第15話 傍観と観察、そしてセンタリング
北側の戦場に行く前に取りあえず戦況を観察して見るかね。どこか見晴らしの良さそうなところはないかな。
お、あれは時計塔かな?何でこんな防壁の近くにあるんだ? まあいいや、ちょうどいい感じの高さだし、あそこにいってみよう。
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うーん、戦場がバッチリ見渡せる。しかしまた、デカイ骸骨だね、全長15メートルくらいか。あれが今回のレイドバトルの本命かな?
後は骸骨軍団か。でもここにはあの紫の指揮官はいないみたいだ。
「ここが踏ん張りどころだ!」
こっちのプレイヤー達は東側のようにバラけてはないな。周囲の骸骨軍団がきれいに蹴散らされてる。
個別の戦力も上、集団戦闘でも上となると、戦況的にはそろそろあのデカ骸骨に手が届きそうな感じだな。
「よし、押し潰せ!」
門の前で仁王立ちしてる人が総司令官みたいだな。一人一人にまでしっかりと指示が行き届いてるし、これだけの人数をまとめてるのは凄いね。
なにかしらこういう仕事してる人なのかな? それにしたって、ぶっつけ本番でここまではむずかしいと思うんだが。こういうことに対抗するための大きい組織でもあるのかね?
「負けるな!奴等の数は確実に減っている!」
でもなぁ。ここまで組織的に動いてるとなると、俺みたいなイレギュラーな存在は邪魔だよな。ぶっつけ本番で指示通りに動く自信なんて全くないから。
他の人たちの戦い方ってのも見たことないし、ここは見学でもさせてもらおうかな。なんせ俺が見たことあるこの世界の戦闘って、ソフィアさんの虐殺劇だけだからな。
うーん、やっぱりみんな武器とか持ってるよね。素手で殴ってる人は……いないこともないか。
「近距離攻撃、一当てして押し返せ」
さっきから、ちょっと光ってから攻撃してるのは一体なんだろね? なんかエフェクトが付いてるのもあるし、なにかしらの特殊な攻撃なのかな?
「遠距離攻撃、今だ、撃てー!」
弓矢はわかるんだが今の炎はなんだ? 杖を構えてる人から出たみたいだが。もしかして、魔法ってやつか?
やっぱり使えるのか魔法。うーん、折角ファンタジーの世界に来たんだ一度は使ってみたいが、職業とかが関係するのかな。
「よし、相手は完全に崩れている。押し潰せ!」
今度はプレイヤー達がが激しく光りだした。
おおおおおお。みんな大技を繰り出し始めた、広範囲の敵がまとめて吹っ飛んでいくぞ。
お、あそこの人たちは二人まとめて派手に光った!
うおおお。派手なエフェクト! カッけええええええ! 威力もすさまじい!
うーん、バザーの件といい、今の戦闘の件といい。俺の知らないことが、えらい沢山ありそうだ。今度、丸田に色々と聞いてみよう。
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とうとう大物にたどり着いたな。
「全員ここからが本番だ。気を引き締めろ!」
ん? デカ骸骨の目が光った?
おお!目からビーム!薙ぎ払えええってか?
今ので何人かが吹っ飛んだみたいだが。攻撃の見た目の割には被害が少ないな。
ん~。よく見ると、みんな薄っすらと緑に光ってるけど、あれが理由か?
たしか鳳仙が石像の時にやりあったときも、あの色に光ってから速度が上がってたよな。原因はわからんが、あの色に光るのは何らかの能力が上がってるってことみたいだな。
「全員、一旦停止!」
しかし、あのデカ骸骨に攻撃ってどうするんだ? 遠距離攻撃なら届くが、接近戦となると。よじ登って殴るとかか?
「遠距離攻撃、撃てー!」
遠距離攻撃が始まったか。
「近距離攻撃、かかれー!」
接近戦が得意な連中は足を狙うのか。まあ、そこしか届かないしな。
「盾構え、防御姿勢! 遠距離攻撃、弾幕を! 回復支援用意! 攻撃来るぞ!」
デカ骸骨は拳と足で応戦か。虫対人みたいなもんだし、叩き潰すと踏み潰すが基本にはなるか。
虫対人かぁ、実際に虫があんなに大勢で襲ってきたら俺は逃げるな。強い弱いよりもビジュアル的に無理だ。大量の虫に襲われる自分とか、想像するだけで勝ち目がない。
「防御姿勢崩すな! 遠距離攻撃、弾幕を! 回復支援はじめ!」
あのでかい拳と足の攻撃を耐えきるのか。ほとんど死に戻りもいないんじゃないのか? 指揮官が優秀なのか、戦ってるやつらが優秀なのか。その両方か。
「よし、ボスの攻撃が止んだ。攻撃再開! 動けない者達を後方に、待機している者達を前へ!」
あいつもでかいだけあって細かく連続では攻撃できないみたいだな。
しかし、あの目からビームを連発しないのはなんでだ?叩き潰すより、ビームの方が効率良さそうなのに。
「そろそろ先程の範囲攻撃も警戒しろ!」
目が光った。噂をすればじゃないが、さっきのビームかな?
「全員待避!」
おお!全員綺麗に退避した。すげー。
あれだけの部隊を一斉に退避させるか。あの指揮官とんでもねえわ。そして、こんだけ統一されて行動できる彼奴らもすげーわ。
「全員警戒態勢を怠るな!」
デカ骸骨は三発目のビームはなしか。どうやら撃つのに時間がかかるみたいだな。
「攻撃再開!」
しかし、あの盾もってる連中はすげえな。あのデカい拳や足を複数でとはいえ、跳ね返してる。
防御、攻撃、退避と流れるように変化するな。さて、デカ骸骨はどう動くかな?
んー、変化なし。特に攻撃が効いてないから気にならないのか、それとも自分で判断できないのか。
動きが機械的だし、後者かな?しかしなんであんなに機械的に動かす?セリスさんたちを見れば、もっと複雑な動きだって可能そうなのに。 あまり難易度をあげないために、敢えてあの動きなのかね?
お、足が壊れた。
「よし! 態勢がくずれた、たたみかけろ!」
おおう、デカ骸骨にプレイヤー達が。これは勝負あったか?
いや、なんかそんな空気でもないな。あのデカ骸骨まだなんかあるだろ。
お、デカ骸骨が激しく光った?これってプレイヤーと一緒なら大技の前触れだろ?
「全員退避! 何が起こるかわからん! 防御に徹しろ!」
口に光?球体を吐き出した!
!?
うおお、遠距離攻撃部隊の一角がまとめて吹っ飛んだ。吹っ飛んだ後はクレーター以外なにもなしか、結構な火力だな。しかも、今度は連射可能かよ。
流石に隊列が崩れ始めたな。あれだけの高火力を連発されるのは流石にきついか。
「体勢を立て直す!回復支援、後方部隊の回復を優先!」
今度は回復に向かう連中をねらい撃ちか。建て直そうとするところを、重点的に狙い撃ちとかえげつないな。
「盾持ちは全員、後方の立て直しを支援。のこった前衛は近距離攻撃開始! 後方から注意を逸らせ!」
近距離攻撃の連中には見向きもしないな。ひたすら崩れたところをねらい撃ちかよ。これはさすがにやりすぎじゃないか? 一定ダメージが溜まってからの攻撃が尋常じゃない。
「攻撃が止んだ。今のうちに立て直すぞ!」
む?こっちを向いた。狙いを街に定めたのか? あの火力、街の防壁で耐えられるのか?って、撃ってきやがった! しかもなんでこっちにくるんだよ!
くそったれ、このままだと時計塔というか俺に直撃だ。どうする?
……ボールっぽいんだよなよなあれ。ボールみたいに蹴れないかな。
いやいやいや。吹っ飛んで終わりだぞ。
……。
いやでも蹴れそうなんだよな。あー、どうする?いけるか?いっちゃうか!
どうせ吹っ飛ぶなら派手にいこう。死に戻りは慣れてる!
ナイスなサイドチェンジだ、デカ骸骨。ダイレクトで折り返してやるよ。受けとれ、デカ骸骨!!
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