第11話 俺は能力を使うとどれ位強いんですかね?
ある日の事だった。
もうすぐ夏休みって事で皆が浮かれていた時。
グラグラグラグラグラグラ……………
「地震!?」
「でかいな…みんな机の下に!」
しばらくして地震が治まった。
しかしその後、校内放送が入った。
どうやら小規模だが火災が起きたらしい。
ただちに教員の指示に従って避難が開始された。
俺は能力の1つ、瞬足を解除して校内中を走り回った。
火元を見つけると近くから消火器を持って来てすぐに消化した。
更に校内を走り回り、避難し遅れた者たちを全員探し出しては強制的に外に出した。
着替え中だったり排便中の奴らは手近な物で隠してやってから出してあげたりと配慮までして全員が避難する頃には5分とかかってなかった。俺が走った時間は1分以下。
しかし、どうした訳か、今度はさっきまで快晴だったはずなのに急に暗雲が立ち込め、ザアザアと雨が降り始め、強い風がビュービューと吹き始め、ゴロゴロと雷まで鳴り出した。
慌てて皆が校舎内へと駆け戻った。
「一体どうなってんだ?」
誰もが疑問に思い、不安になったその時だった。
「なあに、ちょっとした挨拶代わりだよ。きっひっひ…」
「?」
俺が校舎の外を見てみると、4人の女がこちらに歩いてきていた。
女たちは全員傘をさし、全員が学生服を着ていた。見た事の無い制服だ。
「あたいらは
目つきの鋭い女が言った。
「天災学園?」
「聞いた事がある」
俺が疑問に思うと、近くにいたのかチューなんとか先輩が言った。
「ちゅうかないぱねま先輩!知ってるんですか?」
「僕を東映不思議コメディーみたいに呼ぶんじゃない!チュータローだ!……僕も噂で聞いた位だけど、ここから結構遠くにあるという学園だ。能力の鍛錬に力を入れてるとかで、全国でも特に強い能力者が多い学校の1つだとか…」
「あたいは〈地震〉のチカ!」
目つきの鋭い女がそう名乗った。続いて…。
「〈雷〉のイナだよん!」
髪を金に染めて耳にピアスをした褐色肌のギャルっぽい女がウインク横ピースしながら言った。
「〈火事〉のホムラで~す!」
ゆるふわって感じの女が敬礼っぽいポーズをしながらそう言った。
そして…。
「……………〈親父〉のフウカ…」
長い黒髪ストレートのジト目の背の低い女が気だるげにそう言った。
「……………」
「……………」
「…ほ、ほらほらフウちゃん!もっと強気でいかないと舐められるよ!」
「うー…ダルい…」
「敵の前だから!もうちょっとシャキッとしてくださいよ!」
「ほら、ちゃんと傘持ってないと濡れちゃうって!」
何やら急に向こうの恰好がつかなくなった。仲良さそうですね、あなた達……………。
「…親父……………?」
「か…勘違いすんじゃねえぞ!親父ってのは暴風の事だかんな!」
こっちの生徒の中から上がった素朴な疑問の声に、慌ててチカが補足した。へえ、そうだったのか…。
「あなた達、一体何のご用ですの?」
と、そこへ人混みをかき分け、ユキヒメ会長がやってきた。
「誰だい?アンタは?」
それを見て相手のリーダー格と思しきチカが強気に訊ねる。
「私、この学校の生徒会長をしております。ユキヒメと申しますわ」
「へえ…。つまりあんたがここのボスって訳かい。きひひ…」
「まあ、そういう事にして貰って構いませんが、さっきの地震に火災、それにこの天気…あなた方の仕業でしたの?」
「そういう事よ……………イナ、フウカ…そろそろ止めろ。寒くなってきたし、さっきから雷がうるさい…」
チカがそう言うと、イナとフウカが能力を解いた様で、雨も風も雷も治まり、雲もどこかへと消え、日光が射し出した。
…ちなみに、強風のせいでさっきまで何度もこいつらのスカートがめくれてパンティーがチラッチラッしてたのだが、今は黙っていよう。
4人は傘を閉じると、んっんんっと咳払いしてからチカが口を開いた。
「あたいらの目的は、この学校との対決だ。この学校には結構強い奴がいると聞いたんでな。そこで、うちら4人と、この学校の最強メンバー4人とで1対1の勝負をしようぜ!きひひ…」
「……………なるほど。そういう事でしたか」
溜め息をつき、頭を抱えるユキヒメ先輩。
それにしても……………この学校にそこまで強い奴って……………あ、俺か?もしか俺か?
「勝負は今日から2週間後だ!きひひ…場所はあたいらが用意してやる!それまでにメンバーを選んで、せいぜい鍛えておく事だな!きっひっひ…」
「………ちょっと」
「はい?」
ユキヒメ先輩にちょいちょいと手招きされたので、俺が近寄ると先輩がコショコショと耳打ちした。
「……………はい。分かりました」
それを聞くと、俺は四災の前に出た。
「ん?何だ?アンタは?」
「あー…んっと…俺は生徒会のもんだけど…とりあえず……………」
俺は言った。
「よくも学校に火なんて着けてくれたなてめえらああああ!!」
俺は能力の封印を一斉にオープンした。
「おりゃあああああっ!!」
「な!ちょっ…わあっ!」
まず俺はチカの体を軽く持ち上げると頭上高くまで振り上げてそのままポイッと軽く投げ捨てた。
「ぎゃああああああっ!!」
泥んこの地面をゴロゴロ転がるチカ。
がしっ!
「え?ちょっ…やんっ!」
イナの体を掴んでそのまま空高くジャンプ。
そして離す。
「ひいいいいいいいいいいいいいいいいいいやあああああああああああああああああっっっっっっ!!!!」
地面にぶつかる寸前に先にテレポートで地上に降りた俺がキャッチ。イナは白目むいて涙流して泡吹いてる。
「ふんっ!」
ホムラにはこれだ!マインド・ショック!
これは相手の脳内を読み取って、相手が怖いと思っている物を探して、それを幻覚として無理矢理見せるという荒技だ。
「嫌ああああああああ!!」
ホムラはぶっ倒れて気絶した。
最後はお前だ!フウカ!
俺はノーモーションでサイコキネシスを使い、フウカを宙に浮かせ、そのまま縦横斜め、あらゆる方向に高速でグルグルと回転させた。
「あわわわわわわわわわわわわわ…‼」
やっと止めてやると、フウカは目をグルグル回して前のめりに倒れた。
「………ふうっ…こんなもんで勘弁してやる。おととい来やがれ」
言われた通りコテンパンにしてやりましたぜ!会長!
「う…ううっ…何だこの力は…男のくせに………!……まさかコイツ…災帝様と同じ……………⁉」
「同じ?どういう事だ?」
フラフラと立ち上がったチカの言葉に、俺は疑問を持った。
「おい…みんな、立て…………帰るぞ………」
チカはヨロヨロと他の3人を起こした。
「い…いいか?必ず2週間後に挑戦に来るからな!それまでに…せいぜい準備しておけよ!きひひ…」
そう言い残して4人はトボトボと歩いて去って行った。
何だったんだあいつらは……………?
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