第28話「『学校一の美少女』○○説」



「大体、歩ってなんでそんなにスケベなのかしら!?」



 今日も今日とていつもの放課後、


 僕にひとしきり胸元をガン見させてくれた雫はそのたわわな胸元を両腕で抱きかかえるように隠しながら涙目で、とんでもない言いがかりをつけてきた。



「雫なんだい? 言うによって僕が『変態』とはまた言ってくるじゃないか?

 一体、僕のどこが『変態』だと言うのさ!」


「一時間も人の胸元を凝視しておいて、よくそのセリフが出てくるわね!

 ……いい?

 いくら私が『学校一の美少女』だとしても、普通の男子高校生は目の前の女子の胸元を小一時間もガン見することなんてできないのよ!

 まったく……この男はぼっちの癖に『学校一の美少女』であるこの私になんてセクハラをしてくれるのかしら!」



 フム……どうやら、雫は僕が一方的に彼女にセクハラをしたと言いたいらしい。


 しかし、それはどうかな……?



「でも、僕が雫の『おっぱい』を凝視していたのはセクハラと言うより、雫が――、

『おっぱいを見られるくらい恥かしくなんてないもん!』みたいなことを言ったからであって……

 つまり、これは逆説的に雫が僕に『自分のおっぱい(谷間)を小一時間ほど、見せ付けていた』って、ことにならないかな?」


「私ってば、どんだけレベルの高い痴女なのよ!?」


「でも、雫が『気が済むまで私を見て♪ ホラ、ホラ~♪』って言ったのは事実だし……」


「言い方ァアーーッ!?」


「そもそも、雫はなんであんなバカなことをしちゃったのかな?」


「私が勝手に胸を見せつけたみたいな流れになっているのは、何故なのかしら!?」


「なんか『変わらない日常ほど、退屈なことってない。刺激が欲しいのよ!』とか言ってましたねぇ……」


「しかも、勝手に私の動機みたいなセリフ言わないでくれる!?

 てか、私『刺激が欲しいのよ!』とか言ってないわよ!」


「え……でも、刺激が欲しいから僕が雫の胸元の谷間をガン見しているの気付いてて気付かないフリをしていたんじゃないの?」


「そ、それは……

 し、知らないわ!!」



 先生ー! 僕はここに、雫ちゃん実はドM説を唱えたいと思いまーす!



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