第28話 夢の国にて
「よーっし!じゃあ遊び尽くすぞー!」
「おー!でも最初からすごい人だね……」
大輔さんの同僚の皆さんと海に行く話をメッセージで話した数分後に夢の国が開園して、私たちは早速一番人気のアトラクションに並んでいた。
「やっぱり他のアトラクションのファストパス取っとくべきだったかな……」
「まぁ、ちっちゃいことは気にしないの!乗り終わったら取りに行こ!」
「うん、そうだね」
いつもよりテンションの高いあかりをみて、こちらまで楽しくなってしまう。
今日の予定は詳しくは決まっていなかったが、帰るのが夜遅くになることだけは確かで、大輔さんには悪いが、今日は楽しませてもらおう。
こんな時まで、大輔さんの事を考える
「ところで、最近大輔さんとはどーなのよ」
考えが読めているのか、私が大輔さんのことを考えていたら、あかりが不意に聞いてきた。
「え?んー、普通、かな」
「えー!うっそだね、変わったこと無かった?」
「えー?あー、確かにちょっと積極的になってくれたかな……」
この前とか、いつもより激しかったし……
顔が熱くなるのを意識しながら言い切ると、なぜかあかりが嬉しそうな満足した顔でうんうんと頷いていた。
「ねー、なに?何かあったの?」
「べっつにー?なにもー?」
満足気に頷く顔は、私が見た事のない、弟を思うお姉さんのような表情だった。
「でも、私と会う前は問題あったでしょ?特に大輔さんの方に」
私はあかりに悩んでいる話はしていないはずだから、自分で感じ取ったのだろう。
「うん……私、大輔さんの部屋に入る機会があってさ、その時日記を見つけたんだよね」
「へー、何が書いてあったの?」
私がいきなり話し始めたのにも関わらず、あかりは冷静に相槌を打ってくれる。
「私のことをどうしたらいいか分からなかったのかな、付き合ってる現状を悩んでるみたいだったんだ」
「うん」
「だから、やっぱり社会人と大学生が付き合うのは間違ってるのかなって、思っちゃった。」
「そっか」
上を向きながら何かを考え込むように、難しそうな顔をする。
その状態のまま、あかりは話し始める
「確かに、私も初めて大輔さんと会った時はびっくりしたよ。援交かと思っちゃった」
「うん……」
「でもね、一瞬にご飯食べてわかったよ。大輔さんもちゃんと周りの目を考えてて、しっかりとひなたのことも考えてて、ちゃんと両思いだったし。普通に恋人を見てる感じだったよ。やっぱ恋に年齢なんて関係ないのかも、って思ったよね」
私たちの間で起こった出来事を思い返しながら、あかりは優しく語りかけてくれる
「大輔さんはこれからちゃんとひなたに向き合ってくれるはずだよ。彼氏として。だか、これからも頑張ってね!」
「あかり……」
「あと今度はほんとに泊まりに行くから!3人でお泊まり会するよ」
「ええ!大輔さんも?」
やはり持つべきものは、向き合ってくれる友人だ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます