第29話 ボッチ卒業。

 タミィちゃんの視線ジト目が痛い。


 タミィちゃん勘違いをしてるのではないだろうか?


 確かに自称紳士ロリコン野郎の顔を溝臭どぶくさいタオルで拭いた事で奴はビクンビクンって何か生きの良いかつお見たいに跳ねてたけど・・・殺しては居ないからね。


 ちょっとほんのちょっとだけ頭の隅に湿ったタオルで失神してる自称紳士ロリコン野郎の口と鼻を塞いで・・・とは思ったけど実際には殺ってないからね。


「い、息の根は・・・止めて無いよ。本当だよ。」


 小さい子供の様に可愛らし声を出しながらあざと可愛い仕草で言い訳をして見る。


「・・・・・。」


 タミィちゃんの無言の圧力と俺を見る視線ジト目が増々強く為って行った気がした。


 やっぱりタミィちゃんの其の視線ジト目ってご褒美プレーなのかな?


「彼が死んで居ないのは見て居て分かりますから。

 それ寄りも彼に治癒魔法を使いたいので、出来たら場所を少し開けて貰えないでしょうか?」


「あっ此れは失礼。

 いま場所を開けますね。」


 ふぅ~単なる俺の勘違いだった様だ。


 タミィちゃんのご褒美ジト目が険しかったのは容態が悪化した様な行動ビクンビクンをした自称紳士ロリコン野郎の怪我の状態をていたからだ。


 実際に俺が場所を譲るとタミィちゃんは直ぐに失神して居る自称紳士ロリコン野郎に治癒魔法を掛け始めた。


「それとドルフさん。」


「はい何でしょうか?」


 治癒魔法を掛けながらタミィちゃんが俺の名前を呼んで来た。


「私のハンカチですが使わなかったのなら返して頂けませんか?」


「その~ので後で洗って返しますね。」


「え?」


「あ!?」


「此れからって・・・そのどう言う事ですか?」


 タミィちゃんが治癒魔法を使いながら俺の方へと視線ジト目を向けて来る。


 ぐっウッカリ本音が・・・まさか、タミィちゃんのかほひが着いたハンカチをオカズに・・・ご、ご飯を三杯食べようか何て・・・言えない。


 そんな事を言えば俺が、まるで変態だとタミィちゃんに思われちゃう。


 仕方ないので黙ってタミィちゃんにハンカチを返す事にする。


 そ~っとポケットから取り出して未練たらしくタミィちゃんにハンカチを返す。


 タミィちゃんは片手で器用に治癒魔法を掛けながらもう一方の空いた手でハンカチを俺から受け取ってポケットにしまう。


「それと・・・狙って彼を蹴りましたよね?」


「い、いえ、お義父さんと力比べをしていたら、うっかり足が滑って・・・ですよねお義父さん?」


 連係攻撃コラボレーションをしたお義父さんの方へと視線を向けると・・・消えた!?


 あれぇ~? お義父さんが居ない!!


 何処だ!!


 くっまさか逃げ出したって事はないですよねぇお義父さん!!


 生命力プラーナを使ってお義父さんを探知するかと思って居たらタミィちゃんが更に突っ込んで聞いて来る。


「蹴りましたよね?」


 タミィちゃんの視線ジト目が強く成る。


 こ、此れは怒ってる?


 そう言えばお義父さんが俺の目を突いた時も怒ってたな。


 優しいタミィちゃんは暴力に対して厳しいのかな?


 なら此処は狙って自称紳士ロリコン野郎を蹴ったと言う事実を認めずに足が滑ったと言う言い訳を押し通そう。


「蹴ってないです。」


「いいえ、明らかに狙って蹴りましたよね?」


「蹴ってません。」


「本当ですか?」


 おっ! 強気で否定し続けたらタミィちゃんがちょっと引いた感じに成った。


 此れは強気で言い訳の方を押し通せば誤魔化せるぞ。


 ならば俺は将来のお嫁さんに成るタミィちゃんに主導権を取られて尻に敷かれない為にも此処で主導権を取らせて貰うとしょう。


「良いですかタミィちゃん。

 足が滑ってたまたま偶然で彼に足先からぶつかっただけです。

 本当です信じて下さい。」


ですか?」


 いぶかしげな表情を浮かべてタミィちゃんが俺を見て来る。


 ぐぬっ!? まだ俺の押しが弱いのか? 


 ならば話題論点をずらそう。


「タミィちゃん、女の子が金の玉々タマタマ何て下品エロな言葉を口にしては行けませんよ。」


「ドルフさん。私、とは言ってませんよ。」


「・・・。」


 だ、駄目だ。 タミィちゃんへの話題論点ずらしに失敗した。


 冷静に返して来る何てぇ・・・タミィちゃんは天才なのか?


 くっ焦るな俺、此の場を何とかして打開せねば。


「タミィちゃんの勘違いだよ。

 そもそも蹴るってのは、こうしてエイッて足を動かす行為だからね。」


 何とか場を誤魔化そうとして俺はサッカーのボールをシュートする様な仕草をタミィちゃんに遣って見せた。


 ゴシュッ!!と鈍い音が俺の振り抜いた黄金の右脚の先から聞こえた。


 良い手応えだ!!


 嫌、脚応えか?


「ごふっ!?」


 同やら運悪く失神して倒れて居る自称紳士ロリコン野郎の頭に対して止めを刺す様に蹴りあげてしまった様だ。


 変な呻き声を上げる自称紳士ロリコン野郎。


 其の呻き声を聞いてか、止めを刺したと思ったのか。


 居なく成った筈のお義父さんが柱の陰からひょっこりと上半身を横にずらし出して来た。


 そしてお義父さんはニッコリ笑顔で親指をグッと立てたグッジョブサインを送って来る。


 わぁ~お義父さん。そんな所に隠れてたんだぁ~と起こした出来事から全速力で逃避する俺。


「ドルフさん!!」


「す、済みません!!

 今のはマジで事故です!!」


?」


 いかれるタミィちゃんに即座に俺は土下座をした。


 しかし怪我の巧妙と言うか、失神してた自称紳士ロリコン野郎が俺から受けたサッカーボールキックに寄って目を覚ました。


「ふがぁ!? な、何が起きたんだ?」


 起きた自称紳士ロリコン野郎を見て止めを刺せなかった事に対して、柱の陰から身を晒して居たお義父さんは明らかにガッカリした顔を浮かべ出して居たグッジョブサインをそ~っと引っ込める。


 そんな混沌とした状況の中でタミィちゃんは俺達三人を見ながら深いため息を付いて自称紳士ロリコン野郎に言葉を掛ける。


「大丈夫ですか?」


「え? あっはい大丈夫です。

 タミィちゃんのお陰で元気ビンビンです!!」


 タミィちゃんに話し掛けられて嬉そに答える自称紳士ロリコン野郎。


「そ、それは良かったですね。」


 自称紳士ロリコン野郎の返答にちょっと引き気味の複雑な表情を浮かべるタミィちゃん。


「お父さん、それとドルフさんに、貴方の・・・お名前は?」


 自称紳士ロリコン野郎を見て考え込むタミィちゃんに対して元気一杯に自分の名前を名乗る自称紳士ロリコン野郎。


 先程まで気を失って居た様に見え無い態度だ。


「ペドロです!!

 主にギルドで事務を担当してます。

 宜しくお願いします。」


「は、はぁ」


 タミィちゃんはさっき迄失神してたと思えない程に瞳をギラギラさせ生き生きと自己紹介を始める自称紳士ロリコン野郎ことペドロに戸惑う。


「馴れ馴れしぞペドロ、俺の娘から離れろ。」


 タミィちゃんに言われて隠れて居た柱の陰から渋々出て来たお義父さんがペドロとタミィちゃんの間に割り込む。


「ダタンお義父さん!?」


「ペドロ、お前にもお義父さんって言われたくない。」


 お義父さんにタミィちゃんとの間に割り込まれた事に驚き呟くペドロに嫌そうな顔をして答えるお義父さん。


「ですよねぇ~お義父さん。」


「お前にもだドルフ。」


 真顔で呟くお義父さんの其の何気無い一言が、俺のガラスのハートを砕きまするぞぉ!?


 ペドロこと幼児愛好者ペドフェリアル自称紳士ペド野郎と共にお義父さんの精神攻撃拒絶の一言に遣られて共に片膝を着き掛ける俺達。

 

 そんな俺達とお義父さんの遣り取りを見て大きく溜め息を付くタミィちゃん。


「お父さん、今日見た事はお母さんにちゃんと報告させて貰いますからね。」


「なっ!? タミィ!?

 パパへの慈悲は無いのか!?」


「在りません。

 お母さんに叱って貰いますからね。」


 お義父さんは奥さんが怖いのかタミィちゃんの其の一言で、その場で崩れ落ちる様に片膝を着いた。


 タミィちゃんの前で片膝を着いてこうべを垂れた俺を含めた三人。


 其の三人をご褒美ジト目を暮れながら見下ろすタミィちゃん。


「それとドルフさんにペドロさん。」


「「はい。」」


「お二人のお気持ちは嬉しいのですが、私はお二人のお気持ちに答える事は出来ませんのでお断りさせて頂きます。」


「「ファッ!?」」


「ヨシ! 良く言ったタミィ!!

 流石は俺の娘だ!!」


 タミィちゃんのお断り発言にショックを受ける俺とペドロに対して笑顔でガッツポーズを決めるお義父さん。


「な、何故ですか!?」


 此処で落ち込んで居たペドロが俯いて居た頭を上げてタミィちゃんを見上げながら食い下がる様にお断りの理由を聞いた。


 俺はそんなペドロの行動に対して心の中で叫ぶ。


 お断りの理由を聞く何て・・・コイツ・・・馬鹿か!?・・・それとも勇者なのか!?


 や、辞めろよペドロ。


 いいかペドロ、悲しいかな女性の異性に対する好き嫌いは理屈じゃ無ぇんだよ。


 その時々の感情何だよ。


 何となく今は嫌いって言う気持ちも・・・時間を掛けて信頼関係を積み重ねて逝けば・・・き、気持ちが変わって・・・う、受け入れてくれる事も・・・多少は在るんだよ!!


 それは・・・何と無く嫌いって言う気持ちが・・・まだハッキリと嫌いって言う感情に決まって無いから何だ。


 でもな其の何と無く嫌って言う気持ちをハッキリと嫌いって言う気持ちへと意識させてしまうと酷い事に成るんだ。


 そう其の嫌いって気持ちの感情が固定されると後々に信頼関係すら築くのが難しく成るんだ。


 其の嫌いって言う気持ちを固定させてしまう行為が言葉に寄る本人の意識付けなんだよ。


 分かるかペドロ。


 理由を聞かれると人は何と無くって言うあやふやな自分自身の気持ちに付いて考えるんだ。


 何と無くと言うあやふやな気持ちから何故嫌いなのか?ってハッキリと嫌いで在る意味を自分自身の心の中から探し出すんだ。


 元々今は恋愛とか付き合うと言うのが面倒臭いから兎に角、相手を傷付け無い様に断って置こうと言うだけのあやふやな気持ちだった思いが、理由を聞くと言う事でバッサリと相手に対して断る気持ちに成るんだよ。


 そう成るとが無く成りって言うに変わっちまうんだ。


 女性の嫌いって感情が一度固定されて意識されると其の嫌いって気持ちの意識を変えるのは大変なんだ。


 だから・・・女性のお気持ちが固まる様な質問を出さずに一時撤退して・・・其れから外堀を埋める様に再チャレンジするか・・・無理矢理にでも好き好きアタックを掛けて・・・相手に深く考えさせない様にし、女性側から「其処まで言うなら少し位なら付き合って上げても良いかしら?」って気持ちにさせるしかないんだ!!


 故に! フラレた理由を聞くのは・・・悪手!!


 敢えて悪手へと振るペドロよ。


 お前は、底無しの馬鹿か・・・若しくは自分の中にあるタミィちゃんへの思いを絶ち切る為に敢えて質問した勇者か!?


 俺の心はすがる様にタミィちゃんを見上げるペドロに一瞬では在るが尊敬の念を持った。


 ペドロに理由を聞かれたタミィちゃんは、自分の心の中を探る様に長考しやがて自分を見上げるペドロを確りと見据えて答える。


「私は真面目で確りと仕事に取り組んで居る様な方が好き何です。」


「ま、真面目!?

 なら私は真面目に、一生懸命にギルドの仕事をして居ます。」


「なら此の時間で何故ペドロさんは私に告白を?

 まだギルドは就業時間中の筈ですが?」


「ハッ!」


「はい脱落~!!

 ペドロ残念~!!」


 自分の今の状況に気付きハッとした表情を浮かべるペドロ。


 其のペドロに対して嬉しそうに駄目押しするお義父さん。


 鬼か・・・お義父さん。


 いゃお義父さんは敢えて心を鬼にしてペドロのタミィちゃんに対する思いを絶ち切ってやろうとして居るのだろう。


負犬ルーザーゆうぁ負犬ルーザー~格好わるっ~!!

 プ~クスクス~二度と俺の娘に近付くなゃ負犬ルーザー君!!」


 凹むペドロに向かって子供の様に勝ち誇ってくねくねと身体を揺らしながらペドロを指差す変な踊りを舞うお義父さん。


 演技ですよね?


 そんな奇抜なダンスするお義父さんを見ながらも、ペドロには悪いが俺に取ってはチャンス到来だと考えた。


 何故なら、俺はギルド職員では無くギルドに登録したばかりの駆け出し護衛者で在る。


 そして自慢じゃないが、俺は仕事に関してはボッチだけど真面目にこなしている自信が在る。


 更に俺はギルド職員でも無いから此の時間帯に此所に居てタミィちゃんに告白して居ても何の問題も無い。


 フフフッ~ならば不真面目を理由にタミィちゃんに断られる事は無いはず。


 行ける!! 強気で押せばタミィちゃんをゲット出来る!!


 後は強気の好き好き押しでタミィちゃんからお付き合い了承の発言を引き出せば良いだけだ。


 ペドロよ。俺はお前の屍を踏み台にしてタミィちゃんへの愛を手にして見せるぜ。


 そして俺の為に咬ませ犬に為ってくれた飛んだ間抜け野郎のペドロよ。貴様に心から感謝するぜぇ~。


 うっひゃひゃひゃ~此処からは俺の告白ターンだ!!


 行くぜぇ!!

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勘違いから始まる異世界転生無双 只今 奮闘中 @idiiyu

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