第21話 はじめての建造物
色々ドタバタしたせいて忘れていたが、たしかレイドバトルの報酬が届いていたはず。
えーと、メニューをひらいてっと。お、メールの文字が光ってる。ってことはこれかな。
む? 背中に誰か……これはロカさんじゃない!?
「うーむ、これはこれでなかなか良いものだ」
「紅さん?」
「うむ、ロカを見ていてな。我もやってみようと」
ちょ、紅さん深いスリット入りのロングドレスみたいな服でしょ。ちょっ、これ手で支えていいの?
ぐ、が……不味い、紅さんも例に漏れず凄まじい力だ。このまましがみつかれていたら、俺が弾ける!
もう、これはしょうがないよな?不可抗力だよな?
「うむ、少し不安定だな。我が主、ロカの時のように支えてくれ」
よし、紅さんからお許しが出た。
「わかりました、それでは失礼して」
ぬおおお! 真っ白でスベスベな太ももが!
「ちょっと、紅ちゃん。その服だとお尻が見えそうよ」
な!?
「ふむ。だがここには見られて困るようなやからもおらんしな」
「それはそうだけど」
「何より、我はこれが気に入った」
「ご主人さま、何とかしてよ」
な、なんとかって。そうか、小さな子どもをおんぶする要領だ!
「む?」
あれ、なんか布がなくなった?片方の腕に衣類の感覚はあるのに片方の腕にはスベスベ……。
「ふーむ。直接衣類の中に手を入れてくるとはなかなか大胆であるな、我が主」
ぎゃああああ。スリットの中に手をいれてたのか!?
ってなんで腕に当たるのが全部スベスベなんだ?も、もしかして……。
「あの紅さん、つかぬことをお聞きしますが下着というものは?」
「下着? なんのことだ?」
だあああああああ。まさかの下着履いてない!ってことはこのスベスベは紅さんの!?
「も、申し訳ありません。今すぐ手を」
「我が主、なにを焦っておるのだ?」
「え?」
いや、だって紅さんの生のお尻が腕に当たっているのですよ?
「紅ちゃん。ご主人さまは紅ちゃんの体に直に触れてしまったことを、申し訳ないと思っているのよ」
「ふむ、そのようなこと。赤の他人でもなし、一々気にするな我が主」
えっと、もしかし紅さんとしては、ただのスキンシップくらいにしか考えてないってことか。
「そんなことより、何かしようとしていたのであろう? 我を気にせず続けるが良い」
続けろって……いやいや、こんなもん気になりすぎてできるか!
とにかくスリットから腕を抜いて、両腕でドレスの裾越しに紅さんのお尻を支えて。
「よいしょっと、これでよし」
「む?」
なんとか直に触ることだけは回避できた。布越しでも、十分感触は伝わってきてるけどな!
「ふむ、安定したな」
「紅さん、お言葉に甘えて今から少しだけ、別件に集中しますね」
「うむうむ。我は
「わかりました」
えーと、なんだっけ。
そうだ、レイドバトルの報酬だ。メールを開いてっと、ふむふむ、討伐貢献報酬リストから一つ、特別報酬リストから二つ選べるのか。
それじゃあ、貢献報酬リストから。結構色々あるんだがコレはもう迷うまでもないな、【特製メイカー作業用具セット】これだ。これなら燃やされる心配もなさそうだし。
次は特別報酬リストをってこれマジか!【宝玉機能増設:住人死に戻り】もう一つ目はコレしかないだろ。
後は何にするか。うーん、緑化も捨てがたいけど、今の領地の広さじゃなぁ。となると水場かなぁ。水があれば後々、農作物の栽培とか樹木を育てたりとかもできそうだし。
水場関連となると……これか?【巡る水を生む女神像】
何々、《この女神像を中心に水が巡り続ける》か。巡る水ってことは、自動で循環してくれる池とかそんな感じか?まさか自動ろ過システムの水槽って落ちはないだろう。
よし、もう一つはこれに決めた!
【特製メイカー作業用具セット】と【宝玉機能増設:住人死に戻り】と【巡る水を生む女神像】を選んで、決定と。
『レイドバトル報酬の選択を確認しました。【特製メイカー作業用具セット】を送付しました』
お、確かにアイテムが届いてる。
『宝玉に住人死に戻り機能を増設しました』
これは後で宝玉を確認してみるしかないな。
『【巡る水を生む女神像】を設置する場所を選んでください』
うお、いきなり目の前に地図が!
これもしかして、俺の領地か。となるとこの真ん中の小屋見たいのが宝玉のある小屋か。
『地図上で点滅する赤い四角が女神像となります。女神像を設置したい場所に、点滅する四角を設置し、決定を選択してください。女神像が設置されます』
おお、指で動かすと四角が動く。こういうのは街作りのSLGっぼいな。
『一度設置した女神像は水の女神の祝福により、移動することができなくなります』
なるほど。一応、今後のことも考えて設置しないといけないってことなんだろうけどなぁ、まだ小屋以外なんにもないんだよな。
うーんどうするか、綺麗な池の側っていうのも悪くない、小屋の横でいいか。
赤い四角を小屋の横に置いて、決定と。
『【巡る水を生む女神像】の設置場所を確認。【巡る水を生む女神像】を設置します』
問答無用でいきなり出てくるのね。ロカさん達がびっくりしてる。そして俺もびっくりだ。女神像、ちょっと大きくね?5メートルくらいあるんだけど。
水瓶を肩に乗せた女神像か。そういや小屋以外では、はじめての建造物だな。
「我が主、なぜ急に水の女神像が?」
しまった、さっき鳳仙に注意されたばかりだった! このままでは初めての建造物がいきなり揉め事の火種に!
「えーと、これはですね」
「しかもこの神々しさ。強い魔力を感じる」
あれ?
「これはもしかして女神の祝福を受けているのでは?」
怒ってない?
「もう少し近くで見ても?」
というより、好意的?
「どうぞ、どうぞ」
紅さんがすばやい足取りで女神像の足元に取りついた。
なにやら真剣な眼差しで女神像を見ているが、なんか鑑定中って感じだ。
「素晴らしい!これは良いものだ!」
紅さん、熱く叫んだりもするのか。なかなか意外な感じだ。
『【巡る水を生む女神像】の調整が完了しました。放水と循環を開始します』
なるほど女神像が肩にのせてる水瓶から水が流れてくるのか。小さな滝みたいで綺麗だな。
あれ?なんか水量が多くなってきたような……。うおおあお、一気に水量がダムの放水みたいに!? そして、巨大な流れとなって俺を襲ううううう。
おべばああああああああ!
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