第3話 吾、半年にして志す

 生後半年が経った。


 俺は体内の魔力を練り上げ鍛える事には成功して居たのだが、残念な事に魔法を使う事に関しては未だに成功して居ない。


 最初計画として体内の魔力を動かす事から始めたのだが体内に在る魔力が少ないのか、動く気配が無かった。


 始めは無駄にりきんで見たりしたが、結果としては下の排泄に寄ってお忙しい母上のお世話に成ってしまった。


 其の事から新たに考え直し、体内の魔力が少な過ぎて動かす事が出来ないのでは無いか?と言う仮説を建てた俺は、問題の解決案として体内の魔力を増やす若しくは体内の魔力を練り上げて密度を高めると言った訓練方法へと舵を切る事にした。


 更に体内の魔力は何処から来るのかと考えた末に、ネット小説やラノベ小説等の設定から考察し大気中に在る魔素を体内に取り入れる事で魔力へと変換しているのではないかと推察に至る。


 其処で大気中の魔素を体内に取り込むと言う推察から連想して、呼吸に寄って体内へ取り入れて居るのではないかと更に仮説を成り立てて試す事にした。


 此の呼吸に寄って大気中の魔素を体内に取り込むと言う俺の仮説は見事に的中する。


 初めの内はどう遣って良いのか分からず、兎に角地球で良く聞いた健康法等の呼吸法を色々と試して見たのだが俺の体内に有る魔力の反応は無かった。


 しかし色々と試して行くなかで在る日、古流武術等の格闘技で使われて居ると言われた呼吸法を試すと何故かは知らんがメッチャ体内の魔力が反応するのを俺は感じた。


 其れからは重点的に体内の魔力反応が高い其の古流武術に使われる呼吸法を行い鍛練する事にしたのだが其の過程で色々有った。


 時に母上に呼吸法の鍛練中の姿を見られて、家の子の様子が変だ!何かの病気かも?と慌てた母上が産婆さんを緊急で呼ばれた事も有った。


 勿論、産婆さんが来る頃には何事も無かった様な可愛いベビースマイルを浮かべて誤魔化して見た。


 しかし其れだけでは怪しまれても困るので、少し・・・そうほんの少し・・・母上にエッチなちょっかいを出す時の親父殿の真似をしてフンハッフンハッと腰を振る動きと同時にハァハァと荒いを呼吸をした後にツイッと親父殿に視線を向けて、ニチャリと意味深なベビースマイルを浮かべ誤魔化して見せた。


 其の後、親父殿が何かを察した産婆さんに呼び出されて、子供の前で何回パコった?と聞かれながら締め上げられて居た。


 駄目かと思ったさかった親父殿の真似だったのだが、思った以上に誤魔化せた。


 普段、我が親父殿が周囲からどの様な目で見られて居るのかちょっと考えさせられる瞬間でも有る。


 赤ん坊の俺が見て居てもちょっと引く程のさかりっぷりだからな。


 たまに授乳中の俺を濁った様な曇ったまなこで親指の爪を噛みながら物欲しそうな顔でジッと睨みつけて来るし、母上が忙しい時に親父殿に抱っこされるのだが小声で「ママのオッパイはパパの物だからな!今は貸して遣ってるだけだからな!直ぐ返せよ。出来たら利子も付けて返せよ。」と呟いて来るのだ。


 しかも親父殿は、そんなアホな呟きが母上に聞こえて居ないと思って居る様だが、呟く親父殿の背後で眉を八の字状に曲げて困り顔で、残念な生き物(親父殿)を見る様な視線を送って居た。


 そんな親父殿だからか、赤ん坊や子供は周囲の状況を真似て色々と学んで行くと知って居る産婆さんは、赤ん坊で在る俺の奇っ怪な動きの原因が、親父殿の普段の行動に有るのではと考えに至った様だ。


 恥ずかし差の余りか、真っ赤に成った顔をして下を向く母上の隣で、親父殿が締め上げる産婆さんに必死に成って釈明して居る姿は何処か滑稽だった。


 まぁ濡れ衣何だけどね。


 済まぬ親父殿、可愛い我が子の為に犠牲に成ってくれ。


 そんな来んなで俺は何とか体内の魔力の強化に成功して居た。


 しかし未だに魔法への昇華は成功して居ない。


 体内の魔力を練り上げ動かす事は一年たった今では自由自在に出来る様に成って居るのだが、魔法へと行使する事が出来ないのだ。


 手の平から体内で練り上げた 魔力を放出したり光をイメージして産婆の使った「灯り」の魔法が出来ない物かと四苦八苦したが上手く行かない。


 体内で練り上げた魔力を体外へ放出するとアッと言う間に霧散してしまう。


 もしかしたら此の世界では魔法を行使する為には魔力やイメージだけでは無く、呪文か触媒に成る何かが必要なのかも知れないと俺は思い至る。


 しかし呪文や触媒が必要とは言っても今の俺は赤ん坊の為に上手く呪文を発する事も出来無いし増してや魔法を使う為の触媒何て手に入れる事何て出来ない。


 仕方が無いので、時期が来るまで体内の魔力を鍛え上げる事にした。


 呼吸法の鍛練に寄って少しずつでは有るが体内の魔力が大きくまた密度が濃く成って行くのが分かったからだ。


 魔法を使うにしても体内の魔力が多く有った方が有効と言うのはネット小説やラノベ小説等の定番だ。


 なら鍛え上げて置いて損は無いだろう。


 目指せモテモテハーレム異世界俺TUEEEE伝説だ。

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