……死んだのは、この子を監視してた大人だった。


 自由研究の監視、危険があったら止める役、それがショック死したのだ。


 原因は不明、ただしそれに関連してるだろう異常を、彼らは見つけていた。


「これからお見せするのは、大変衝撃的な内容です。異変があるとわかればすぐに止めますので」


 そう前置きされて名が冴えれたのは、島の録画となった。


 入島した子供、荷物や島を見て回り、海の水に戯れる様子が退屈に流れた。


 暫くして変化、雨風、吹きつける冷たく濡れた風に、子供は奮闘した。


 毛布をかぶり、冊子も巻き付け食事をし、風から逃れようと木陰や岩陰を渡り歩く。


 それでも耐えられないと、顔に出ていた。しばらく奮闘した後、ナイフを取り出すと、じっと見つめてから木の一本へと向かっていった。


 映像が切られた。


「ここから先は、言葉で説明しましょう。彼女は、この後、恐ろしいことに、木へ、ナイフを……」


 ここまでで、続きを話さない。が、それでわかった。


 伐採。生木でも風よけの壁ならば作れるだろう。


 シミュレーションで、ただの枝で、ショック死までして、大騒ぎできるのはピースリアンだからだろう。


 あれが女だったことの方が驚きな地球人には遠い感覚だ。


「大変です!」


 そこへ別の大人が飛び込んできた。


「事情を放したら彼女も震え始めました! どうしましょう!」


 ストレートな物言いに立ち上がるとそのまま現場へワープさせられた。


 目の前に椅子に座ったあの子、あの震えが出ていた。


 やばい状況だった。


「枝は、切っても大丈夫なんです」


 うわ言だ。


「だって、地球人さんが言ってました」


 それでわかった。補習の教室、耳を塞いでいた生徒の一人、あの会話が切っ掛け、すなわち外交問題だ。


 地球の脳が体を動かし、彼女の両肩を掴ませ、目を合わさせる。


「これが、自由研究なんだ」


 考えなしに出た言葉にきょとんとされる。


「あの場面、行動しなければ凍えてたし、枝を切るのも程度の問題だった。だけども君たちは説明しないとわからないで、固まって、死んでしまう。それを直すための自由研究だったんだ。だけどこうなってしまった。地球人でなら予測できてたこと、だけども君らには無理だった。だから悪いのは、わかってて止められなかった地球人なんだ」


 震えが止まると同時に気が付く。


 外交問題のままだ。


 取り繕う前に、抱きつかれ、泣かれてしまった。


 ……これを遮ったらまた震えそうで、何も言えなくなった。

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