第20話 新人ボッチは弁明する。
アンデットに似たヒョロリと痩せ過ぎの男に
解せぬ。
俺は何も悪い事はして居ないのに何故なんだ。
ちょっとした善意で
「おいバルどうしたんだ。
さっきから大声を上げて?」
「何時もの新人イビりか?
だっせぇから辞めろって何時も言ってんだろバル。」
「バルまたお前かよ。」
俺を囲んで居た護衛者達は騒ぐアンデットを見て口々にバルと言う名で呼び始めた。
ふむっあのアンデットは護衛者の皆からバルって呼ばれて居るのか。
「ち、ちげぇよ!!
其処の新人が粋なり棍棒を持って俺を襲って来たんだ。」
バルと呼ばれたアンデット野郎め。
自分から俺に声を掛けて来て起きながら俺が意味も無く先に襲って来ただと!?
「なに? 本当か?」
「お、おい新人の奴が確かに棍棒を持って構えてるぞ。」
「マジかよ。」
俺がエルダートレントの枝から造り出した我が愛刀を見て取り囲んでいた護衛者達が驚き口々に声を出した。
ムッ!? 俺を取り囲んでだ護衛者達は、まるで俺が頭が可笑しい奴の様な目付きで見て来る。
ムムムッ! 此処は誤解が無い様に言って置かねば成るまい。
「護衛者諸先輩の方々。
まず始めに言って起きたい事が有ります。」
俺は周囲を取り囲んで警戒して居る先輩護衛者の方々を刺激しない様にアンデット野郎で在るバル某が言った間違いを俺は指摘する事にした。
「何だ。新人! 言い訳くらいなら聞いて遣るぞ。」
「そうだな、バルの野郎だけの一方的な話しだけじゃぁ此の状況は良く分かんねぇしな。」
「あぁ新人の弁明くらいは聞いてからでも遅くはねぇか。」
「分かった新人、お前にも言いたい事が在るなら聞いてやるぞ。
だから先ずは其の棍棒をしまえ。」
流石は護衛者達だ。
アンデット野郎の一方的な言い分だけでは無く、此方の話しも聞いてから判断してくれるとは。
「先ずは諸先輩方へ。
私の弁明への機会を頂き誠に有り難うございます。」
フフフッ先手の挨拶は礼儀正しく行う事に寄って弁明を聞いてくれる先輩護衛者達の心象を良くする。
伊達に前世で謝罪上手のカンちゃんって会社の同僚から陰口を叩かれた訳では無いぞ。
どれだけ会社の上司や先輩達に怒れれ頭を下げて来たか、お陰で同僚達から白い目で見られた事か・・・アレ何か目から熱い汁が・・・溢れそうに成るぞ・・・グッスン。
己れぇ~アンデットのバルめぇ~俺の辛い前世の過去を思い出させやがってぇ~ブッ飛ばし成仏させて殺る。
弁明する機会をくれた事に感謝し頭を下げて居る為に俺の溢れる涙に先輩護衛者達は気付かない。
「な、何だ此の新人、礼儀正しぞ。」
「ん、思ってたのと違うな。」
「あぁバルの話だけじゃ粋なり棍棒を振り回すアンタッチャブルな新人だと思ったが・・・。」
「こいつはまたバルの奴が新人イビりを遣って逆に新人に返り討ちに有ったパターンか?」
先手の礼儀正しい挨拶に寄って俺を取り囲む先輩護衛者達の雰囲気が軟化し始める。
取り囲む先輩護衛者達の俺に対する旗色が変わった事で、アンデット野郎ことバルの奴が顔色を変えるのが俺には見て取れた。
「だ、騙されるな!!
そ、そいつはマジでヤバイ奴何だよ。」
旗色が変わり始めた事に焦ってかバルは必死の言い分を始める。
「バルさん、今は私が弁明の為に話す番です。
そして私の弁明に可笑しな点が在るなら先ずは私の話しを聞いてからにして下さい。」
「そりゃそうだ。」
「おいバル、先ずは其処の新人に話しをさせて遣れよ。
お前の言い訳を聞くのは、其処の新人の話しを聞いてからでも遅くはねぇだろ?」
「あぁバルの奴に変なレッテルを貼られちまったら折角出て来た新人を無駄に糾弾して駄目にしちまうからな。」
俺の指摘に先輩護衛者達は賛同してくれる。
バルの奴は益々自分の旗色が悪く成った事で顔を青くして居る。
フハハハ~舞台は整ったぞアンデット野郎のバル君、此れからは俺のターンだ。
俺の話術で、お前が反論が出来無い様にボッコボコにしてやんよ。
見てろよ。前世の辛い過去を思い出させた怨み晴らさせて貰うぜ。
「先輩方へ私の
俺は
無言で真剣な眼差しを送る俺の態度から周りを囲んで居た護衛者達の雰囲気も変わる。
茶化す様な軽い雰囲気から人の話しを聞く姿勢へと変化したのだ。
新人が何かを話すぞ。と言った場の空気を読んで騒がしかった先輩護衛者達が押し黙って行く。
勿論、此れも俺がそう言った場の空気を造り出した結果だ。
此れから話す為に静かにして下さいと言う意味で周囲を見渡し此の場に居る誰もが雑談を止めるまでの沈黙する間を取ったのだ。
「皆さん・・・」
静まり返ったギルド内に俺だけの声が大きく響く。
それだけで前列に居る護衛者達が緊張したのか、ゴクリと緊張で乾いた喉を潤す為に唾を飲み込む音を出した。
緊張と緩和、良いスピーチに必要な要素だ。
聴衆の緊張は、語られる言葉に対して聞き漏らさ無いぞと言った精神的な集中を起こさせる。
そして緩和、人は残念な事に自分達が興味の無い長い話しを聞き続けるだけの集中力は無い。
真面目な話のスピーチだけだと大半の人々は飽きてしまうのだ。
其の事を理解し良いスピーチでは、聴衆の長い緊張を解す為に話の要所に緊張を解す為の笑いの要素を入れる。
其の笑いの要素こそがスピーチに措ける緩和で在る。
地球の
其れを用意て此の場に居る護衛者達に俺の話を寄り良く吹き込んで行くのだ。
フハハハ~アンデット野郎のバル君!! 敵に回しては行けない此の俺を、貴様は敵に回してしまったのだ。
其の事を後悔させて遣るぞバル
そしてぇ~此処で聴衆との間を取ってぇ~緊張を高めぇ~本命で在る
「・・・先ずは私に対するバルさんの言われない誤解を解く為の弁明をしたいと思います。
皆さん、私が手に持った武器は棍棒では無く木刀です。」
俺はスピーチを聞く護衛者達の前に手に持ったエルダートレント製の木刀を掲げて見せる。
「「「えっ?」」」
俺の目の前に居る護衛者達が一瞬ポカンとした顔へと変わり。そして全員が頭に
其の後に短い沈黙が続き聴衆達はザワザワと騒ぎだす。
「えっ!? 誤解って其処?」
「え、えっ!? 弁明するってのは武器の名誉の事なの?」
「バルの奴を襲った事は認めるって事なのか?」
「えっ!? 木剣じゃ無いの?」
し、しまった。間違ってウイットに飛んだ
其のせいでスピーチを聞いた聴衆者達には
しかも若干一名、俺の
なんと其れがアンデット野郎のバル君だった事に驚きながらも、俺は右手の親指を立てるとグッドサインを出して乗りボケを咬ましたバルに笑顔を送っるのだった。
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