第29話 俺らは目指した、シャングリラ
8月11日。
駅前に7人が集合した。
これから俺たちは電車で海の近くの温泉旅館へと1箔2日の旅行に出るのだ。
男子2人、女子5人。楽しい旅の始まりだぜ!
「……で、お前誰だ?」
俺の目の前には5人の女子がいた。
ユキヒメ先輩。初めて見る彼女の私服姿、ソー・キュート。
そしてリンカ先輩。同じく私服姿、ソー・クール。
リラ先輩は案の定参加しなかった。寝たり植物の世話したりBL読んだりと忙しいのだろう。
何より、あの人が水着姿になったらかなりアブナイ状態になってしまう。そう思うと少しホッとした…。いや、ちょっと見たかったかも……。
そして、天災の四災の内3人。
フウカは例によって「ダルい……」ので来なかったらしい。
で、ここにいるのはイナに、ホムラに、それと……知らない女の子。
いやほんとに誰この子?こんな子知らねえけど。
「何言ってるんですか!チカさんに決まってるじゃないですか!」
「え?チカ?これが?」
フウカに怒られて俺は目の前の少女をよく見てみた。
「そ…そんなに見つめないで…」
彼女は頬を赤らめて目を逸らした。
いやだって…俺が以前見たチカはもっとこう、荒っぽい感じだったよ?一人称があたいできひひ…とか笑ってる様な奴だったよ。
なのに今俺の目の前にいるのはそれとはまるで正反対の、何と言うか、正統派ヒロインって感じだよ!
長かった髪を首の辺りで短く切り揃えてヘアピンで綺麗に前髪を止めて、化粧のせいか、顔も別人に見えるし、私服もかなりかわいい。
「ど…どうかな?あたしの恰好……」
一人称があたしになったチカが俺をチラッと見ながら訊いてきた。
「え?……ああ…似合ってるよ?」
「…!ほんと?」
それを聞くとチカはぱあっと嬉しそうにしてから、小声で「やたー!」と言った。
「…おい」
俺の脇腹を小突いて、チューなんとか先輩が囁いてきた。
「良かったじゃないか。……あの子を泣かせたりするんじゃねえぞ」
「?……どういう事ですか?
「チュータローだ!…確かにこれから海行くけども…とにかく女を泣かせる様な真似は許さないからな!」
「は……はあ…?」
何だったんだ?一体。
なお、チカをここまで送って来た彼女のお父さんは、一見優しそうだったが、俺たちに近づくと囁いた。
「おい野郎共……もしもうちのかわいいリトルフェアリーチカたんに手ぇ出したらただじゃおかねえからな…」
「は…はい!」
怖えぇよこの人…懐からグロック17チラつかせて半目で脅して来たんだぜ?あのグロックはエアガンだよな?エアガンだと言ってくれ!
「じゃあね、チカたん!フウカたんの事はパパに任せてね!」
「はいはい、早く帰って、お父さん……」
そんな感じでお父さんは帰って行った。
ちなみにノゾムはバイトだとかで来なかった。アイツも他人の為に働き始めたかと思うと嬉しかった。
そんなこんなで、俺たち7人はガタンゴトンと電車に揺られ続ける事数時間。
遂にそこに到着した。
それじゃあ行くぜみんな!
大きな声で、せーの…!
「うーみだあああああああああああああああああああっ!!」
ここから先は待望の水着回です。
美少女たち5人の水着姿を存分にご覧ください。
……心の眼で。
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