転生勇者
「ここが女神の言っていた異世界か」
辺りを見渡すと西洋の宮殿らしき場所だった。俺の足元には白い魔法陣、そして、目の前に俺を呼び出したであろう、姫らしき女が立っていた。
「よくぞ、召喚に答えて下さいました、今回の、あなたが勇者様ですね」
姫が近寄りながら聞いてくる。
「あぁそうだ、俺の名は勇者テレア。この世界の女神とやらに頼まれてな。ヤツの話だとここは相当ヤバいらしいな」
「ヤバ……? えぇとにかく、我が国は未曾有の危機に瀕しています。そのため、私自身が軍の指揮を執ることを条件に女神様のお力を貸していただいているのです」
「なるほど、それで俺の力が必要なわけか…… ところで少し気になったのだが、俺のことを今回の、と言ったな。俺以外にも勇者がいるのか? 」
「はい、何分強力な敵ですので、貴方様の他に何人かのお力をお借りしています」
俺以外のやつがいるのか、それは少し不服だが、まぁいい俺の力があれば他の奴らなどすぐに用無しになるだろ。
「了解だ。早速だがそいつらに合わせてくれ。これから共に戦う奴らの顔くらいはみたい」
「はい、かしこまりました。ではご案内致します」
姫は家臣を1人で呼び出すと俺を部屋に案内するように伝えた。家臣は部屋に連れていく間一言を喋らなかったが、その分屋敷内を見ることができたのでよしとしよう。
「こちらでお待ち下さい。すぐに皆様をお連れします」
家臣は俺に一礼すると、部屋から出ていった。
俺は部屋の中央に置いてあるソファーに座ると辺りを見渡した。部屋にはこれといった飾りはなく、あるのはソファー1つと後は全面壁と酷く殺風景だった。
まぁ人と会うだけの場所などこの程度かと思い、待っている間少し寝ることにした。
しばらくして、俺は何かが動く音で目を覚ました。急いでソファーから飛び上がったが、辺りには何もない。しかし、音だけは聞こえてくる。どうやら音は上の方からするようだった。
音の正体を確かめようと上を向くと俺はあまりの光景に言葉を失った。
音の正体は天井が落ちている音だったのだ。
「なんでこんなことになっているだ! おい!姫どこにいる! 」
俺は喚き散らすように叫んだが、誰も返事をしない。天井はあと少しで俺の頭に着きそうだった。
なんで俺がこんな目にあわなきゃならないんだ。俺は勇者だぞ! 俺は選ばれし者なのになんで、なんで。
「なんで俺が死ななきゃならないんだ!!」
俺の声とも分からぬ叫び声と共に天井と床の隙間は無くなった。
「やっとあいつ死にましたの」
姫が家臣からの報告を聴き、呆れている。
「大体、1日1回の無料召喚で呼び出される程度の雑魚が生意気な口聞きやがって。初対面、しかも姫に向かってタメ口とか、思考が雑魚その者だろ。次はちゃんとお金を貯めてレアガチャでまともな奴を引きますわよ」
姫はそういうと、再び魔法陣のある部屋へ向かった。
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