第16話 PKとダイレクトプレイ

 おお、うまくいった!あれ蹴れるのか。って、やべえ。蹴り込む場所が逸れた。

 でも、あの方向ならプレイヤーもいないし大丈夫そう、じゃない!誰かいるぞ、しかも三人も。


「避けろ! ナッ○!」


 くそ、この距離じゃ声が届かない。それよりも彼奴らどこを見てる?早く避けろよ!


 ああああああ!


 殺ってしまった。跡形もなく吹っ飛んだ。うん、でもプレイヤーのはずだし。大丈夫!と思うことにしよう。


 そういえばうちの住民たちって死に戻りあるのかな?

 ないなら、なんとか出来るようになるといいんだが。ソフィアさんのフレンドリーファイヤがヤバすぎるからな。帰ったら調べてみよう。


 それにしてもPK、PKかぁ。ペナルティエリア内のファールは気を付けないとな。咄嗟に手を引っ込めるのも大事なんだよな。


 ……さて現実逃避の時間は終わりだ。


 名前が赤くなったり、街の施設が使えなかったりするのかな? そして賞金首として狙われたり……。

 でもよく考えると、どれもあんまり関係なさそうだな。なんせ俺の領地だと他のプレイヤーに会えないしな。領地以外の街とかもないし。自分で言っててあれだけど、ひでえゲームだな、おい。


 ああ、でも、自分の領地に入れないとか、住人に嫌われるとかあるのかな?

 今の俺の状況でそれは地獄だ。領地に入れないとなると、あの魔獣どもに殺られまくる。住人に嫌われてもソフィアさんに殺られまくる。でもよく考えたら、今のところずっとそんな感じだよな、俺。


「ふう」


 色々と考えて一息ついてみたが……特に何も起こらないな。レイドバトル中のフレンドリーファイヤは、大目に見てもらえるのか?

 それにしても、なんであんなところに三人だけ。漁夫の利狙いとかそんな感じかね。


 な!? 危な!

 ああ、街の建物の一部が吹っ飛んだ。


 くそったれ、どんだけ撃てるんだよあの球体。避けたら街に被害がでるし。全部なんて蹴り返せないぞ。

 ってあれ?なんかデカ骸骨の攻撃がめちゃくちゃな方向に飛びかってる?


 何だ?何があった?

 ボスのダメージが一定に達して、攻撃パターンが変わったのか?なんにしてもあんな適当な攻撃なら。


「よし、攻撃が乱れてきた。建て直すぞ! 回復支援急げ!他の者は防御に専念しろ!」


 やっぱりな、建て直してきた。それにしても早いな、兵は神速を尊ぶ、を地でいってる感じだ。


 ▼ ▼ ▼ ▼ ▼


 デカ骸骨の動きが鈍くなってきた。今度こそ、勝負ありっぽいな。


 !?


 また激しく光った。しかも今までで一番激しい! 今度は何をする?ってなんだ、ありゃ?

 口から、ばかでかい球体が出てきた。おいおい、デカ骸骨よりでかいぞ。あんなもん、どこに入ってたんだよ。


 球体出しきった骸骨野郎がバラバラに。ってことは、あの球体が本体か?


 うお!? 目? 球体が一つ目野郎に!


 しかし、えらい高いところに浮いてるな。あの高さじゃ、プレイヤー側の攻撃がほとんとどかないだろ。どうやって戦うんだ?


 なんだ?一つ目野郎から、複数の小さい球体が出てきた。なんか一つ目野郎が小さくなったような……。

 そんなことよりも、あの小さい球体。どう見てもデカ骸骨が撒き散らしてたヤツだよな。

 ってことは……。


 おおう。絨毯爆撃かよ。

 プレイヤーがゴミのようだ!ってか。隊列もなにもあったもんじゃないな。洒落になってないぞ。


 ん? 一つ目野郎また小さくなったか?

 ……やば!目があってしまった……。


 なんだなんか出てきたぞ?触手? げ、球体を掴んで……投擲してきやがった!


 あれ? でも、さっきより球体の速度が落ちてる。こんなもんなら。余裕であわせられる!


 今度はダイレクトシュートだ、受けとれ一つ目野郎!


 あ……しまった。つい、人のいないところを……。

 ああ! また三人組。さっきのやつらか?

 しつこいよ、なんでいつもボールの飛ぶところにいるんだよ。どんなボールにもあわせてくるとか、お前らいいFWだな!


「避けろ! ナッ○!」


 ああああああ!


 また直撃したあ! そしてまた、跡形もなく……。

 でも俺には変化なしか。やっぱりレイドバトル中はお咎めなしなのか?


 よし!あの人達には後で謝ろう。切り替えていくぞ!


 そして一つ目やろうがまたこっちにボールを。性懲りもなく! だが次は外さない!


 ダイレクトシュートだ、この一つ目野郎!


 おお、当たった当たった。

 んー、でもあんまり効果なしか?

 でも若干プルプル震えてるか?って、触手が四本に増えた!?そしてボールも四個か!


 だがその程度の速度なら。


 オーバヘッドキックからの!

 ダイレクトボレーからの!

 ダイレクトシュート!


 最後はダイビングヘッドだ、この一つ目野郎!


 あれ?なんか蹴るのと感触が……。


 おばぁああああああ!

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