第75話 レハパパ再び

「おかえりなさいませ、市長」


「ただいまもどりました、セリスさん」


 しかし、ソフィアさん達はあいかわらずだったな。

 あんな地面が溶ける温度とか普通にあり得ないから。ましてやその溶けた地面の中を泳がせるとか、血の池地獄もびっくりだよ。

 まあ、紅さんもソフィアさんもなぜかビキニだったおかげで、少し楽しかったけどな。


「鍛錬の方はうまくいかれましたか?」


「ええ、おかげさまで。ある程度めどは立ちましたよ」


 あの火山の中どころか、多分マグマの中で水泳できるくらいにはなれたからな。


「それでは」


「ええ、再度レハパパへ向かってみます」


「わかりました。いってらっしゃいませ、市長」


「いってきます」


 さて、そんじゃ再チャレンジしてみますか!


 ▼ ▼ ▼ ▼ ▼


 おお、水路の水温の高さが気にならない。

 死ぬ気でというか死にながら鍛錬した意味があったってもんだ。


 お、入り口が見えてきた。

 そういや門番みたいな人に紹介状を渡しっぱなしだったな。えーっと、たしかダダンダさんとビビンザさんだっけか? あの二人が今回も門番だと話が早いんだが。


 うん、水から出ても問題なしだな。

 ってあれ? 誰もいない?


 門番がいたりいなかったりするのか? いや、さすがにそれはないだろ。

 ということは何らかの事情で席を外してるのか? まあ、よくわからんが無駄なトラブルにならないためにもとりあえずここで待った方がいいか。


 …………。


 ん?

 なんかあっちの方が騒がしいな。


 お、誰かこっちに来た。

 あれは……ビビンザさん?


「ム、お前はこの間の」


「先日はどうも」


「ビビンザ! なにをしている、ここはモうモたないゾ。早く後退しろ」


 あれはダダンダさん?

 なんか様子が変な感じだが……もしかして負傷してるのか?


「うム、わかった。急いデ後退しよう。それにしても大丈夫かダダンダ」


「ああ、なんとかな。ム、これは先日のお客人」


「先日はどうも」


「今日は普通のようダな。火護石を忘れなかったということか」


 いえ、そんな便利アイテムは今も持っていませんよ。

 ですが今ならマグマの中でも泳げますけどね!


「しかし折角訪ねてもらったのに申し訳ないガ、今は少々取り込ミ中ダ」


 っと、しょうもない自虐は置いといて。


「負傷もされているようですし、一体何があったのですか?」


「ドうやら、ハバメヤメの連中ガ攻メてきたようダ」


「ハバメヤメ?」


 この辺にいる魔獣かなんかか?


「ぬ? お客人、ハバメヤメを知らんのか?」


「ええ、私はマーリダーレから来ていますから。そのハバメヤメというのは一体何なのですか?」


「ハバメヤメというのは、お客人のような普人族の国で、この辺一帯を治めている王国のことダ」


 へー、そんなところがあるのか。

 ってそれどころじゃないな、いま攻めてきたって言ったよな?


「その王国がなぜ攻めて来たのですか?」


「今の王になる遥か前から、かの王国に我らは忠誠を誓うよう言われていた」


 ふむ。


「ダガ我らはその言葉に耳を傾けるつもりはなかった」


 まあ、忠誠を誓えとかいわれてもな。言われた側にその理由が無きゃな。


「なゼなら、奴らはこの火山デとれる火竜石全てを自分たちの物にしようとしたからダ」


 うんまあ、すぐ近くに貴重な資源があるから国ごとかっさらうってのは偽政者ならたやすく考えつくよな。ましてや金がからむからなその取り巻き連中もしかりだ。


「そしてそれだけでは飽き足らズ、おゾましいことに、我らがその身に持つ火の鱗を狙っているのダ」


「火の鱗?」


「ああ、我ら火鱗族はその名の通り、火や熱からその身を守る真っ赤な一枚の鱗を持っている」


 へー、だから火鱗族なのか。


「その鱗を彼らが狙っていると?」


「ああ。普人族の連中はの鱗を持てバ、自分たちも火や熱に強くなれると思っているのだ。さらにはあろうことか我らの鱗を宝飾品として扱う連中もいる」


 ……。


「鱗を取られた場合はどうなるのですか?」


「ドうにもならん、なくなった鱗は再生する。ダガ鱗は我らの全身を守るモの、それをこの身からは引きはガすことガ、ドれダけの苦痛を伴うことか。場合によっては死につなガる場合モあるのダ」


 再生もするのか……。

 くそったれ、胸糞悪いこと考えちまった。


「おいダダンダ、あれはトトンナのところの」


「なんデこんなところに? しかもハバメヤメの連中ガなダれ込んデきている」


 あー、うん。

 あの装備に統一感が一切ない感じ。あの人達はあれだよな。


「まズい、このママデは」


 はぁ。


「な!? ハバメヤメの連中ガ吹き飛んダ???」


「ダダンダさん、今のうちにあの子を」


「お客人?」


 PKかあ、まあしょうがないよなぁ。

 いくらゲームとはいえ、子どもを襲うのはさすがに無しだよなぁ。


 ん?


≪レハパパ攻城戦(防衛側)への参加を確認しました≫


 これイベント戦闘なのか。


≪救援要請が可能となりました。リスト内から5人に救援要請が可能です≫


 救援要請5人っていわれてもな、確か春香さんくらいしかいないんだが。


 ああ、そんなこともないのか……。

 というかこれ本当にいいんだよな???


 まあ、駄目ならエラーなり拒否なりされるだろうしな。

 やるだけタダだ、チェックを入れて実行っと。


 …………。


「む、御屋形様?」


 ……本当に来ちゃったよ。

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