第11話誘拐11

 俺達は病院で子供達の世話をしたが、労しい限りだった。

 身体中に打撲痕と火傷痕があり、見るに堪えなかった。

 病院の先生と虐待の事を話し合って、親から離すための診断書を書いてもらった。

 それがあれば、子供達を救う事ができる。

 問題はどこに預けるかだ。


 日本で探偵を始める以上、日本の法律は徹底的に学んだ。

 受験すれば司法試験にも合格できると思っている。

 もっとも、司法修習生として一年間も勉強するのは嫌なので、受験はしていない。

 だが知識だけはあるつもりだ。

 児童養護施設に任せるという手もあるが、俺が直接子供達を助けるには、養子制度と里親制度を利用するしかない。


『養子制度・里親制度』


普通養子縁組:民法に基づいて法的な親子関係を成立させる制度

      :育ての親が子どもの親権者と契約をする

      :養親が子の親権を持つ

      :自治体などからの金銭的な支援なし

      :年齢制限なし

      :離縁可能

      :戸籍は上養子養女


特別養子縁組:民法に基づいて法的な親子関係を成立させる制度

      :裁判所に申し立て審判を受ける

      :養親が子の親権を持つ

      :自治体などからの金銭的な支援なし

      :戸籍上も実の親子となる

      :六歳未満

      :離縁は原則不可

      :戸籍上は長男長女


養育家庭制度:児童相談所から委託を受ける

(里親制度):親権は実親

      :国と地方自治体から所定の養育費と里親手当を受給

      :養育里親手当八万六千円・二人目以降四万三千円

      :専門里親手当十三万七千円・二人目以降九万四千円

      :一般生活費・乳児五万八千五百七十円・乳児以外五万八百円

      :幼稚園費、教育費、入進学支度金、就職支度費、大学進学等支度費、医療費、通院費等


小規模住居型児童養育事業(ファミリーホーム)

      :児童相談所から委託を受ける

      :親権は実親

      :国と地方自治体から所定の養育費と里親手当を受給

      :養育里親手当八万六千円・二人目以降四万三千円

      :専門里親手当十三万七千円・二人目以降九万四千円

      :一般生活費・乳児五万八千五百七十円・乳児以外五万八百円

      :幼稚園費、教育費、入進学支度金、就職支度費、大学進学等支度費、医療費、通院費等

      :里親制度を児童五人から六人に拡大


 四人を一緒に暮らさせてやろうと思うと、小規模住居型児童養育事業(ファミリーホーム)を設立する必要がある。

 だが俺には日本の国籍はない。

 母も父王陛下と結婚して日本の国籍を失っている。


 日本の子供達が、間違っても海外に売られないようにするにも、外国籍の人間を里親にさせることはないだろう。

 ここは親父さんとお母さんに相談するしかないな。

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