第7話 四歳にして従う

 四歳に成った。


「灯り」の魔法は・・・其の・・・何だぁ・・・まぁ諦めた。


 ほらきっと・・・何か・・・魔法を発動させる為には触媒に成る物が必要何だと思う。


 けっ、決して飽きたからって訳じゃ無いんだからね。


 本当何だからね。


 だ、だから俺は今出来る事を集中的に鍛える事にしたんだからね。


 うぅっ・・・何か言ってて辛く成って来た。


 そうだよ言い訳だよ。


 進展が無さ過ぎて諦めたんだYO!!


 チキショ~!!


 で、でも其の代わりに、体内魔力の増強と身体強化魔法と感知魔法の制御には集中的に頑張って鍛練してるYo。


 ヤベェ焦り過ぎて語尾が似非ラッパー化してるYo!


 兎に角、今の俺は体内魔力量や魔力の制御が半端無い事に成ってる。


 普段は俺の体内魔力量を感知され無い様に圧縮して小さくして居るけどね。


 何せ俺自身が他者の体内魔力を探知出来るんだから他の奴等も魔力を探知を出来る可能性が在る。


 特に「灯り」の魔法が使える産婆さんは要注意だ。


 万が一の事を考えても、今は周囲に俺の事を気付かれるのは得策では無いと思う。


 それ故に体内魔力の制御鍛練にも力を入れた。


 今では普通に体内の魔力を圧縮して小さくする事で魔力を隠す事が可能に成った。

 

 其の事から体内魔力の鍛練時以外は普段から圧縮して小さくして居る。


 此の体内魔力を圧縮する行為は俺に更なる新しい魔法の発見を促した。


 隠蔽魔法の発見だ。


 体内魔力を極限まで圧縮すると他者から存在を認識され難く成るのだ。


 実験として家の中で極限まで体内魔力を圧縮し存在感を消す隠蔽魔法を使い、夜に親父殿と母上の寝室に潜入してみる。


 寝室の扉を開けて柱の影からそっと覗いて見た。


 フワァッ!? 


 は、激しい・・・ハッスルしてる。


 こ、此れはもう直ぐ弟か妹が出来そうな勢いだ。


 い、如何、親父殿のハッスルさに此れが隠蔽魔法の実験だと言う事を忘れて居た。


 そうだ!! 此れは実験だ。決して覗き趣味ではないのだ。


 俺は隠蔽魔法を使いながら、柱の影から身を晒しラジオ体操第一を踊って見る。


 おいちぃにぃ、おいちぃにぃと。


 うむっ気付かれない。


 更にハッスルしだす親父殿と母上に柱の影から出て近付き、無言でラジオ体操第二まで踊り披露して見るが夜の営みに夢中な両親には気付いて貰えなかった。


 そうこうする内に親父殿がフィニッシュブローの体勢に入った。


 俺は再度寝室の入口側の柱の影まで戻り、今度は声を出して見る。


「親父殿・・・?」


「うおっ!?」


「きゃっ!?」


 流石に声を出したら気付かれた様でフィニッシュブローを放つ寸前に居た親父殿と母上が驚きの声を上げた。


 柱の影から自分達のアラレも無い合体ポーズを見て居た俺に対して親父殿は物凄く戸惑った感じだった。


 母上もし、しまった!! って顔をして居る。


 此処は幼い子供に夜の営みを目撃されて戸惑う両親をカバーする為には然り気無くホローする為には、俺から動いた方が良いだろう。


 出来るだけ子供らしく。


「お、親父殿!!母上を虐めないでぇ!!」


「「えっ!?」」


 俺の発言に親父殿と母上は一瞬ぽかんとした表情を浮かべる。何と言うか、鳩が豆鉄砲を食らったと言う表現を素で表した感じだ。


 そして両親は一瞬の沈黙から直ぐに苦笑を浮かべて再起動し始めた。


「い、嫌ぁ違うんだよ。お父さんは決してお母さんを虐めてる訳じゃあ無いんだよ。」


「本当?」


「えぇ本当よ。お母さんはね。お父さんにマッサージして貰ってたのよ。」


 夫婦揃って必死の言い訳をして居る。


 此処で突っ込むのは野暮と言う物なので俺は騙された振りをする。


「そ、そうなんだ、良かった。

 母上が変な声で叫んで居たから僕はてっきり親父殿が・・・」


「そ、そんな事は無いぞ!! お父さんはな・・・」


 焦った様な表情で親父殿が意味不明の言い訳を長々とし始めたので、俺は子供らしい笑顔を残して両親の寝室から逃げる様に去った。


 そして次の日、母上から夜に私達の寝室に入る時は先ずはノックして返事を待ってから入る様にと指導と言う名のお叱りが入る。


「はい母上分かりました。」


 家での隠蔽魔法の実験は今回限りなので二度と深夜に両親の寝室には近付きません。


 今回の実験で隠蔽魔法は音を出すとバレると言う欠点も事も分かった。


 うん実に有意義な実験だった。


「え? ちゃんと聞いてますよ母上。」


 母上のお叱りを右から左へと聞き流して居ると母上のお叱りが厳しく成った。


 長いな母上のお叱りは、今日一日中は母上のお叱りを聞く事に成るだろう。


 今度から両親を使って魔法の実験をするのは辞める事にする。


 母上、怒るとお叱りが長く成る事も分かったし、今後は母上の言い付けには従う様にしょう。


「は、はい、聞いてますよ母上。大丈夫です。」


 まだ続くのかよ母上のお叱りは・・・・クッ正座した足が・・・痺れる。


「え? 不満何て有りませんよ。何も・・・本当ですよ母上。」


 今は兎に角ここは平謝りだ。


 早く終わんないかな母上のお叱り。


 その後、俺は昼間過ぎまで母上からお叱りを受けた。


 後日談として、俺が叱られた其の日から半年後に母上が御懐妊した事が分かった。


 簡単な計算上では、両親が俺に夜の営みを覗かれた日が命中日に成る。

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