第19話

そのときの私はまだ子どもで、子どもだからこそ、彼を独り占めしたくなったんです。

だって、『ハロウィンにキミをおどろかせに行ってもいいですか』って言われたから。

聞くことじゃないのに、わざわざ聞いてくれたのがすごく嬉しくて。



お母さんに、「明日はいっぱい、かごいっぱいのお菓子を用意してね! 」ってお願いしました。

お母さんは笑いながら、チラチラお父さんを見てうなづいてくれました。


当日、真っ先に私のうちに来てくれたパンプキンくん。

嬉しかったです。

玄関前を行ったり来たりしていたことは、内緒です。

結局彼は、私からもらったかごいっぱいのお菓子だけを抱えていました。

他の子からはもらいに行かなかったんです。

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