第2話 雨の日


「「まこと、まことー!」」


ぱたぱたと可愛い足音をさせて走ってきた双子のギンとアオが、我れ先にとマコトに飛び付きます。


「なんだい」


双子を両腕に抱えて笑顔を見せるマコトの顔は、ふにゃふにゃととろけそうです。


「あめふってる」

「あめーー!」


双子はマコトの腕の中で額を付き合わせてくふふと笑います。


「あぁ、そうだね」

「おそといく」

「ながぐつ、ながぐつ」

「ふふふ…じゃあ、2人ともレインコートを…あぁ…メグムくん、ありがとう」


マコトが言い終わらぬうちに、すでに双子のレインコートを抱えたメグムがそばに立っています。


「おれのれいんこおと!

めぐ、ありがと」

「あおのこおと!

めぐ、ありがと」


2人はお礼を言ってメグムからレインコートを受け取ると早速着始めます。



「んっと…」


まだ片方しか袖を通していないアオが、上手く釦を留められないでいるギンを手伝おうとしますが上手く出来ません。

見かねたマコトがアオの空色のレインコートを着せ始めると、メグムはギンの黄色いレインコートの釦を留めてやります。


「おれ、ほんとはぼたんできるんだけど!」


ギンが悔しそうに言うのに、メグムが笑ってこたえます。


「そうだったね、ごめんね。

ぼく、お手伝いがしたかったんだよ」

「んー、じゃ、いいよ」

「ありがとう」


そう言って、メグムがギンのやわらかな頬にちゅっとキスをすると、目ざとく気付いたアオが飛んできます。


「だぁめよ!」


小さな手の平でメグムの肩を押すと、ギンの腕を掴んで玄関へと向かいます。


それぞれ、レインコートと同じ色の長靴を履くとしっかりと手を繋いでマコトを呼びます。


「「まことーー!いくよー!」」


双子は雨の日のお散歩が大好きです。

マコトはそんな2人を見ているのが大好きです。


水溜りを選んで長靴でちゃぽんと入っていく双子をにこにこと眺めるマコトは幸せそう。



そして、家では双子の為の温かいココアとマコトの為のコーヒーと、温かなお風呂を用意して、万能ベビーシッター兼ハウスキーパーのメグムが待っています。




おしまい

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