第13話~「告白」

年明け、夜。自分の部屋で彼女とメールをしていた。

どうやら彼女は年末に失恋したショックをずるずるとひきずっていて、いまだにふっきれていないらしい。

(周りの女友達の話から察するに原因は他にもありそうだが)

詳しいことは何も聞いていなかった。

聞こうかどうしようか迷ったが、そのうち話してくれるだろうとも思った。


そんな彼女とのメールのやりとりの中で


「もう人生やりなおしたいよー」


という一文が目にとまった。


彼女自身が今置かれている現状(おそらく仕事・恋愛・家庭環境など)

に対して、「いままでの選択が合っていたのか? 今後どう行動すればいいのか」と

悩み嘆いているようだった。


誰でもそんなことを考えるときがある。


だが、他人に話を聞いてもらったとしても、たいてい解決できる類の問題ではない。


答えの出ない問い・後になってみないとわからない問いにいつまでとらわれているのか


しらねーよ。自分で選んだ道じゃないのか? と思った


しかし放っておくわけにもいかないので、励ましのメールを送る。


すると返ってきたメールには


「淳君、無理に好きになってくれなくてもいいよー」


と書かれていた。


いつかは伝えようと思っていた。


無理になんて好きになってませんよ


元々好きだったんですから!!


ただ実際本人を目の前にして

場所とタイミングを見計らって告白しようと思っていた。


いまここでそれを打ち明けるべきか・・・


あまり時間をかけて迷うのもよくないだろう。

話の流れからちょうどいいと判断し、思い切って自分の気持ちを伝えることにした。


メールを返さず電話を入れる。

こっちから電話することは殆どなかった。


俺「いま時間空いてる?」

彼女「うん」

俺「こういうのは電話より直接会った方がいいと思うんだけど・・・」

彼女「そうだね」

俺「ずっと前から好きだったんだ」

彼女「――」


電話越しに彼女の驚いた様子が伝わってくる。


「ありがとう。嬉しい」


喜んでくれたみたいでよかった。

そのまましばらく話してから、電話を切る。


せっかくロマンチックな場所とかで言おうと思っていたのに――


どこで? どういうシチュエーションで?


とひとりで考えていたのが、全部ぱあになった


話している最中は気づかなかったが、電話が終わってから緊張していたのだとわかった。


感情が昂ぶり何もできないまま糸の切れた人形のようにしばらくベッドに突っ伏した


==================== ====================


ほんとに大事な言葉は簡単には言わない 光が指差す場所へと走り出すよ~♪

(元ネタ:カレイドスターOP(youtube))

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