第3話 納税センター2

エアコンが程よく調節されて心地よい室内で、美希子は相手が来るのをぼんやりと待っていた。少し迷ってから、美希子はバスローブを羽織ったままでベッドに腰掛ける。納税ルームの様子はいつもと変わらない。ビジネスホテルほどの広さにセミダブルのベットが設置してある。ベッドは病院の入院棟に置いてあるような感じの作りで、パイプの足がやや無機質な印象を与えていた。その左手には小ぶりのテーブルが置いてあり、これから使う小物の類が並べてある。


美希子はこれまでの納税の時の記憶を思い返していた。思えば、納税を始めたのはもう2年前になるのだ。初めのうちは極度に緊張して背中が汗びっしょりになっていたが、最近は相手の細かい動きも観察できるくらいに慣れて冷静になってきていた。


こんなこと、と美希子は自分が子供だった頃の気持ちを思い出した。こんなことをしているなんて、自分が中学生の時には想像すらしなかったな、と美希子は思った。今の子たちは、納税がデフォルトの時代に生まれたから、小さい頃から綿密な計画を立てるらしいが、自分はそれほど切迫感を持って節税対策をして準備した覚えがない。今考えると、やはりボーッとしてたんだな、と思った。

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