幕間

幕間1

これは今から少し昔の、そう遠くない時間の、そう遠くない場所のお話。

 ある田舎町に小さな小さな女の子が誕生した。

 小さな娘が生まれた直後に最初に見たものは、悪魔だった。

 娘には悪魔が見えたのだった。

 そんな娘を面白いと思った悪魔は、娘に悪戯を仕掛けたりあやしたりと、いつも一緒にいた。

 娘は自分と遊んでくれる悪魔が悪い奴などとは、考えすらしなかった。

 悪魔は娘をいたく気に入り、溺愛していた。

 悪魔は娘のことだけを信じ、娘は悪魔を親友のように見ていた。

 彼女に傷ついてもらいたくなかった悪魔は、娘に人間がいかに愚かかということを熱心に教えた。

 まず教えられたのは人を信じてはいけないということだった。

 人はすぐに嘘をつく。すぐに裏切る。

 だから人は信じてはいけないよ、とそんなふうに教えられた、

 悪魔を信頼していた娘は悪魔の言うことを何でも信じた。

 悪魔に質問すると、ほしい答えは何でも答えてくれた。

 娘は悪魔の言葉を受けながら、それをすべて受け入れながら成長していった……。

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