第3話 いたいのいたいの


「まこと、だいじょぶか?」

「まこと、いたい?」


双子のギンとアオが、指に絆創膏を貼ったマコトの周りをくるくると回りながら心配そうに覗き込みます。

自転車で転んで指に擦り傷が出来てしまったのです。


「大丈夫だよ。

もう痛くないから」

「ほんとか?」

「でも…ちががでてたよ」


泣きそうに眉を下げるアオの肩をぎゅっと抱くギンも、口がへの字になって今にも泣き出しそうです。


「大丈夫ですよ。

このメグムが消毒して絆創膏を貼って差し上げたんですから。

すぐに治ります」

「すぐ?」

「なおる?」

「はい、すぐに治ります」


完璧ハウスキーパー兼ベビーシッターのメグムが太鼓判を押すと、双子も安心したようににこりと笑います。


「じゃ、あとはあれだな」

「あれだね」

「んん?なんだい?」

「「おまじない、してあげる」」


双子はマコトの手にそっと触れると、元気な声でおまじないを唱えました。


「「いたいのいたいのとんでいけー!」」


そして、ギンは絆創膏の貼られた近くに、アオは絆創膏の上に、ちゅっと可愛くキスをしました。


「ありがとう。

ふふふ…こんなおまじないをしてもらったら、本当にすぐに治っちゃうな」

「「うん!」」


マコトは、満足気な双子の頭をそっと撫でると幸せそうに微笑みました。






おしまい

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