第24話 新人ボッチは懲りない。
土下座姿のバルが空中を舞う。
其の飛んで居るバルの姿がやけにスローモーションの様な動きに見えてしまい思わず笑ってしまう。
空中を舞うバルの着地点には逃げるタイミングを失してしまい此から起こるで在ろう土下座姿のバルと激突する未来に対して、諦め半分と絶望を半分に混ぜ合わせた様な表情をした護衛者達が居た。
ワッハハ~さらばだ先輩方諸君!!
君たちが行けないのだよ、君たちが。
私をボッチにした君たちがねぇ。
そんな事を思いながら俺が投げ付けたバルに激突し倒れ散る護衛者の先輩方を想像してニチャリと
ハッハ~愉快、愉快。
処が土下座姿のバルが護衛者の先輩達に激突する寸前に横合いから手を伸ばしガシッと放物線を描いて飛んで来たバルをキャッチする者が居た。
太い腕にゴリゴリの筋肉そして凶悪犯の様な恐っかない顔。
「うおっと危ねぇ。
ふぅ~ギリギリだったな。」
ニカッと知らない子供が見たら泣き出しそうな笑顔を見せるダタンさん。
対して助かった事で気抜けた様に表情を崩し感謝を次々に述べる土下座姿のバルと護衛者達。
「ウワァ~ン、助かったっス~ダタンさん~。」
「さ、流石副ギルド長だぜダタン!!」
「助かったぞダタン!!」
「危ない所を助けて貰って感謝するぜ
「あ?」
感謝する護衛者達の中に誰か一人がうっかり本音を溢してしまった様で、ニカッと笑顔を浮かべて居たダタンさんの表情が明らかに変わるのが分かった。
「バッ!!」
「お前ぇ!?」
「な、なに言ってんの!?」
「しっ、しまった!!
口が滑ってつい本音が!?」
慌ててダタンさんを凶悪犯呼ばわりした護衛者の一人を残り全員の護衛者達が睨むが、時既に遅しとばかりにダタンさんが受け止めて持って居た土下座姿のバルを護衛者達に向かって投げ付けた。
「酷っス~!!」
今度こそ先輩の護衛者達は飛んで来たダタンさんへ抗議の悲鳴を上げる土下座姿のバルにブチ当たる。
ボウリングのピンの様にパッカ~ンと軽快な激突音を発てながら先輩護衛者達は飛び散って逝った。
「ナイスストライク!!
流石は
怒りでふぅふぅ荒い息を吐くダタンさんに近寄って俺は声を掛ける。
「誰がぁ兄貴だぁ!?
其れに殺ってねぇし!!」
確かにダタンさんに殺られたと思われた護衛者達はピクピクと痙攣して生きて居る様だ。
チッ、スケルトンの奴も無事だった様だ。
バルの奴が成仏出来無かった事に軽く舌打ちした後にダタンさんへ再度話し直す。
「いゃぁ~兄貴は、兄貴でしょう。
それとも
「何だ其の名称は!?
ドルフ、何かお前の其の言い方って嫌な含みを感じるんだよな。」
「そんな事は有りませんぜ。
ダタンの兄貴にはぴったりな名称でさぁ!!」
うん、ダタンさんって
そんな内心を少しも見せずに俺は微笑みを浮かべダタンさんと話を続ける。
「だから兄貴は辞めろ!!」
「其の名称の件はさて置きダタンの叔父貴。
コイツらどうしゃす?
ギルドの壁か柱に
「
つうか其の冗談辞めろ!!」
何故かダタンの兄貴に怒られた。
冗談とは、俺としては本気で言ったのに・・・全く解せぬ。
結局、俺はバルや先輩護衛者達の止めを刺して埋める事も無くダタンさんや後方から一部始終を見て居たギルドの職員達と一緒に手当を行う事に成った。
「でぇ~誰が此を?」
怪我の手当を受けたバルや先輩護衛者達を見てホップズが聞いて来た。
俺とダタンさんは互いに何も言わずに、そ~っと同時に相手に向かって指を差した。
其の後、直ぐにダタンさんと俺は二人揃ってホップズにギルドの取調室へと連行された。
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