二:落第剣士と剣術学院 5
初戦の相手バブル=ドミンゴを一撃で
その結果は五戦五勝──まさかこんなことになるとは、夢にも思っていなかった。
そうして気付けば、次はいよいよ優勝を
ようやく試合の準備が整ったのか、実況がアナウンスを開始する。
「お待たせしました! それではこれより、決勝戦を開始いたします! 組み合わせはもちろん──ローズ=バレンシア選手対アレン=ロードル選手! 両選手、
賞金稼ぎのローズ=バレンシア。
この名前には聞き覚えがあった。確か俺と同い年の天才女剣士だ。
賞金の懸かった大会に出ては、優勝をかっさらい。
俺は、目の前に立つローズさんへ目を向ける。
赤い
彼女の戦いは、ずっと舞台の
剣士としては少し
(決勝戦だというのに、
おそらく俺と違って、踏んできた場数が違うのだろう。
そうして俺とローズさんが視線をぶつけ合っていると、
「みなさん
所属流派を
「──しかし、断言できます! アレン選手の我流を
実況の言う通り、バブルとの一戦以降、俺を
実際、
俺はまだまだ半人前のひよっこ。人に剣術を教える立場ではない。
その後、いよいよ試合開始目前となったところで、俺はいつも通りお
「よろしくお願いします」
「あぁ。こちらこそ、よろしく
そうして
「両者、準備はよろしいですか? それでは決勝戦──始めッ!」
実況が試合の開始を宣言した。
俺とローズさんは素早く
全く同じ構えのまま、
(これまでの試合から判断すると……彼女の
相手の
策もなく
(まずは飛影を
そうして次にとる手を決めたその瞬間、
「なっ!?」
目と鼻の先にローズさんの姿があった。
(呼吸を、合わされた……!?)
俺が息を
「桜華一刀流──
彼女は重心を落とし、しっかり体重を乗せた鋭い突きを放つ。
だが、不意の接近で
「──ハッ!」
その結果──剣先同士が
「馬鹿な!?」
突きに対して突きで
俺はすぐさま一歩
「──シッ!」
「っ!?」
(思っていた以上に速いな……)
一拍以上も
「く、まだまだぁ……っ!」
痛みに体をしかめた彼女は、すぐさま反撃の一手を打って出た。
「桜華一刀流──
それから俺たちは、何度も何度も激しく斬り合った。
その間、会場は水を打ったかのように静まり返る。
「おいおい、あの賞金狩りのローズがまるで子ども
「
「馬鹿。アレンさんはお前なんかに構っているほど
それから一合二合と剣を重ねるたびに、ローズさんの体には生傷が増えていく。
「はぁはぁ……。貴様、その剣……いったい
「いや、だからその……我流、なんですけど……」
我流というのは、やはり
「
彼女は鋭い眼光を放ちながら、はっきりとそう言った。
(す、鋭いな……っ)
ローズさんの言う通り、俺の剣には『十数億年』というとてつもない時間が載っている。
しかし、それをそのまま伝えるわけにもいかない。
「そ、それは……多分気のせいですよ」
俺は目をそらしながら、そんな返答をした。正直、一億年ボタンのことはあまり話したくない。あんな
「なるほど、あくまで白を切り通すつもりか……っ」
俺の答えがお気に
「一子相伝の秘剣、桜華一刀流の正統継承者として──この勝負、勝たせてもらうぞ!」
ローズさんが切っ先をこちらに向けたその
まるで彼女自身が
「──行くぞ、アレン=ロードル!」
「あぁ、来い……っ!」
そう短く言葉を
「桜華一刀流
鏡合わせのように左右から四撃ずつ、目にも留まらぬ八連撃が
(っ!?)
その間にも
それをしっかり
「八の
これは一振りで八つの斬撃を生み出す。一撃一撃の間にはほんのわずかな
その結果──完全に一拍以上
「馬鹿、な……っ!?」
必殺の奥義を破られたローズさんは、がら空きの胴体を
「──終わりです」
当然その隙を
「か、は……っ」
彼女はそのまま
シンと会場が静まり返る中、実況が大きな声で結果を宣言する。
「しょ、勝者! アレン=ロォオオオドルッ!」
その瞬間、会場はドッと
こうして剣武祭で見事優勝を
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