第11話 初めの一歩

 しかし、アレだな鳳仙一人いるだけで、小屋が無茶苦茶狭く感じるな。


「あらん、何かしらご主人さま」


「いえ、流石に小屋が狭くなったなと」


「そうねぇ。でもアタシ建築は専門外だから」


「なるほど。では鳳仙さんは何ができるのですか?」


 ベンチプレスとプロテイン?


「裁縫に細工、あとは鍛冶と木工くらいかしら」


 えらく色々できるな。それともこれがココじゃ普通なのか?


「セリスさん、鳳仙さんの話を聞くと、大変器用な方のように聞こえるのですが」


「まだ製作物を拝見していませんのでなんとも言えませんが、もしそうなら素晴らしい人材を得たかと」


 なるほど、凄いのはキャラだけじゃないということか。


「そういうのだったらボクもあるぞ!」


「ロカさんは何が得意なのですか?」


「測量と設計だぞ!」


 まじか!? 見た目的に昼寝とか言いそうなのに。


「二人のようにものを作ることには関係ないが、我も一応もっているぞ」


「紅さんも?」


「我が持っているのは財宝探索と宝石鑑定だ」


 元が竜だけにやっぱり金銀財宝が好きなのかね? それに付随した財宝探しと本物鑑定?


「あらん? 紅ちゃん、宝石鑑定は立派に物づくりにかかわると思うわよ」


「そうなのか?」


「それはそうよ。宝石鑑定って魔法石なんかの見分けもつくでしょう?」


「ああ」


「魔法石は色々な物づくりに使うから、それを鑑定してもらえるのはとっても助かると思うわん」


「なるほど。では我も役に立てそうだな」


 お、なんか紅さんが嬉しそうだ。鳳仙さん感謝。


「市長、まずはほかの魔獣の核を宝玉にささげてみてはいかがでしょうか?」


「そうですね。もしかしたら、なにかいいものがあるかもしれませんし」


 それじゃあ、この大量にある小さい奴をささげてみますか。

 そういえば三人の核は個別あつかいだったのに、他のは一纏めになってるな。あれだけの量だ、一個一個ささげなくてもいいのは助かる。




 よしささげ終わったぞ。


 あれ?

 魔獣転生が選べない。なんか法則があるのかね?

 ま、いいや。とりあえず今は建材だ。


おお、結構な種類があるんだな。

ふむふむ……だめだ全然わからん。素材個別で板とかの意味はわかるんだが。それをどうすれば家になるのかさっぱりわからん。


 ロカさんに設計図を書いてもらえばいいのか?


「ロカさん、素人でも建てられるような簡単な小屋の設計図とか用意できますか?」


「うーん簡単て、どれくらいだぞ?」


「そうですね、ロカさんや私たちでも作れるくらいのものです」


「親分やボクたちが作れるものかぁ。そのリストに出てる建材をボクにも見せてほしいぞ」


「うーん、どうでしょうか?」


「市長、メニューの方から設定が可能です」


 ほんとか。便利だなメニュー。


 えーと、設定、設定と。あったあった。ここから選択してにチェックを入れればいいのか。


「できましたよロカさん」


「ありがとーだぞ、親分」


「市長、私たちにも見えるようにしていただけたのですか?」


 セリスさん達、五人全員に開放したのまずかったか?


「なにか問題がありましたか?」


「い、いえ」


「ん~、さすがご主人さまねぇ」


「感謝する、我が主」


 見られたところで、選択できるのは俺だけだしね。問題ないでしょ。というか一緒に見てもらった方が確実に助かると思うんだが。


「何とかなりそうだぞ」


「助かります、さすがにこの小屋に五人は狭いですから」


 ログインのたびにソフィアさんに、死に戻りさせられるのは勘弁してほしいからな。


「それでどの建材を出せばよいですか?」


「んーと、これとこれとこれでよろしく頼むぞ。それと鳳仙」


「なにかしらロカちゃん」


「設計図どうりに、木を加工してほしいぞ」


「加工ねぇ。そこまで大きなものとなるとどうかしら」


「鳳仙さん、失敗しても構いませんのでやってみましょう」


 無駄遣いしてほしいわけじゃないが、このままってわけにもいかないからな。失敗は成功の元、トライ&エラーだ。


「ご主人さまがそうおっしゃるなら」


 よーっし!何とかなりそうだぞ。いや、何とかなってくれよ!


「ところでご主人さま」


「どうしましたか?」


「木を加工する道具がないのだけれど」


「あ、ほんとだぞ。ボクも設計図を書き起こす道具がないぞ」


 まじかあ。

 現実と一緒で色々な道具が必要なのかよ。なんかゲーム的な力でちょちょっとやるわけじゃないのか。


 さてどうしたものか。


「セリスさん、何か妙案はありませんか?」


「ドロップアイテムを確認してみてはいかがでしょうか?」


 なるほど。確かにあれだけあれば、色々と使えるものがありそうだ!


「ロカさん、鳳仙さん。アイテム欄を解放しますので使えそうなものがあるか見ていただけますか?」


「え? いいのだぞ?」


「ご主人さま、太っ腹ねぇ」


「無駄遣いは勘弁してくださいよ」


「わかってるぞ」


「当然よ」




 ……。


「駄目だぞ。ないぞ親分」


「こっちも駄目ねん」


 まじかあ。でも筆記用具とかノミとか鉋持ってる魔獣なんて早々いないよなあ。


「これは外から仕入れてくるしかなさそうですね」


「外ですか」


「はい、ですので市長頑張ってください!」


 頑張るっていわれてもなあ、どうすりゃいいのか。


「親分!」


「ご主人さま!」


 期待のまなざしが痛すぎる! でもNOとは言えないよなぁ。


 はあ。


「が、がんばります」

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