第28話 新人ボッチはご褒美を貰う。

 はい、知ってました。


 タミィちゃんは俺の事なんか全然観ぜんぜんみてませんでした。


 だってぇ~天使の様に優しいタミィちゃんだもの。


 べ、別に俺の事を全然興味が無いとか言う意味で観て無かった訳じゃないからね!!


 何て言うの? ほらぁ怪我をした人を見捨てる何て事はしない優しい天使タミィちゃん何だもん。


 そっちを優先にしてるだけなんだよ。


 手を握り潰され痛がり転げ回る鬱陶し自称紳士ロリコン野郎の奴が目の前に居たら普通は俺みたいに嘲笑う事なんか、心優しいタミィちゃんはしないって・・・だから今は自称紳士ロリコン野郎の潰れた手に向かって一生懸命に治癒魔法を掛けてるんだよね天使タミィちゃんは・・・。


 うんうんタミィちゃんはそうじゃなきゃね。


 心優しいタミィちゃんなら・・・当たり前・・・だが・・・折角の演出が・・・。


 いゃタミィちゃんが悪いと言いたいのでは無いぞ。


 そうこんな時に怪我した奴が悪いのだ。


 故に!! 


 許せぬのは自称紳士ロリコン野郎だ。


 しかもタミィちゃんが心配して一生懸命に治癒魔法を使って居ると言うのにあの糞野郎。


 鼻の下を伸ばしてだらしなく顔歪めてやがる!!


 あっ! あの自称紳士ロリコン野郎がぁ~タミィちゃんの匂いをクンカクンカと嗅いで悦に入った顔しゃがった。


 己れぇ~タミィちゃんの善意を利用し己が歪んだ性癖を満たそうとするとは・・・流石は紳士、羨ま・・・ゲフンゲフン・・・おっと違った!? 


 変態めぇ~許すまじ!!


 天誅を暮れて遣るぞ。


 俺は早速、顔が凶悪犯の様なダタンお義父さんに報告チクりを入れる。


「お義父さん!!

 タミィちゃんの貞操が危険きけんあぶないです!!」


「だからお義父さんって呼ぶ・・・な?

 何ぃ~タミィの貞操が・・・何だってぇ!?」


 俺の手を握り潰そうとして居たお義父さんが一瞬の間を開けて叫ぶと背後に居るタミィちゃんへと振り返る。


「ぐぬっ!!あの糞野郎がぁ~。

 ちょっと目を放した隙に家の娘に粉掛けやがってぇ!!

 ガッァ!!喰らぇ~ドルフアタックゥ!!」


 治癒魔法に集中して居るタミィちゃんに対して鼻の下をびろぉ~と伸ばしニマニマとイヤらしくも堕らしない顔で微笑む自称紳士ロリコン野郎を見た瞬間、お義父さんは両手で掴んで居た俺の手を俺の身体ごとハンマー投げの様に振り回すと思い切り自称紳士ロリコン野郎に向かってぶん投げた。


 お義父さんに投げられた俺は慌てず直ぐに空中でくるりと体勢を変える。


 土下座の体勢なんて馬鹿な格好で飛んで行く何処ぞのスケルトン程に俺の頭は悪く無い。


 何せ此の攻撃は、お義父さんと俺の連係攻撃コラボレーションだからだ。


 喰らえ自称紳士ロリコン野郎!!


 投げられ空中でライダーキックの体勢へと変わった俺は、鼻の下を伸ばしていびつに微笑む自称紳士ロリコン野郎の顔面に見事な蹴りを叩き込む。


「あ~っと足が滑ったぁ~!!」


 勿論棒読みの様な台詞付きだ。


「ぶほっわぁ!?」


「ド、ドルフさん?」


 突然の出来事に治癒魔法を掛け終える寸前だったタミィちゃんが驚いた。


 俺に蹴られて転がって行く自称紳士ロリコン野郎を観ながらお義父さんがキラッと笑顔で、お褒めの(*^ー゚)b グッジョブサインを俺にくれた。


 俺もキラッと爽やかな笑顔でお義父さんにグッジョブサインを返す。


 良しコレならタミィちゃんと結婚してもお義父さんとはしゅうと問題も無く普通に遣って行けそうだ。


「何て事するんですか!!」


 そんな笑顔でグッジョブサインを出し合う俺とお義父さんを叱責しながらタミィちゃんは転がって行った自称紳士ロリコン野郎の下へと慌てて駆けて行く。


「え!? いゃぁ~タミィちゃんごめんなさい。

 ちょっと足が滑ったもんですから・・・。」


 言い訳を並べながらタミィちゃんの後を追って俺も自称紳士ロリコン野郎の所へと向かう。


 自称紳士ロリコンは今度こそ白眼を向き鼻血流して昇天・・・あっピクッと痙攣してる。


 チッ! お義父さん済みません。


 此のお邪魔虫を殺り損ねましたぜ。


 お義父さんもグッジョブサインを引っ込めてあの怖っかない顔をショボ~ンて感じで落胆させて居た。


 Oh !NO!? お義父さんを落胆ガッカリさせてしまった。


 此れではタミィちゃんと結婚してもお義父さんとの信頼関係が・・・許すまじ自称紳士ロリコン野郎めぇ~俺とタミィちゃんの幸せを何処まで妨害したら気がすむんだぁ!!


 もういっそ此処で殺っとく?


 何て考えてたらタミィちゃんが俺とお義父さんをジト目で見て来た。


 ファっ!?


 一部のドMな豚野郎なら褒美プレーだと言って喜びそうなタミィちゃんの目だ。


 も、勿論俺はご褒美プレーだと思って喜び何かしない。


 本当だよ。


 ごめんなさい。ちょっと・・・良いかなって・・・頭の隅に過った・・・だけです。


 とは言っても今はそんな言い訳をして居る時では無い。


 タミィちゃんのジト目(ご褒美?)から逃げる様に失神して居る自称紳士ロリコン野郎の側に行く。


 タミィちゃんも今は俺にご褒美(ジト目?)を送って居る場合では無いと気付き直ぐに倒れて居る自称紳士ロリコン野郎の下へと寄って行く。


 うむっ不細工だなと白眼を向き鼻血を出して失神してる自称紳士ロリコン野郎を見いる俺と違いタミィちゃんは治療の為にハンカチを出して自称紳士ロリコン野郎の鼻血をぬぐおうとした。


「手伝いますよ。」


 そう言って俺はタミィちゃんが自称紳士ロリコン野郎の鼻血をぬぐう為に取り出したハンカチを受け取ると俺はタミィちゃんの受け取ったハンカチをに綺麗に畳んで終う。


 そして自分のカバンから湿った使用済みのタオルを出す。


 此の使用済みタオルは、今日ギルドへ来る前に完遂したどぶさらいの依頼の後、どぶさらいの仕事で着いた汚れと臭いを身体から洗い流す為に水浴びをしたのだが、その時の水浴び後に濡れた俺の身体をぬぐうのに使ったタオルだ。


 そのせいか、どぶの臭いが少しタオルに染み着きしかも濡れた身体をいた事からかなり湿っている。


 其のタオルを出して自称紳士ロリコン野郎の顔に付いて居る鼻血をいて遣る。


 俺のタオルがちょっとどぶ臭いからか、自称紳士ロリコン野郎が失神してる筈なのにフガァ!!フガァ!?とタオルで顔を拭って居ると餌付えづく様にうめきながら身体をビクンビクンと大きく痙攣させる。


 失礼な奴だ。


 もう助けるのも面倒臭いから此のまま口と鼻を此の湿ったタオルで塞いで窒息死・・・危ない危ないタミィちゃんのジト目(ご褒美?)が俺の背中を突き刺さす様に観ているって事を忘れてたわ。

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