第19話 俺の平和はいつまで続くんですかね?
「えー…大将戦を始める前に、1時間の昼食休憩を設けます。ではまた、1時間後に」
という訳でランチタイムだ。
「お疲れぇ、お弁当作って来たわよ!」
母さんが弁当箱持って家族全員連れてベンチへとやってきた。
俺の家族と学校の面々が、ここで初めて挨拶を交わした。
「ミッハルちゃーん!久しぶりー!」
ミハル先生を見つけた途端飛びついたマキ姉。
「うひゃああ!マキさん!ちょっ…!苦しいです……ていうか酒臭い…」
「うぇへへへへへ……相変わらずかわいいなあ、ミハルちゃんは…どれどれ?今日はどんなパンツ履いてるの~?」
「いやああああああっ!!」
「おいちょっとあんた!」
それを見てリンカ先輩が叫んだ。
「ん?君は?」
「副会長のリンカです!それより………」
先輩はそのままミハル先生を抱いたマキ姉に近づくと……
「僕にもミハルちゃんを抱っこさせてくださいよおっ!」
「いやああああああっ!助けにきてくれたんじゃないんですかああああ!?」
2人して先生を代わる代わるギュッギュギュッギュチュッチュチュッチュして愛でていた。……本当にそっくりだなこの2人…。
「なあなあ、あの人、お前の姉ちゃんなのか?」
チューなんとか先輩が囁いてきた。
「え?あ、はい…そうですけど?」
「なかなかのいい女じゃねえか!羨ましいなあ、この!妹もかわいいしよお!」
「はあ……そうですか?」
妹はともかく、姉は中身おっさんなんですけどね……。
ふと、俺は思った。
そう言えば、これから俺が戦う相手である災帝。
第一試合開始前以降全然その姿を見ていない。
四災の戦いを見ていた様子も無かった。
今も見当たらない。一体どこで何してんだろう……?
弁当を食べ終わって時間まで一休み。
ベンチでは相変わらずリラ先輩がくーすかと寝ている。
時折、客席からベンチに、他の生徒たちが応援の言葉をかけにきてくれたりした。
何と言うか、平和だ。これから最強通しの1対1のぶつかり合いが始まるってのに。
「よっ!大丈夫か?」
声に顔を上げると、マキ姉がいた。
「勝てると思うか?」
「……分からねえよ」
マキ姉の問いに俺は何の気なしに答えた。
「2週間前、あんたが急にあたしに『ボクシング教えてくれ』って言ってきた時にはびっくりしたよ」
「まあ……大して習得はできなかったけどな」
「でも、あんたはがんばったよ。一番近くで見てたあたしが一番分かってる」
ポンッと俺の肩を叩くマキ姉。
「あんたはただ、あんたの拳を思いっきり叩き込んできな。大丈夫。あんたはこのあたしよりずっと強いんだから」
笑顔でそういうマキ姉。
まもなく時間だ。
……………よし、行くか。
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