第30話 かわいいあの子と混浴だ!
海でたくさん遊んだ俺たちは旅館で温泉に入る事にした。
チューなんとか先輩と一緒に脱衣所に入って服を脱いでいると、ホムラも入ってきた。
「……………………」
ホムラ?
「…ってオイ!!何で入って来てんだよホムラ!!」
俺と先輩は真っ赤になって慌てた。あまりにも普通に入って来たもんだから反応が遅れた。
「えー?いいじゃないですかあ。一緒に入りましょうよぉ」
「一緒にって…ここは男湯だぞ!」
「も~う…そんな事言って…本当は一緒に入りたいくせに…」
そう言いながらホムラは俺たちの目の前で服を脱ぎ始めた。
「馬鹿!何やってんだ!」
慌ててホムラの手を止めようとする俺だが、するりと逃げられた。
「んふふ……つかまりませんよー」
そう言ってホムラはシャツを脱いで白いおなかを見せた。
「よ…よせ……」
「素直になりましょうよ……お風呂の中で、ホムラとい・い・こ・と…しましょう…」
そのまま胸元をはだけブラジャーを見せるホムラ。
くそっ!見なければいい事なのになぜかチラッチラッと見てしまう!
そしてホムラはブラジャーをめくった。
そこには小さくてかわいい乳房が…………無かった。乳首はあるけど膨らんではなかった。
そこまでの貧乳なのか?と思ったが、今度はホムラはスカートをまくり上げた。
そこにはパンティーがこんにちはしていた。
…しかし、よく見ると、何やらそのパンティーの前面が少しもっこりとしていた。
ホムラはスカートを脱ぐと、そのままお尻を後ろに突き出してパンティーをゆっくりと脱いだ。
そこには、小さいが、見慣れたアレが付いていた。
「えへっ!ひっかかりました?」
「ホムラ……お前……男だったのおおおおおおおっ⁉」
俺とチューなんとか先輩は大層驚いた。
「はいっ!いひひー!」
ホムラは肯定すると、いたずらっ子の様に笑った。
ホムラは、幼い頃から女の子みたいと周囲に言われる子だったらしく、その上、自分も可愛い物が大好きで、男の子の恰好より女の子の恰好の方が好きだし、男の子の欲しがる様な物より、女の子の欲しがる様な物を欲しがったという。
別に性同一性障害という訳ではなく、父親が所謂オネエだった事も影響してるらしい。なお、男である俺たちに恥じる事なく裸を見せられたという事は、別に同性愛って事でも無いのだろう。女装は完全に趣味らしい。かっこいいと言われるよりかわいいと言われたいんだとか…。
で、今俺とチューなんとか先輩はその全裸のホムラに背中を流されている。
こいつ……顔は女の子にしか見えないし、声も高いし、体も華奢で、毛も剃ってあって色白でとても綺麗だから……。
ドキドキする!
洗いながら、その(ぺったぺたの)胸を背中に擦りつけてきやがる。
「わあ…男らしく逞しい体ですねえ……。でも、ホムラはこのままでいいかな」
そんな事を言いながら俺たちの体をぺたぺた障ってくる。くすぐったい!
体を洗い終わった後も、やたら俺たちに胸や尻を見せつけてくるし、サウナではなぜか俺たちの前で股を大きく広げてはあ……はあ……とわざと荒い息遣いしてくるし、完全にこいつからかってやがる!
……ていうか、さっきは気づかなかったけど、こいつ女の水着着て、海で遊んでたのかよ……。
こいつが女の子の様にかわいくなかったら変態としか言いようがねえぞ……。
いや、しかし待て。こんなに可愛い子が、本当に男なのか?普通こんなに可愛い子が男な訳無いだろ……。
きっとこの子はあれだ……。男でも女でも無い第三の性別なのだ。きっとそうだ。そうに決まってる。
そんな訳で、俺とチューなんとか先輩は、せっかくの温泉だと言うのに、落ち着く事ができないまま、結果的にのぼせてしまったのだった。
「あー、いいお湯だった!面白かった!」と言って出ていくホムラの声に軽く腹が立ちながらも、やっぱり可愛いなあ……と思ってしまう俺たちであった。
ちなみに、「にやける」という言葉の意味はにやにやする事ではなくさっきのホムラみたいな事を言います。これ豆知識な。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます