第6話

扉を開けると、強い風が吹き付けた。まるで、この世界に歓迎されていないみたいだ。僕はそんなことを思って辺りを見渡す。


どうやらここはマンションの角部屋。僕の左手には4つの扉があり、その扉の横に、奥の方から401、402、403、404と表札が取り付けられている。扉を閉めて確認すると、僕の出てきた部屋は405という表札が取り付けられていた。

4ということは、ここは4階なのかな。

そんなことを思いながら右手に目を遣る。

右側には、階段が設けられていた。少し近づき覗いてみると、階段は螺旋状となり、下まで続いていた。

1番下、おそらく地上であろう地面は、雪が積もっているかのように真っ白であった。しかし、目を凝らすと、堅そうな質感であり、どうやら雪ではなさそうだ。後で降りて確かめてみることにしよう。

 そして、もう一度左側を確認してみる。よくみると、401の奥にもう一つ扉があるように見える。慎重に近づいてゆく。404を、403を、402を、そして401の前を通り過ぎてゆく。そして、奥にある扉を覗き、なんだか納得した。エレベーターの扉だったのだ。


「マンションには、そりゃあついてるよな。」


ぼそっと呟きながら、手元の方に目を遣る。エレベーターのボタンは上と下の2つがあり、この階より上の階があることを知った。


そして、405まで戻る。その際に、401から404までの全ての部屋の扉にそっと耳を当て、中に人にしろ、人以外にしろ、何か生き物がいないかどうかを確認した。


しかし、全ての部屋からは、全くと言っていいほど何も聞こえなかった。外出しているのか、そもそも誰も住んでいないのか。とりあえず、今現在周囲に誰もいなそうだという情報を得た。


とりあえず、海の方に向かってみようか。


僕はそう思い、階段を慎重に降ってゆく。

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