第27話 長期休み
「それじゃあ、行ってきます!」
「うん、楽しんでね」
今日は珍しく、俺の出社と同時にひなたは家から出て、駅の前で別れた。
今日はあかりさんと夢の国に遊びに行く日だ。俺はまだまだ長期休みは先なのに、ひなた達の夏休みより早く終わってしまう。
俺も学生の頃は楽しかったなぁ……って思うあたり、歳を感じる。
会社に到着し、自分のデスクに向かい、いつものように剛と挨拶を交わし、話していると、今度の休みに何をするかの話になった。
「えー、じゃあ大輔はずっと家で大学生といちゃいちゃしてるのか?」
「いや、しねーよ。遊びに行く」
「お、いいね。どこ行くの?」
「関西の方に行くよ、大阪とか」
「なんか微妙だな」
「微妙じゃねーよ!いいだろ、大阪」
剛と話していると、出社してきた榊原が会話に参加してくる。
「先輩方おはようございまーす!」
「おはよう」
「おはよう、あいちゃん」
「なんの話ししてたんですかー?」
「そうそう、こいつが大学生と……」
「夏休み何して遊ぶか話してたんだよー!な?」
ひなたの話題を榊原に聞かせてはいけないような気がして、無理に話を遮った。
榊原は不満げな顔をして、その話を掘り下げないで提案してくる
「じゃあ、私思いついたんですけど、みんなで今度の長期休み遊びに行きましょうよ!ね!先輩!」
「えぇ……」
とんでもない提案に、否定的な反応を俺がとる反面、剛は満更でもない調子で返す
「お、いいね。どこがいいの?」
「私は海がいいです!海!」
「おー!じゃあ今度行くか!」
「おい剛、お前嫁さんはいいのかよ」
「1日くらい許してくれるよ、いつも頑張って家族サービスしてるからね」
「ほら!先輩も行きましょうよ!海!」
ぐいぐいと俺に寄ってきて、海に行くことを勧めてくる榊原
「えー、じゃあひなたに聞くよ……」
「なんでひなたちゃんの許可が必要なんですか!いらないですよ!なんなら一緒に連れてきたらどうです?」
「え!俺もひなたちゃんみたい!」
剛はひなたの話になると、さっきよりも熱心に誘うようになった。
「じゃあそれ込で聞くよ……」
「いえーい!」
きゃっきゃと二人で騒いでいるのを横目に、俺はスマホを開いて、夢の国にいるであろうひなたにメッセージを送った。
『今度の休みに、海に行かないか?って榊原が言ってるんだけど、行きたいか?』
まだ開演時間より前だからか、すぐに返事は帰ってきて
『二人で旅行行ってすぐとかは疲れてるかもですけど、ほかの日なら行きたいです!あいさんとほかは誰が来ます?』
『予定だと俺の同期の剛って人がくるよ』
『会ってみたいです!大輔さんが構わなければ私もご一緒したいです。』
今の会話の画面を見せて、榊原に行く旨を伝えた。
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