第8話誘拐8
「関口さん。
誘拐事件の連絡です」
「二軒目か⁈」
「いえ、どうやら犯人は間違えて誘拐したようです」
そういう事ですか。
どこかの金持ちの子供と間違えて誘拐したのですね。
しかしこれは大問題です。
間違えて誘拐した犯人は、子供を殺してしまうかもしれません。
「それで、犯人は子供を間違えた事を知っているのか?」
「はい。
それが、誘拐犯からの電話を受けた家の父親が、間違いを指摘したそうです」
「何てこった。
それじゃあ子供が殺されてしまうぞ」
「それが、誘拐されるはずだった子供の父親が、身代金を払うと言ってくれています」
「何だって⁈」
漢気がある奴もいたもんだ。
裏から手をまわして、俺が身代金を用意しようと思っていたが、その必要はないようだな。
「はあ。
それが、自分の子供の代わりに誘拐されたのだから、金を出すのが当然だと言われているそうです」
「それで、身代金はいくらなんだ」
「五億円です」
「五億円だと⁈
それを見ず知らずの子供のために建て替えるのか⁈」
「そういう話です」
刑事さんたちは直ぐに金持ちの家に移動することになった。
だが問題は子供達の事だった。
こんな家に置いておけないのは誰にだって分かる。
だが手続きが難しい。
刑事がいなくなると、また教団や政党が圧力をかけてくるかもしれない。
以前圧力をかけてきた議員に逆圧力をかけるべきだろう。
そうしておかないと、子供がどんな目に会わされるか分からない。
「刑事さん。
引継ぎはちゃんとして欲しい。
誘拐された子供を助けても、この子や救急車で運ばれた子供が殺されたら、何をしているか分からなくなる」
「分かっている。
引継ぎの必要はない。
この子の暴行痕と火傷痕が証拠だ。
誘拐犯と別の家で交渉できるのなら、こいつらに交渉してもらう必要はない。
こいつらは児童虐待の現行犯で逮捕する」
「なに言っているんだい!
私はあんたらの前で暴行した覚えはないよ。
不当逮捕をしたら、教団や政党が黙っていないよ!」
「今迄の会話は、全部ライブ配信している。
色んな所に保存もしている。
俺達に圧力をかけたら、教団と政党の悪事が証明される。
それでも教団と政党があんたらに力を貸すと思っているのか?」
「ふん!
教団や政党が手を貸してくれなくても、弁護士は手を貸してくれるよ。
それでも不当逮捕するのかい。
それにSNSにも、私達から人権侵害で消去を依頼するよ」
仕方ないな。
ここまで来て子供達を見捨てる事などできない。
大使館を通じて、日本政府に圧力をかけて交渉してもらおう。
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