さま、ワタシもいってくるわ」
……。
船の前に立って……正拳突き?
ふぁ?木っ端微塵!? 時間差で粉々とか、どっかの世紀末覇者かよ。
ドン、ザン、パン、ドン、ザン、パンっと。
小気味いいリズムだねぇ……音の元があれだけど。
って、あれ? 船が……消えた?
『市長』
「セリスさん、どうしました」
『交渉がまとまりました』
「もうですか?」
流石にはやすぎないか?
『戦場をご覧いただいたら、すぐに話がまとまりました』
…………。
うん、まあ、そうだね。
抵抗する気持ちとか、根こそぎへし折られるよね。
『今後の市長の領地との関係についてですが、これも私達が望む
そういや観光地がどうとかみたいな話だったもんな。
交通手段はこれから考えなきゃならないが、とりあえず行き来できる人は確保したってとこか。
『今回の戦闘に関しての取得物はすべて私達の物となります』
戦利品は好きにしろってことか。
『手始めに、鳳仙様のお力であちらの軍艦を何隻か拝借いたしました』
「拝借ですか?」
『はい、市長のアイテムリストに既に収納されているかと』
は!?
……………。
【戦艦ネーデリオス】
マジかぁ。
戦艦一隻が一アイテム扱いと。それも丸々収納とか……流石はゲームだな。
ああ、さっきら船が消えてるのはこれが原因か。
って、なんかすげえのが出てきたぞ!
『ご主人さま、見えてる?』
「ええ、流石にあれだけ大きければ」
『ご主人さま、ソフィアちゃんとロカちゃんに伝えて。あの船においたはしないでって』
?
『セリスちゃんがワタシ達に必要な船だって』
「わかりました」
まあ、あれが手に入るなら俺も反対はないな。
なんせ空飛ぶ船だからな!
『急いで、二人に伝えたけどどうにも伝わってないみたいなの』
ああ、うん、楽しくなっちゃってそうだしね。特にソフィアさん。
急いで止めないと、ミサイルで木っ端微塵だ。
「ソフィアさん」
『御屋形さま?』
「ソフィアさん、いま現れた空飛ぶ船については手出し無用でお願いします」
『む、丁度沈めようかと思っていたところでござったが。何事でござるか?』
危ねー、ギリギリだったか。
『こう、空にふわふわとしていて、なんというか今すぐに飛び付きたいのでござるが』
犬が蝶々追い回すみたいなもんか?
まあ、ヒラヒラする間もなく、追い付かれて吹きとばされそうだけどな。
「我慢してください。あの船は私達が頂戴します」
『承知したでござる!』
次はロカさんだな。
「ロカさん」
『親分、どうしたんだそ? 今からあの空に浮いてる奴をバラバラにするから忙しいんだぞ』
こっちもか。
何処の連中か知らないが、目立つもん乗ってたら危ないぞ。
「ロカさん、その空飛ぶ船には手出し無用です」
『むー、何でなんだぞ。ヒューんと行ってガシッとつかんでズバっとしたいんだぞ』
ボールにじゃれつく猫みたいな感じか?
じゃれつかれる方は命懸けだけどな。
「我慢してください、その船は私達が頂戴します」
『むー、了解したんだぞ』
よし、とりあえず説得終了。
「鳳仙さん、二人の説得完了しました。ただ、急いでください。今は他の船で気を紛らわしていますが、いつ気が変わるかわかりません!」
『わかったわ、ちょっと行ってくるわね』
「お気をつけ……ん」
なんだ?
空飛ぶ船の先端に光があつまって………
『ご主人さま?』
ぬおおおああああ!?
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