第10話 新しい住人

 いい朝だ! 早速ログインして、今日も楽しく遊びますか。


 ▼ ▼ ▼ ▼ ▼


 !?

 このフワフワは、柔らかな海か!しかも痛い! 普通なら幸せな時間なんだが、ログインと同時に死にそうだ。


「ソフィアさん」


「むにゃむにゃ、御屋形様ー」


 うがああああ。

 あ、頭が割れる!まずい、本当に死に戻りしそうだ。


「そ、ソフィアさん、起きてください!私の頭が弾けます!」


「むにゃむにゃ」


「ぎゃあああああ!」




「おかえりなさいませ、市長」


「ただいま、セリスさん。ログインと同時にひどい目にあいましたよ」


「ぷ。それでは今日も街作り、お願いいたします」


 うん、もうなれてきた。セリスさんは人が困るのを見て喜ぶところがあるよな。人の趣味嗜好に文句をつけるつもりはないけどさ。ただ、適当なこと言って振り回すのは勘弁してほしい。


 まあ、いいや。人?それぞれだしな。それよりも街作りだ。


 まずは昨日のドロップアイテムの吟味だな。最初はやはり魔獣の核だな。あれだけ討伐したんだ、かなりの魔獣の核がありそうだ。


 ……あれ?

 思ったよりも少ないな。いや、小さいのか。


「セリスさん、小さい核がかなり多いような気がするのですが」


「それは市長が関わらず、ソフィアさん一人で倒した魔獣のものですね」


「どういうことでしょうか?」


「市長が一度でも何らかの形で戦闘に関わると、こちらのような魔獣の強さに相当した大きさの核が得られます」


 ふむ。


「関わっていない戦闘の場合は、どんな強い相手であっても一番小さい核しかドロップしません」


 なるほど。


「関わると言うのはどの程度のことを言うのでしょうか?」


「基本的には、市長に触れたか、市長が何らかの形で攻撃をした相手になりますね」


 なるほど。


 大きいのが3個しかないのは、巨人と竜と鳥しか俺が触れてないからか。うーむ、避けまくった弊害がこんなところに出るとは。次からはワンタッチくらいはするようにしよう。

 それでも大きな核が三個も手に入ったし。早速、この三個を宝玉に捧げてみよう。


 アイテム欄を開いて選択っと。よし、吸い込まれたな。宝玉を二回ノックして。お、でたでた。さて、どうするか……。


 うーん、やっぱこれかな。


 眩しっ!


「ボクは風華霊鳥の化身。よろしくだぞ親分!」


「はじめまして我が主。我は焔神赤竜の化身、これからよろしく頼む」


「はじめましてご主人さま。アタシは金剛巨神の化身、よろしくねん」


 緑髪ショート、碧眼、背は低め、ただしソフィアさんより大きい部分ありな南国娘。

 赤髪ロング、赤目のスレンダー系美女。

 スキンヘッドに筋骨隆々、マッチョなおっさん。


 うん、まあ、最後に凄いのが出てきたな。


「市長、この小さな小屋と狭い領地で、住人を増やしてどうするおつもりですか?」


「いや、つい勢いというかなんというか」


「はあ。それにしてもまた、珍しい魔獣ばかりですね」


「そうなんですか?」


「ええ、みなソフィアさん並みに珍しい魔獣ですよ。その実力も折り紙つきです」


 ……。

 そんなのしかいないスタート地点。マジで難易度高すぎないか?

 これ、たまたま、うまくいったが。普通ならクソゲー認定してゲームエンドだろ。


「さあ、市長。皆さんにお名前を」


 やっぱりか。何気にソフィアさんと戦うよりも強敵なんだよな。


 名前、名前、名前。


「風、天気、気候……ロカ」


「わかったよ。ボクはロカ、改めてよろしくね!」


 よし、次。


「火、炎、赤……くれない


「了解した、我は紅。我が主、今後ともよろしく頼む」


 よしよし、良いペースだ。このまま全員終わらせる!


「オッサン、おっさん、マッチョ……権之助!」


「ご主人さま、それはお断りしますわん」


 なんでだよ?

 見た目と完全に一致してるだろ。もう、権之助全開じゃね?


「ご主人さま、他のでお願い」


 うーん。


「筋肉、きんにく、オッサン……剛太郎!」


「ご主人さま、却下」


 なんだよ、贅沢だな。


「オッサン、筋肉「オッサンと筋肉から離れて!」」


 しょうがないな。


「なんでアタシから離れるのかしらん?」


「いえ、オッサンと筋肉から離れろと」


「ちがうわよん! アタシの名前のことよ」


「なんだ、そういうことですか。ならデカイ、ごつい「それも嫌」」


 うーん、なかなか厳しい。

 そうか、目を開けてるのがダメなんだな。姿さえ見えなければ!


「ご主人さま、どうしたの目をつぶって」


 ……。


 駄目だな。目に焼き付いてるな、これ。

 目をつぶったほうがよりイメージが強くなる。


 剛、強い、個性的……。


鳳仙ほうせん


「あら、なかなかね。いいわ、ワタシは鳳仙。これからよろしくねん、ご主人さま」


 美少女と美女とおっさんが仲間になった!

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