第15話 仲直り

榊原との話も終わり、月曜日


「おはようございます」

「あぁ!先輩来た!おはようございます!」


ちょこちょこと寄ってきて、付けただけの敬語で挨拶をしてくる。


「おう、おはよう」

「今日も仕事残すんで、先輩助けて下さいね!」

「それを一日の初めに言うなよ……」


一週間ぶりにいつものノリで話しかけてくれる榊原と話を済ませ、自分のデスクに向かう


「おはよう剛」

「よかったお前ら仲直りしたのか……」


挨拶をかけられた剛は、挨拶を返す前に安心したような仕草で俺を見る。


「俺があの時軽いノリでとんでもない事言っちゃったなって、ごめんな」

「あ、そう言えばお前のせいか」

「ほんとにごめん!なんか奢るから許せ!」

「あぁ、まぁ……」

「ほんとですよ、今日社食でチキン南蛮定食奢ってくださいよね!」


何を奢ってもらおうと考えていたら、どこから現れたか分かった榊原が、話題に入ってくる


「おい、俺が奢ってもらうんだぞ」

「いいじゃないですか!先輩は愛妻弁当があるし!」

「なっ……愛妻じゃないだろ」

「どーですかね!ほんとに、休日に家に来るとかストーカーですよね」


全く関係のない所で攻撃される。しかも地味に痛い。


「ご……ごめんな、そんなことして」

「あっ、えと、いえ、もう許してるんで」

「えー!大輔お前愛ちゃんの家行ったのかよ!」


冗談のつもりだったのか、お互いにどぎまぎしていると、さっきまでの弱気から完全に戻っていた剛が、また騒ぎ立てた。


「いや、家入ってないから!セーフだよな?」

「まぁその事は水に流しますよ、終わったことだし」


今日は少しだけお互いに気を使いながら、それでもいつもと同じ心地よい時間が流れる。


昼は結局榊原が何故かチキン南蛮定食を奢ってもらっていた。




定時になって、一週間ぶりに自分の椅子座っている榊原に声をかける。


「おい、今日は終わったよな?」

「まぁ……ほら、終わりませんよね」

「よねじゃないよ!先週どうやってやったんだよ!」

「それは……秘密です!」


てへぺろと言わんばかりに下を出して煽ってくる榊原に流石に苛立ち


「じゃあ俺今日上がりまーす」

「あぁ!冗談ですごめんなさい先輩お願いしますぅ!」


ひなたには、今日も残業してくるとだけメッセージを送り、2人で会社に残った。


「先輩ー!終わりましたー!」

「こっちも。おつかれさん」


今日は少し早めに終わって8時半を指す時計。榊原の成長に少し感動を覚えていたら


「じゃあ帰りますね」

「今日は誘わないんだな」

「えぇ、……まぁ、作戦があるので」


にししと、怪しげに笑った榊原は、俺に軽く挨拶をして走って帰って行ってしまった。


今から帰るねとメッセージをひなたに送り、帰路に着いた

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