万能ベビーシッターのお仕事
かのん
第1話 日曜日の朝
「「まこと、まこと、みてみてー!」」
日曜日の朝、新聞を読むマコトの元にパタパタと足音をたてながらやってくる二つの小さな影。
双子のギンとアオです。
「なんだ?」
紙面から目を離したマコトは、顔を上げた瞬間にはもう手元にあった携帯に手を伸ばしていました。
「まこと、またしゃしんー?」
「またしゃしーん」
「ん…だって…」
眉を下げ相好を崩しながら撮影を続けるマコトに、口を尖らせつつもぺたりと抱きつくギンを見て、アオは負けじとマコトの膝によじ登ります。
「あー!あお、ずるい!おれもー!」
「だぁめ、あおがさきだも」
自分の足をめぐって言い争う2人を、マコトが微笑みながら抱き上げ両の膝に一人ずつのせます。
「これでいいだろう?」
「んー、うん!」
「うん!」
2人の頭を交互に見てマコトは優しく問いかけます。
「で、この頭の上の可愛いのは何かな?」
「これね、うさちゃん。
あおはねこさんだよ」
「あおはねこたん。
ぎんはうさたん」
「そうかー。
お遊戯会…はこの間もう終わったよね?」
つい先日の可愛いお遊戯会の様子を思い出しながら頭の上のカチューシャを見つめます。
(お遊戯会では2人共自分達で書いた魚の絵を頭に着けていたけれど、また何か幼稚園であったかな?)
「んとね、めぐがね、つけてくれたー」
「めぐがね、かわいいねってつけてくれたー」
「そうか、本当に可愛いなぁ」
家の中の事を色々と任せているベビーシッター兼ハウスキーパーのメグムに心の中でグーサインを出しつつ、2人の頭をカチューシャが外れないように優しく撫でるマコト。
…を、朝食の準備をしながら眺めるメグム。
「シッター代、値上げしてって言ったら今なら聞いてもらえそう…」
という呟きはマコトには聞こえていないようです。
おしまい
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