第81話 脅し(の予定)
やってきました、ハバメヤメ城。
そして絶賛迎撃され中。
まあ、自分の街の上空に
「親分、切り刻んでいいかだぞ?」
「ちなみに対象は?」
「あの城だぞ」
……。
「少し待ちましょうか」
「消し炭にしてくれようか?」
「対象は?」
「街だな」
……。
「少し待ちましょうか」
「御屋形様、吹き飛ばしてもいいでござるか?」
「対象は?」
「島ごとでござる」
……。
「少し待ちましょうか」
さて、この方々が暴れだす前に何とか決着をつけないとな。
「セリスさん」
「わかりました市長。なるべく無傷で手に入れるようにしましょう」
……。
うん、まあ四人の中では一番無難かな?
「お手柔らかにお願いします」
『王様、やさしいな! オレなら全部まとめて皆殺しだ』
…………。
「ソフィア様、下の騒がしい連中を静かにさせてもらえませんか?」
「わかったでござる」
「ただし、破壊行為は厳禁でお願いします。市長はこれから領地となる場所が傷つくことはお望みではないようなので」
いろいろ言いたいことはあるが、凄い無茶ぶりだな。
「うむ。それほどの強者もおらぬようだし、何とかなりそうでござるな」
え?できるの?
大きく息を吸って……どうするんだ?
『皆の者、控えるでござる!!!』
ぬおおおおおお、み、耳があああああ。
って、あれ? 迎撃が収まった?
「ふう、何とかなったでござるな」
???
「さすがソフィアちゃんね。咆哮だけで全員行動不能にしちゃうなんて」
は?
「それでは紅様、彼の城からしかるべき人物を呼び出していただけますか?」
「うむ」
「ロカ様、紅様の言葉を拡散させることは可能ですか?」
「紅姉の声を大きくすればいいんだぞ?」
「お願いします」
「まかせろだぞ」
???
『ハバメヤメ城主に次ぐ、此度の戦の責任者をここへ。もし従わぬのならば次は妾のこの炎を城に見舞うぞ』
うーん、でかいね。ジラーテさんをはるかに超える大きさだ。
こんなもん落ちてきたらお城どころか街ごと全部火だるまだね……。
「セリスさん、これ脅しですよね?」
「ええ、今のところは」
「ちょ、なんですかその微妙な表現は」
「ご心配しなくとも、紅様が市長の望まないことをされると思われますか?」
……。
「結構されるているかと」
「それもそうですね。では祈りましょう、うまく相手が脅されることを」
ハバメヤメの人、無駄な抵抗は辞めて!
お願い今すぐ出てきて責任者の人!
「あら? 誰か出てきたみたいよ」
本当だ、足がプルプルしてるおっさんが出てきた。
『お主が此度の戦の責任者か?』
「ああ、俺がこの城の王!レンドンドだ!」
この人が王様。んでもってダダンダさん達の街に喧嘩売った張本人か。
「一切抵抗するつもりはねえ! 俺の首が必要ならすぐにでも差し出す! 城が気に食わねえなら吹き飛ばしてもかまわねえ! だから街だけは、街だけは勘弁してくれ!!」
……あっさり降伏か。まあ、この過剰戦力相手ならむしろ英断か。
何にしてもこれで今回の防衛戦は終了ってことか。目まぐるしい展開だったが、終わりはあっさりしたもんだな。
「市長」
?
「彼は今回の首謀者ではありません」
へ?
「む? どう言うことだ、セリス」
「首謀者は国を放り投げて、海に逃げたようです」
この短時間で逃げる準備を終えて逃げ出した?
いやいや、いくらゲームだからってあり得ないだろ。
「でも、逃げるにしてもちょっと早すぎじゃないかしら?」
「どうやら以前から、ここを出る手配をしていたようです」
戦を仕掛けて、そのまま他国へでも逃げるつもりだったのか?
いや、逃げるだけならそのまま逃げた方が早いよな。ということは……一体どういうことだ?
「と、とにかく、えーと、レンドンドさんと話をつけても意味がないということですね」
「そうですね。この騒動を納めるという意味では」
「他にも意味があると?」
「折角、他の国のトップが頭を下げているのですし、国を手に入れるとまではいかずとも、色々とできることはあるかと」
流石は腹黒真っ黒セリスさん。抜け目がないようで。
「何か?」
「いえ」
「それでは市長、レンドンド様との交渉は私が行いますので、市長は新たなお客様のお相手を」
新たなお客様?
「親分! 船だぞ。しかも凄いたくさんだぞ!」
今度は一体何事なんだよ!?
全く次から次へと。ホントに今日は急展開が目白押しな1日だよ!
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