第45話 第三者視点

アイデアの施設の中ではコウイチと毒島が話していた。


 「あの男、悪人に次々と私刑行為をしている様だね?」

 「はい。能力は意外と超人的身体能力しか作れませんでしたが、何やら変なスイッチが入ってしまった様で、元々の悪感知能力と合わせて積極的に動いてる様です」

「ふむ……悪人がどこにいるのか分かっても、それに立ち向かう勇気や力が無ければ何の意味もない。あの男が本来持っていた強い正義感が実験と良い相乗効果を表した……という事かも知れんな」

「あの青年の父親だから、同等以上の物が現れると踏んでいたのですが、分からない物ですね…」

「構わんさ。お陰で悪人たちは懲らしめられていき、確実に社会は良くなっていっている。彼も、元々は悪人と言える類の人間だった様だが、人は変われる物だ」

 「ときに、アレの状態は…?」

 「トゥーがワンに変わるのも、いよいよ今夜だろう。君たちの尽力には感謝している」

「おお……いよいよですか」

 普段無表情な毒島も、流石にこの時はマスクの中で口角が上がった。

「人口能力のデータ。ドクター・パペットが取ってきてくれた『最強』のデータ。そして……君の母ミサキが遺したデータ」

 「……」

 母の名が出た事で、毒島の表情は少し曇った。

 「これらによりようやく完成するのだ。ОNE(ワン)が」


そしてコウイチは言った。


「始まるぞ。全人類が“1つ”になる時がな……」

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