第49話 無理矢理感の強い終わり方
元通りだった。
元通りの家族。父に母にマキ姉に妹。
元通りの学校。ミハル先生にユキヒメ会長にリンカ先輩にリラ先輩にチューなんとか先輩。
俺も元の16歳の姿に戻り、元通り高校生活を送っている。
天災学園も元通りだ。ノゾムにチカにイナにホムラにフウカ。
ちなみにこの新しい世界では何とノゾムの母は生きていた。父親とは離婚した状態らしいが。しかしそれでは俺とノゾムたちとの接点が無かった事にならないか?と思ったが、イザナミが上手く調整してくれたらしい。あいつめ粋な真似を。
もう1つ粋な計らいがあった。
アイデアの存在も無くなった事でシロウとコウイチの確執も消え、今では働く場所は違えど仲良くやってるらしい。毒島さんは正式なシロウ医師の息子として父と同じ病院で働いている。母ミサキも生きている。
それにしても、まさかカナメ先生がアイデアの一員だったとは驚いた。(省略されたエピソード)
彼女は今では普通にうちの高校で教師をしている。しかし……時々1人の部外者の女が物陰からカナメ先生の事を危ない目で見ている事に気付いた。アイデアの施設で会ったドクター・パペットことマリだ。妹を操って俺から能力の詳細を聞き出したらしい。ゲイのストーカーだな……通報した方がいいんじゃ……?
皆前と変わらず同じ能力を持っている。
俺以外は
これでよかったんだ。もう俺は最強ではない。
やっと最強から解放された。
これからは何の能力も持たないただの人間として生きていくんだ。
で、そんなある日の朝。
「……またかああああああいっ!」
家中に女の声が響き渡った。
昨日体育祭で偶然発動した『恥部』によって俺はイズミ先輩とユキヒメ先輩とチカとイナの4人の力を一時的に得て使った。お陰で我が赤組は優勝したけども、翌朝になったらまた混ざってた。今度は前ほど胸大きくならなかったけど……。
「助けてイチえもん!マキえもん!」
「しょうがないなぁノブ太くんは(2人のだみ声)」
俺は妹に助けられて生理を、マキ姉に助けられてブラジャーを何とかした。まさか女になる度に女の子の日なんじゃなかろうな……。
今日は平日だったが当然学校は休んだ。
あの『恥部』だけは何とかできないものかと悩んでいたある日の事だった。
「ええ……突然ですが、今日から転校生がこのクラスに入ります」とミハル先生が朝のホームルームで言った。
そして教室に入って来たのは見覚えのあるツインテール少女。俺は思わずゲルニカのあの電球の下の馬みたいな顔になった(イメージ)
「イザナミです。よろしくお願いします。」
ニコッと笑いながらそう言う女神(自称)はその後、なぜかたまたま空いていた俺の左隣の席に座った
「よろしくね。ツクヨミ君」
「お前……どういうつもり?」
放課後に俺はツクヨミに天災学園へと連れて来られた
「あれ?何でここに?」
そこに帰宅しようと出て来たチカたちと会った。
「カグちゃん!」
突然イザナミがホムラに抱き着いた。
「え?ちょっ!何ですか?」
「ちょっと君だれ?あたしのホムッちから離れてよぉ!」
「カグちゃんって…まさか…」
俺が察すると、イザナミはこっちを向いて言った。
「そうよ。この子はわたしが最後に産んでわたしを殺してイザナギに殺されたあのカグツチの可能性の1つよ」
「やっぱりか…そしてマジか……」
じゃあ俺とホムラは兄弟みたいな物って事じゃないか。
「え?殺したってどういう……?」
あたふたしているホムラを解放すると、イザナミは俺に向かって言った。
「わたし決めたの。他の神の可能性たちも探して、新たな神話を作るって。イザナギもアマテラスもスサノオも皆見つけてみせるわ」
「……黄泉はどうするのさ?お前、あそこの主人とかじゃなかったの?」
「別に?後はシコメちゃんたちに任せてあるし」
フリーダムだなこの女神(自称)。シコメって
「あの子たち、ブドウとタケノコが大好物なのよ。それでお願いしたらすんなりオッケーしてくれたし」
「ねえ…その子誰なの?」
チカが俺に質問した。
「ああ……こいつはだな……」
何と言えばいいか?
「わたしはイザナミ。彼の…親戚よ」
イザナミが言った。……まあ、間違ってはいないか。実際は義理の母みたいな物だが。
「神探し、俺は手伝わねえぞ?」
「別にいいけど、その代わり、あなたには私をこの家に居候させて貰うわよ」
自宅に帰った後でイザナミが言った。
「はあ?何で?ていうか、そんなの家族が……」
「あらイザナミちゃん!久しぶり!」
「お久しぶりですおばさん!今日からお世話になります!」
「やあイザナミちゃん。大きくなったな!」
「久しぶりー!」
「イザ姉ようこそ!」
うちの家族全員イザナミを大歓迎だった。
「言ったでしょ?親戚だって」
こいつ……粋な計らいついでに俺の家族の記憶までいじりやがった……。
こうして、家族が1人増えて、俺の日常は続いていくのだった。……これ、実は現実じゃなかったってオチになったりしねえかな……まあ、前までの世界に比べたら幾分マシな現実だと思うが。この世界が誰かの想像だなんて、そんな事は絶対に信じない。でもまあ、神の可能性程度の非現実的な現実なら、あってもいいんじゃないかと思った。
第一部 完
俺、神と魔王どっちが向いてますかね?(俺ます) 火田案山子 @CUDAKI
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます