第19話 ボッチ新人は絡まれる。
「じゃぁまたね。」
「またね。」
「今日どうする?」
「合格した事を家族に伝えたいから直ぐに帰るよ。」
「あっ俺も母さんに合格した事を言わなきゃな。」
「今日はみんな帰るって事で、初依頼に関しては数日後くらいが良いかな。」
「だよね。試験の為に頑張ったから数日は休んで其れから皆で集まってな。」
「おう、今日はもう解散つう事で。」
「おう。」
そんな事を話しながら新人護衛者に成った五人の若者達が楽しそうに
そんな爽やかな会話をしながら去って行く五人の若者グループの背中を眺めながら俺は独り
「
領都に友達も居ないしボッチだし、流石に試験で頑張ったから今日は仕事は休んで明日から依頼を受けようと思うけど。
でも其の前に護衛者の証で在る
常備の依頼や簡単な依頼と確か緊急を要する依頼等もギルド内の掲示板に貼ると講習で聞いたからな・・・おっ!? あれか依頼貼り出し用の掲示板は。
ふむふむ成る程確かに色々在るな。
一様、掲示板に張り出された依頼書には講習で聞いた通りに初級護衛者向けって書いても在るな。
初級護衛者向けって依頼の大半は街中での便利屋さん見たいなモノが多い様だけど。
まぁ戦闘に関した依頼も初級護衛者は領都の兵士と一緒に街の周辺に居る魔物や魔獣を狩るだけ見たいだ。
護衛者の仕事と言えども初級護衛者は段階を踏んでからしか難しい依頼や危険の大きい依頼は受けられない様に成ってる見たいだな。
まぁ旅で世話に成ったガランさんの話しだと此の初級護衛者へ向けた依頼条件に関してはちょっとした抜け道が在る見たいだけどね。
「おい」
成る程、薬草などの採取依頼ってのも初級護衛者では受けられ無いのか。
ラノベやネット小説の物語の中だと初心者の仕事ぽいけど、実際は魔獣や魔物が
「おいコラ!!」
さぁて大体の依頼に関する流れは分かったし今日は帰って一休みとするかな。
「おい! お前の事だよ!!
無視してんじゃねぇよ。
何を遠い所を見る様な目付きで俺を無視してんだよ。
おい、此方向けや。」
う~ん本当に今日は疲れた色々有って大変だったニャ~。
「オイオイ、お前の事だって言ってんだろがぁ!!」
今日は宿に帰るか其れとも街中を少し探索するかと悩んで居る俺を背後から誰か知らない人が叫んでガシッと粋なり肩を捕まえて来た。
「おい、テメェ!?」
さぁ帰るとしょう。
「ちょっとお前っ!?」
ズリズリ。
帰りに何か美味しい物でも買って食べようかな。
「と、止まれって!?」
ズルズル。
何か試験大変だったな肩がちょっと重い感じがする。
変な声も聞こえて来るし、まさかスピリチュアルな何かに取り憑かれて居るとか?
「と、止まんねぇ!!
な、なんだ此のガキ!?」
ズルズル。
そう言えばガランさんに聞いた話しだとアンデット系の魔物も居るって言ってたな。
ん?でもアンデット系の魔物って此処等辺には居ないって聞いたんだけどな。
ズリズリズルズル。
「止まって!? そして俺を見て話しを聞いてお願いだから!!」
何か泣き声と共に必死な感じでお願いして来たので俺は仕方なく立ち止まって振り返る事にした。
其処には俺の肩を必死に掴んで泣き崩れて此方を見る不健康そうな顔のヒョロリとした痩せ過ぎな男が居た。
うわぁ!マジでアンデットが居た。
此処って
何でこんな場所にアンデットが!?
あれか突発的発生って奴か?
それともポッブズ試験官に怨みを持って死んだ奴か?
それともダタンさんが完全犯罪の為にギルドの建物内に埋めた被害者とか?
まぁ何か相手するのも面倒臭いから退治しちゃう?
一様アンデット系の退治方法はガランさんから話しだけなら聞いて居るから何とか出来ると思うし、それにダタンさんには試験の時の恩も在るからな。
ダタンさんの完全犯罪がバレ無い様にサクッと成仏させるか。
アレだなダタンさんって見た目怖いと思ってたけどやっぱり人に言えない事やってたんだな。
「ま、待てよ。何だよ其の棍棒は!?」
ダタンさんの完全犯罪を・・・ゲフンゲフン、名誉を守る為に、俺は田舎を出る時からエルダートレントの太い枝を加工して作った俺専用の武器を背中に背負った布の中から取り出す。
そして俺の肩から手を外して驚き戸惑って居るアンデットに向けて構える。
「悪鬼羅刹を滅する我が愛刀だ。
さぁ大人しく成仏させて遣るから覚悟しろアンデットめ。」
スチャリと手に持ったエルダートレント製の木刀を構えると俺は体内の
「ファッ!?
俺はアンデットじゃねぇ!!
人間だ!!」
木刀を構えた俺を見て腰を抜かしたのかアンデットは其の場にへたり込んで叫んだ。
「ふっ、アンデットは皆そう言うモノのだ。
悲しい事に自分が死んだと言う事に気付かない。
そうしてアンデットと成り果て魂は此の世をさ迷う。
安心しろアンデットよ。
お前はもう死んで居るんだから痛くは無い筈だ。」
「生きてる!!
俺は生きてるから!!
本当に!
マジでぇ!!」
哀れなアンデットだ。まだ自分は死んで居ないと思って居るとは、まぁアンデットとはそんな悲しい存在かも知れない。
「悲しいな、アンデットよ。」
俺は木刀で狙いを定めながら慈悲深き哀しみを称えた瞳で喚くアンデットを見据える。
「ち、違ぁ~~う!!
本当に生きてるから!!
其んな目で見るのは辞めて!!」
此処は一撃でスッキリハッキリ成仏させて遣るのが生きてる人間の義務と言うモノだろう。
「フムッ知り合いのベテラン
黙って居るアンデットは普通のアンデットだが喚くアンデットは訓練されたアンデットだと。
迷わず倒せよアンデット。
倒せば分かるさアンデット。
死んだらどうせ皆アンデット。
ってな。」
ニカッと爽やかな笑みを俺はアンデットに向ける。
「何だよそれ!!
結局倒して死んでたらアンデットって言う話じゃねぇか。
しかも普通に生きてる人間だってそんな棍棒でぶん殴られりゃ死ぬだろがぁ!!
そんな爽やかな笑顔で言われても誤魔化されないぞ。」
チッ何だよ此のアンデット野郎は面倒臭い。
「もう煩いアンデットだなぁ~。
面倒臭いからサクッと殺っちゃうかな。」
「今、サクッと殺っちゃうって言ったよね。
俺がアンデットじゃ無いって内心では分かってるって事にだよね。」
アンデット似のヒョロリとした痩せ過ぎの男が大声で必死に騒いで居る為か何時の間にか俺の周りに護衛者の人達が集まり始めて居た。
糞っ黙って早めに此のアンデット野郎に止めを刺して・・・ゲフンゲフン、成仏させて置くべきだったか。
ちょっと成仏させるのに情けないを掛けて時間を与えてしまった事を俺は後悔する。
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