第2話 森と少女
アレンはポーチバッグにクリスタルを収納し、森に出ることにした。森では薬草や特産キノコが手に入るため、初心者には向いてそうだった。
森の中は小さな草食動物がはしゃぎまわっていたり、植物が伸び伸びと育っていた。薬草もキノコも何個かみつけた。この森は回復系統のものが多いように感じられた。
暫く進むと、泉に到着した。小さな妖精が泉の上から離れていく。水は太陽を反射し、輝いていた。
「きゃぁっ!」
茂みから何かが飛び出て来た。瞬時に刀を抜刀し中段に構える。しかし、現れたのは赤い頭巾をかぶり、金髪の長髪をきらめかせ、ルビーの様な瞳の少女だ。彼女は組合で目が合った女性だ。
「大丈夫ですか?」
「逃げましょ!シャドウフォックスの群れが来てるの!」
シャドウフォックスとは真っ黒の毛におおわれた狐でかなりの強敵だ。瞳は水色で、その俊敏さから影の狐となったのだ。
「私ができるだけ対処します!その間に――」
「そんなのは嫌だ」
俺はそういって魔法を構築する。
「水よ!一凛の氷の花となりて我が前の敵を撃て!
氷の薔薇が咲き、その棘を真っ直ぐにつき放った。
「ありがとう」
彼女は呟いて背中の弓を掴み、体の前に構える。矢を三本弦にかけて唱える。
「矢よ!鋭き風を纏いて我が前の敵を撃て!
風を帯びた矢は真っ直ぐ飛んで行き、突如現れたシャドウフォックス三匹を射抜く。同じく氷の棘も何匹かを貫いたが、そんな小さな群れではない。まだ10や20はいる。
「やばいな」
「私のせいで…ごめんなさい!」
彼女が謝ると別の女性の声が聞こえた。
「
凛々しい声が聞こえると同時に暴風が吹き荒れる。木々は根っこからなぎ倒され、泉の水はすべて空中へと巻き上がる。同時に、隠れてた群れのシャドウフォックスは言うまでもなく、吹き飛ばされていった。
アレンと赤頭巾は後ろを振り向いた。そこには、木の上に立つ女性が居た。金髪にエメラルドグリーンの瞳。深緑の細剣を手に持ち、服は黒でその上に黄緑色のローブを羽織っている。髪は短めなため、男性のように思えるが胸は大きく、クールな女性だった。
「貴方たち。この森は気を付けた方がいいわよ。貴方たちの名前は?」
「アクト」
「ローズ…です」
赤頭巾ことローズとアクトは警戒しながらもそう答えた。
「覚えておくわ」
そういって消えようとする女性に尋ねた。
「貴女は――」
「――ベアトリクス」
ベアトリクスと名乗った女性は森の中へと消えて行った。
異世界人狼ゲーム~人狼暗殺者は竜騎士として空を駆ける~ 狼煙(アズ) @kuro2005
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