第36話「教室での彼女」
「…………」
前回のあらあすじ、何故か気付いたら雫と付き合うことになっていた。
いや、待ってほしい! 確かに僕は雫と付き合うことになった。だけど、それは事故に近いものなのだ……。
あ、ありのまま、あの時に起こったことを話そう。
僕は雫で遊んでいた……と思ったら、いつの間にか雫に告白され、了承していた……
な、何を言っているのか分からないと思うけど……僕も何が起きたのか分からない。
正直、頭がどうにかなったのかと思った……。
聞き間違いとか勘違いじゃあ、断じてない!
もっと恐ろしい
「さて、お遊びはこれくらいにして……
一体僕はこれから雫とどうすればいいのかな?」
昨日、雫が言っていたことを思い出すと……今回の恋人関係は雫のナンパ避けが主な狙いの『仮の恋人関係』だ。
なので、本当に僕が雫と付き合うというよりは、雫に僕という『偽の彼氏』がいるという情報を流す事によって雫にちょっかいを出そうとする
そうなると、僕は今日から雫の『彼氏(偽)』なので学校内では雫と恋人のフリをするのが当たり前のはずなのだが……。
今朝、教室でそれを実行しようとしたら――、
『あ! 雫、おはよう。今日も放課後は図書室でいいかな?』
『はぁ? 誰だか知らないけど、この私に気安く話しかけないでくれるかしら?
貴方、この私を誰と思って話しかけているの……? 私はこの学校で一番の美少女と言われる女よ?
その私になんの許可があってクラスでロクに友達もいなさそうな貴方が、まるで親しい友人みたいに話しかけているのかしら?
ハッ……貴方みたいな、ぼっちが私に話しかけてきたせいでこの空気中の酸素が無駄になったじゃない。
これ以上、貴方と同じで何の役にも立たない二酸化炭素を吐きたくないから、何処かに行ってくれるかしら……?』
――これだぜ?
ハハ……僕が雫と『恋人』になったのって何かの間違いじゃないの?
てか、教室で初めて雫に話しかけたけど……うん。
図書室にいる時とでは性格違いすぎないかな?
「しかし、昨日の今日であの態度ってことは……やっぱり、昨日の告白はなにかの冗談だったか?
または、帰った後で僕にからかわれた事に気付いて激昂してる……?」
うーん、その可能性が高いんだよな……。
その証拠に、もう放課後だと言うのに雫が一向に図書室へ現れない。
これは、僕と雫が恋人同士になったのは、本格的に何かの間違いなんじゃないの?
僕がそう結論付けようとした……その時。
当の本人である雫が今まで見せた事がないような笑顔でスキップをしながら図書室に入ってきた。
「歩~! さぁ、喜びなさい! この『学校一の美少女』でありながら、貴方の可愛くも美しい……ご自慢の『彼女』である私が来てあげたわよ!
お・ま・た・せ♪ フフン!」
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